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挨拶回りも終わり、大公様夫妻と談笑を楽しんでいると、ダンスの音楽が流れ始めた。
この音楽が流れると、その夜会の主催者がまず1曲踊る。その後に招待客が踊る形となる。
私は大公様夫妻に目配せをしたが、それを知ってか知らずか、2人は笑顔で私たちを見つめた。
「今日は貴方達が踊りなさい。」
大公妃様の提案に、大公様も笑顔で頷く。でも今夜主催してくれたのはお2人だ。いくら私達の為のパーティーとはいえ、ここはぜひおふたりに踊って欲しいものなのだが。
「それなら、踊っていただけますか。姫。」
ブレア様はそう言うと、給仕にグラスを渡し、私の手を取り甲へと口付ける。私もそこまで言われてしまってわ。と、彼の手を握り返し、喜んで。と笑顔で返事した。
私達は腕を組み、ホールの中央へ歩みを進める。そしてお互い手を取り合い、腰に手を回し、お互い見つめあって、ダンスの準備が出来たところで曲が止まる。
そして一息ついてから、ダンスの一曲目が始まった。ホール全体を動き回り、優雅に踊る。
しばらくして周りのみんなも踊り出す。ブレア様に見つめられて、とても軽い足取りで踊る。
こんなに踊りやすいダンスは後にも先にもブレア様だけだ。そして楽しいダンスも。
私はブレア様の顔を見て自然と笑みが溺れる。そんな私の姿を見て、ブレア様も微笑んでくれる。
こんな時間が永遠に続いて欲しいと、続くものだと確信していたのだ。あの時までは。
その日、夜会は何事もなく平穏に幕を閉じた。ブレア様曰く、私達の仲を公国貴族達に知らしめることがでしてとても満足なのだとか。
明日はいよいよ城下町の探索。とても楽しみだ。
今日は明日のために早く寝よう。私は静かに目を閉じた。
ん……ここは?公城のホール?今日いた場所だ。
「リリアンヌ・ウェルズリー!」
この声は!私は名前の呼ばれた方へ振り返る。ブレア様の声。でも……隣に居るのは……エリザベス嬢?どうして腰を抱いているの?
「僕の愛するエリザベスへ行った悪行の数々、今日ここで露わにしてやる。」
彼はそう言うと、と何控えていた侍従が私が行ったであろう悪事を読み上げ始める。
違う。私はそんなことしてない!そう言いたくても、口を開けば罵りの言葉が出てくるのみ。なぜ?どうして?
最終的に、私に下された罪状は絞首刑だった。処刑されるに至ったのは、エリザベス嬢への誘拐&殺人未遂。私はそんな事していない。
衛兵に身柄を拘束され、牢屋に入れられ、絞首台の上に立ち、首に縄が掛けられる。そして執行人により、レバーを引かれ床が抜けた所で目が覚めた。




