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その後、私達は再び馬車に戻りリーゼン公国を目指した。途中数分間の休憩を挟みつつ、着いたのは夜遅くだった。
そのため、ブレア様の両親への挨拶は明日行うことにして、今日は用意された客室で眠るこたにした。この道中、色々あったがまずは無事に着いて一安心。
「おやすみ、リリ。」
「おやすみなさい。ブレア様、良い夢を。」
ブレア様は私の挨拶を聞くなり、少し嬉しそうに笑った。それを見て不思議に思い、首を傾げると、突然腕を引かれ、抱きしめられる。
「リリにおやすみって挨拶されると、なんだか結婚したみたいだ。」
耳元で囁かれた甘い言葉に、顔が赤くなるのが分かる。
「もう!そんなご冗談言わずに、早く寝てください!!」
「本当のことなのに。」
そう言ってイタズラっぽく笑い、私が部屋の中に入るのを確認して、その場を去った。なんか、今日一日ブレア様が普段より甘かった!私は火照った顔を冷やすように頬に手を添え、そのままベットへ飛び込み、眠りに着いた。
そして次の日、侍女に手伝ってもらい、いつも以上におめかしした私は、公城の応接間にブレア様と2人、ふかふかのソファに腰掛け、大公様と公妃様が来るのを待っていた。
しばらくして侍女からの前触れがあり、ノックと共にお二人が入ってきた。私達は立ち上がり、姿を確認してカーテシーをする。
「貴女がリリアンヌ嬢ね。」
楽にして。と声をかけられ、顔を上げる。大公様達の顔を確認して、私は息を飲んだ。ヒロインちゃんのご両親だ!ゲームの中で数えきれないほど見たご尊顔に、見惚れてしまう。
「ブレアから、話は聞いてるわ。この子ったら、学園での様子ではなくて、リリアンヌ嬢の事ばかり手紙で書くのよ。」
「母上、それは。」
ブレア様は恥ずかしがりながら言わないでください。と少し焦っていた。そんな親子の掛け合いを見て、大公様は微笑んでいる。暖かい家族だな。なんて思いつつ眺めていると、大公様と目が合う。
「リリアンヌ嬢、不束な息子だがどうかよろしく頼む。」
大公様は、そう言って私に頭を下げる。
「お顔をおあげください。私も至らない点ばかりですが、よろしくお願いいたしますわ。」
「さあ、挨拶はこれくらいにして、ブレア、リリアンヌ嬢に公城を案内して差しあげなさい。」
「そうですね。卒業までに何回か帰ってきますし、卒業したら毎日暮らすことになりますものね。」
公妃様も頷きながら微笑み、楽しんでらっしゃい。と私達を見送ってくれた。ブレア様はお言葉に甘えて。と私の手を握り、一礼してその場を後にした。
「そうだ、夜は君の歓迎会をするんだ。急な催しだから小規模だけど、楽しんでくれると嬉しいよ。」
「まぁ!とても楽しみですわ。ですが夜会用のドレスを持って来ていませんわ。どうしましょう。」
「そこは僕に送らせてくれ。」
ブレア様はそう言って私の手を握る。楽しみですわ。と微笑んで私も手を握り返した。




