34
「おはようございます。」
「おはよう。リリ。今日から4日間ずっと一緒だと考えるとすごい嬉しいよ。」
新婚旅行ならぬ婚約旅行だね。と周りに聞こえないように耳元で囁いて来る。その不意打ちに、顔に熱が集まるのを感じた。
「リリ、道中はかなり時間がかかる。国境の町で一泊する予定だけど、夜遅くに着くから少し寝ているといい。」
馬車に乗り込んで少しした頃、欠伸を我慢していたところを見透かされてしまったみたいで、何処からかブランケットを取り出してきた。
準備がよろしいことで…と思いつつも、日が昇ってすぐくらいに出発したので、まだ寝足りないのは事実だ。
ブレア様はおいでと言わんばかりに、膝をポンポンと優しく叩き、期待を込めたキラキラした目で私を見つめる。
そんな顔をされてはさすがに断れないので、お言葉に甘えて少し眠ることにした。
ブレア様の膝の上は暖かく、馬車の揺れも相まって直ぐに眠ってしまった。そしてどれくらい経ったのだろうか。馬車が止まる気配に目が覚めた。
「ん…」
「リリ、目が覚めたかい?おはよう。」
まだはっきりと開いていない、ぼやけた視界の向こうにブレア様が微笑んでいる。かっこいい…すき…
「ブレア様がいる…ふふ。素敵な夢…」
手を伸ばして頬に触れる。…触れる?本物?私は驚いて飛び起きた。すると、その拍子に私とブレア様のおでこがぶつかり合い、少し鈍い音がした。
「ブレア様!?…つっ…いったぁ…」
「リリ大丈夫?」
おでこはもちろんのこと、耳まで赤く染めているブレア様。心配そうに私のおでこに手を添えてくれた。
「大丈夫ですわ。ブレア様、少しおでこが赤くなっておりますわ…」
「リリもだよ。痛くないかい?」
「少し…ブレア様、失礼致しますね。」
私はブレア様のおでこに手を添え、光魔法を使い、おでこの赤みを治す。この世界に来て、魔法が使えると言う嬉しさから、色んな魔法を学んだところ、全属性使えるようになってしまった。
通常なら私の魔力の量、適正属性数ならば魔法科なのだが、ここはゲームにならい普通科に入学したのだ。
魔法は自分自身にかけられないため、私のおでこは赤いままだが、仕方ない。私が寝ぼけてしまったのがきっかけで起きた事故なので、自業自得だ。
「ありがとう。リリ。」
それに、こうして好きな人が笑ってくれてるだけで私の痛みも和らいでいく。
「そろそろ昼食の時間だからね、ピクニックをしようと思って馬車を止めたんだ。」
「そうだったのですね。」
確かに日は登りきっており、真上まで上がっていた。私ったら、かなり長い時間眠ってしまっていたのね…少し恥ずかしく思いながらも、馬車を降りる準備をした。




