32
店内には、カップルや女の子達が沢山居た。女の子は皆ブレア様を見て頬を赤く染め、キラキラした目で見ている。
私のブレア様なのに。絶対に離さないんだから。と思いを込めて、絡めた腕に手を添える。ブレア様はそんな私の顔を見て微笑み、添えた手を優しく撫でてくれた。
「こちらへどうぞ。」
店員さんが案内してくれたのは、少し広めの二人掛けのソファにテーブルが一つある席だった。左右の席には恋人がいる。なるほど、ここはカップルシートと言うやつか。
テラス席の隣の面に並んでいるカップルシート、さすが大通りの角にお店があるだけの事がある。テラス席からも、カップルシートからも大通りの景色が楽しめるようになっているのだ。
「リリは何を飲みたい?」
メニュー表を広げて見せてくれるブレア様。紅茶やコーヒーだけでなく果実水、炭酸水など、種類も豊富だ。さすがゲームの世界。
料理の種類も豊富で、前世から親しみがあったものばかりだ。こんなお店、ゲームのイベントで使われてもいいはずなのに…ゲームではこのお店を舞台にしたイベントは出て来なかった。
「ブレア様はお決めになりましたか?」
「僕は…このバニラオレにしようかな。そしてご飯は…悩むね。」
「バニラオレ…甘党なブレア様らしいですわ。」
可愛らしくて思わず笑みがこぼれる。真剣に主食を悩むブレア様、とても愛らしい。
「そういうリリこそ、決まった?」
「そうですね。私はミルクティーに、カルボナーラにしますわ。」
「じゃあ僕はボロネーゼにしよう。」
「決まりですわね!」
私たちは店員さんに注文し、待っている間に事前に席に運ばれたレモン水を飲んでいた。水の中にほのかに香るレモンの爽やかな香り。やはりレモン水は美味しい。
そうこうしている内に、料理とドリンクが運ばれてきた。私たちは神へ祈りを捧げ、早速一口食べる。
「んん!美味しい!ブレア様、すっごく美味しいですわ!」
「良かったね。」
チーズの旨みと卵黄のコクが絶妙にパスタと絡み、口の中へ広がる。平たく切られたパスタは、普段の麺と違いもちもちした食感で、食べ応えも抜群。
「はい!ブレア様も一口どうぞ。」
すかさずフォークでパスタをすくいあげ、彼の口元へ運ぶ。彼は少し困惑したように顔を赤らめ、遠慮がちに食べた。
どうしてこんなにも照れているのだろう。と、気付いた時にはもう遅い。
「ん!すっごく美味しいね。じゃあ、僕のもあげるよ。ほら、あーん。」
イタズラをする様な少し色気が滲む笑顔で、彼はパスタを私の口元へ差し出した。




