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私は少し照れながらも差し出されたパスタを頬張る。人前でこんな事するなんて…少しはしたないかしら?なんて考えながら、見られていないか周囲を見渡した。
左右のカップル席に座っていたカップル達は、各々自分の世界に入っており、目の前の道にいた人達たちも、気にすること無く歩いていた。
少し自意識過剰だったかも。と既に赤くなっている顔もさらに赤くなる。明日公国へ行くからか、テスト期間中ずっとブレア様の事を考えていた。
学園に入学するまでずっとブレア様は女の子だと思っていたせいか、男らしい一面を見るとゲームの中のヒロインとは違うんだと、ここは現実なのだと実感する。
「明日、楽しみだね。」
そう言って優しく微笑むブレア様。本当に。楽しみ。私も微笑み返した。
「これはどうです?」
「リリのセンスは素晴らしいな。これと、色違いでこれも買おう。」
ご飯を食べ終わり、移動した私たちはブレア様の両親へ送るお土産を選んでいた。お店の一つ先の通りは雑貨屋さんが並んでおり、この国の伝統工芸を売っているお店が沢山並んでいるのだ。
この国では鉱山が沢山あり、宝石がよく取れる。それに加えて鉱石も良く取れるため、加工業が盛んなのだ。
王室御用達の宝石店でペアネックレス、公国の国旗にも入っている百合モチーフのデザインを買った。
ブレア様はいい歳なんだからペアネックレスよりも違う物の方がいい。と言っていたが、リーゼン公国のおふたりは何年経っても変わらず愛し合うおしどり夫婦だと聞いていた。なので、ペアの物の方が喜んでもらえるだろうと私が押し切ったのだった。
「いい買い物ができたな。」
「そうですわね。明日がさらに楽しみになりましたわ。」
ペアネックレスはお互いの瞳の色が使われた宝石が、百合の花弁の形に埋め込まれた小ぶりのもの。すごく綺麗で日常使い向けのデザインだった。
「明日朝早くに出発するし、今日はもう帰ろうか。」
「そうですね。明日のために早く寝ます!」
大通りに控えていた王室の馬車に乗り込んだ。婚約してからのブレア様は距離感が少しおかしいようで、学園では常に隣にいるのはもちろんのこと、毎日馬車で送迎されているのだが、馬車の中ではリリの体をいたわるため。と膝の上に問答無用で座らされる。
これが恥ずかしい以外の何者でもなく、毎回断るが、強制的に抱えられて座らされる。
「ブレア様、明日は長距離の移動なので普通に座りますわ。」
「ダメだよ。長距離だからこそ僕の膝の上に座らないと。」
そんな事をしてしまったらブレア様の負担が半端ない。
「それなら、仕方ありません。もうひとつ別の馬車を用意して私はそちらで向かいますわ。」
「それは嫌だ!」
子供のように駄々をこねるブレア様。リリと違う馬車は嫌だ。と言って私の肩に顔を埋める。それがとても可愛く思えて、頭を撫でたくなる。が、今は違う!と心を鬼にする。
「それでしたら、明日は膝の上に座るのは無しですよ?」
「うぅ…分かった。」
渋々了解してくれたが、拗ねた子供のように頬を膨らましていた。可愛すぎるその表情に、私は気が付いたら頭を撫で回していた。




