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「あ、あの。リリアンヌ様。少しよろしいですか?」
「えぇ。どう致しました?」
エリザベス嬢は少し遠慮気味に話しかけて来た。ブレア様は少し警戒しているが、宥めるように彼の手を握る。
「あの、次の移動教室なのですが、場所を教えていだけませんか?お恥ずかしいのですがその…」
そう言うと、彼女は辺りを見渡し耳打ちをして来る。
「お花摘みに行きたくて…」
「あら、そんな事なら私もお供しますわよ?」
「そんな!恥ずかしすぎます。お1人で大丈夫です!」
そこまで言うなら…と私は簡単に教室への道順を教え、ブレア様と先に行く事にした。エリザベス嬢は大丈夫かしら?1人で来れるか心配だわ。
少し不安を抱えつつも、廊下を歩いている。いつもよりうんと歩く速度が遅いが、ブレア様は何も言わずに着いてきてくれる。
「少し授業をサボろうか?」
「そんなこと行けません!!ちゃんと授業に出ないと!」
そう言って顔を上に上げると、彼は安心したような笑みを浮かべた。なら早く行こうか。と彼は私の手を握り、教室まで連れていってくれた。
教室に着くと、誰かの泣き声が聞こえた。私とブレア様は顔を見合せて勢いよく扉を開けた。泣くほどの大事件が起きたのかもしれない。
これはクラス代表として見過ごせない事態だ。
「どうか致しましたの?」
教室の鳴き声の主はエリザベス嬢だった。ブレア様と顔を見合せ、内心またか…と呆れつつもエリザベス嬢へ近づく。
「大丈夫?」
「いや!触らないで!」
エリザベス嬢に手を差し伸べるが、大きく弾かれた。そして私を睨みつけ、代わりに隣に立っていたブレア様へしがみつく。
「助けてくださいブレア様っ!私、リリアンヌ様に、教えてもらった通りにこの教室まで来たんです。」
そして説明を始めた。彼女曰く、仄暗い裏校舎を通って来たのだそう。そしてそこに居たガラの悪い上級生に絡まれてしまい、とても怖い思いをしたとかしてないとか。
ブレア様は困惑した様子でエリザベス嬢を引き剥がし、それは誤解だとみんなに説明してくれた。
「リリはエリザベス嬢に皆が通る道を教えていた。エリザベス嬢は忘れて違う道を通ってしまったのでは?」
「では、私が迷わないようにどうして着いてきてくださらなかったのですか!」
えっと…御手洗に行くから1人で行くって言ったのんだけど…やっぱり押し通してついて行くべきだったわ。
「エリザベス嬢。ごめんなさい。やはり一緒に行くべきでしたわね。帰りは一緒にクラスまで帰りましょう。」
「…はい。」
ふぅ。昨日に引き続き、エリザベス嬢が絡むと何が嫌なことが起きる。




