1
転生したと分かってからは、ストーリーを思い出すため、必死に頭を巡らせた。私、リリアンヌはメインヒーローの王太子、ユリウス・シュタインの婚約者で、ユリウスといい感じになるヒロインに嫉妬して意地悪するのよね…
ヒロインは隣のリーゼン公国の公女様で、確か遊学のためにシュタイン王国に来るんだよね。…そう考えると、隣の国のお姫様に意地悪するとか、リリアンヌヤバくない?
ゲームをプレイしている時は気にも止めなかったが、現実になった今なら分かる。軽く外交問題だ。だがしかし!私には考えがある!
私は、推し×ヒロインのカップリングが大好きなのだ。何周もした。全てのイベントを覚えている。とてもわがままだが、私は!!推しとヒロインが結ばれる結末がみたい!!!
推しとヒロインが結ばれると言うことは、外交問題?なにそれオイシイノ?という感じであやふやになるので、実質ゲームの中のリリアンヌはあまり被害は無い。
まぁ、王太子様に婚約破棄され、嫁の貰い手は少ないが、断罪や国外追放は特になかった。なので私は、意地悪をする!!そう心に決めた。
前世に心残りがなかった訳では無い。このゲームにも例外なく、隠しキャラクター、レアルートという物がある訳で、あと1周プレイすると解放されるハズだった。
結局なんだったんだろう…気になって夜しか眠れない…
そんなこんなで時は過ぎ、本日、私は学園に入学した。新しい制服に身を包み、門を通り桜並木の道を歩く。この数年で努力した私は誰もが敬う完璧令嬢へと成長した。
数回、王家から婚約の打診はあったが、まだ王太子様と釣り合う淑女にはなれていないので。とやんわりと断っている。王城で開かれるガーデンパーティーや、夜会などで面識はあるが、ただその程度の関係だ。
入学式の会場の講堂に着き、椅子に置かれている小さなネームプレートを手に取り、席に座る。貴族の子女だけが通うこの学園は身分制度が色濃く、座る席も王族から順番に爵位順だ。
ゲームでは王太子様、ヒロイン、公爵令嬢の私、という順番で座るんだよね確か。
婚約者である私を差し置いて貴女が王太子様のお隣に座るなんて、何かの間違いではなくて?
入学式が終わり、リリアンヌがヒロインにかける最初の言葉だ。まだこの時、ヒロインが隣国のお姫様だって知らなかったのよね。
ヒロインの隣に立っていた王太子様は、リリアンヌを嗜めて、事情を説明するのよね。事前に聞かされていれば、また認識は変わっていたはずなのに、入学式当日に突然知らされるものね。
それだけならまだしも、お嬢様ということもあって卒業するまで王城暮らし。好きな人と異性がひとつ屋根の下、一緒に暮らすなんて、リリアンヌからしたら気が気じゃなかったんでしょうね。その気持ちは少なからず同情できる。




