27.ブレアside
昨日の今日でエリザベス嬢が転入してきた。内心戸惑いがあり、リリを見るとりりも不安げに瞳を揺らしていた。
移動教室の時もずっと下を向いていて、いつもより足取りが重いようだった。僕よ好きな人にこんな思いをさせるなんて…とまだ黒では無いのに黒だと決めつけそうになってしまう。
リリの向こうでは、カイルと昨日ぶつかってきた男爵令嬢が談笑している。カイルは毎日連れている女の子が違うと思っていたが、ユリウスの目となり動いていたのかと納得する一場面だった。
何とかリリの気持ちを少し向上させ、教室の扉を開けるとそこには泣いているエリザベス嬢。あろう事か上級生に絡まれた責任をリリに押付けている。
リリは校舎裏を通る道なんて教えていない。教えていないし、まず、校舎裏からはここへ来れない。エリザベス嬢は泣いて僕に縋り着いてくる。
触れられている所から物凄い嫌悪を感じて、それとなく引き剥がしたが、それからずっとエリザベス嬢への不信感は拭えなかった。
お昼休みも何かリリを貶めるために、動くのではないかと気が気じゃなかったのに、当の本人は女の子のお友達が出来たと少し浮かれている。
そんな中、定期試験の話題になった。放課後の教室、リリと二人きりで試験勉強…なんていいシチュエーションなんだろう。と妄想していると、いつの間にか図書館で四人、勉強する事になってしまった。
前回の試験の時は王城へ帰ってからユリウスに教えて貰っていたが、スパルタ過ぎて軽く地獄だったので、今回は四人とは言え、リリに教えて貰おうと思う。
明日から早速リリとの勉強会…楽しみだ。
と浮かれて居られたのも束の間。俺とユリウスはカイルの報告を聞いて、さらに頭を抱える事になったのだ。
きっかけは学園が終わり、王城での三人での会議。カイルがポケットに仕込んでいた録音のできる魔道具と、使用者の見たものを記録できるピアス型の魔道具の映像を見せてもらっていたのだが、どれも衝撃的なものばかりだった。
『ねぇねぇ君ってさぁ、昨日の舞踏会来てたよねぇ。』
カイルの気の抜けた話し方。昨日はあんなにしっかりしていそうな話し方だったのに、こんな簡単に変えられるのか。と少し驚いてしまった。
『えっと、カイル様?』
『うん。昨日君のこと見かけて綺麗だなぁって思ったんだ。ぜひ仲良くなりたくて。』
こいつ、キザすぎる。良かった、リリに近付けなくて。リリの事だから眼中に無いとは思うが、僕が嫉妬で耐えきれなかっただろう。




