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「リリアンヌ様!これはどういう風に解くのですか?」
「ここはこの公式を当てはめて…この場合少しややこしくて、Xに6を入れるのよ。」
今日から始まった放課後勉強会。最初は私がブレア様に、ユリウス様がエリザベス嬢に教える組み合わせだったのだが、エリザベス嬢にリリアンヌ様に教えて貰いたいですとお願いされ、私が教える事になった。
エリザベス嬢の飲み込みは早く、私達に追い付くかのように吸収して行った。
「私、学園へ通うのすごく楽しみだったんです。今まで体が弱いせいでお茶会へ行く事もありませんでしたし、夜会に至ってはこの間デビュタントでしたので。」
なのでこうしてみんなで勉強って、青春ぽくて楽しいです!と笑顔で笑う彼女。とても可愛い…それにつられて私も笑顔になる。
「沢山楽しみましょう!」
「はい!リリアンヌ様!」
妹が出来たようで気分が良かった。前世含め、弟しか居なかったので、妹のような存在は新鮮だ。何度、こいつが女であれば…と願った事だろう。
今世でも弟は居る。が、最近少し生意気になって来て、可愛さの欠けらも少ししか無い。昔は私とユリウスの後ろをずっと着いてきて、少し煩わしかったが、それすらも今となっては愛おしい。
そんな弟も次の4月で学園の中等部へ入学すると共に社交界デビューが待っている。この世界では、男子は中等部へ入学とともに社交界デビュー。女子は高等部へ入学と共に社交界デビューだ。
と言っても女子は中等部はなく、さらに希望者のみ高等部へ入学なので、全体数ではかなり少ない。女子の約3分の2は、そのまま婚姻するか、勉学が主の学園ではなく、花嫁養成学校へ入学する。
とても厳しくて、マナー等を徹底的に教えこまされる寄宿学校だそうだ。考えただけで私には無理だと分かるので、本当に学園に通えてよかった。
「リリアンヌ様?どうしたんですか?」
「あ、ううん。何でもないわ。」
「そうですか?」
上目遣いで頭を少し傾ける彼女。すごく可愛い。小さいから余計に…愛玩犬のマルチーズに似ている。
「そう言えば!私昨日夢を見たんです!」
「へぇ。どんな?」
「温室?のような場所に居て、どこの温室なんだろうと少し不安だったんです。けれど、そこにブレア様がいらっしゃって!」
運命なのかな!ってすっごくドキドキしちゃいました!!胸に手を当てて微笑む彼女。ブレア様を…私はまだ夢で見た事がないのに、少し羨ましいと思いつつ、ブレア様の方へ目線をやる。
当の本人はと言うと、少し困惑した様子でエリザベス嬢の話を聞き微笑んでいた。多分、ブレア様の子の表情に気付いたのは、私だけだったような気がする。




