18
「婚約おめでとう。」
「まぁ。ありがとうございます。取り残されましたわね。」
ユリウス様がワインを手渡しながら話しかけてくれた。本来、ユリウス様と婚約する事になっていただけあって少し気まづい。
「私はいいんだよ。それぞれ時期があるのだから、そのうち私にも回ってくるさ。」
「それより、何故ブレア様とエリザベス嬢が踊っていますの?」
少し小声でユリウス様に尋ねると、彼はあ〜と少し周りを見渡してから、耳打ちで教えてくれた。なんでも私が御手洗に行ったタイミングを見計らって、男爵とエリザベス嬢が挨拶に来たのだそう。
男爵にデビュタント記念として、どちらか娘と踊って頂きたいと頼まれ、2人は少し渋ったそうだ。だが、それに気付かなかったのか、あえて気付いたが気にしなかったのかは分からないが、エリザベス嬢がブレア様と踊りたいと名指ししたのだそう。
そして踊っている途中で私が帰ってきたという事だ。
「どうしてブレア様が指名された時に、止めなかったのですか!これだからユリウス様には良い人が現れませんのよ!?」
そこは空気を読んでブレアは婚約したばかりだから私が踊ろうと言って欲しかったのに!!と軽く脇腹を抓る。多分、王太子様にこんな事出来るのは私だけだろう。
「何を話しているんだい?」
いつの間にかダンスを終えたブレア様が私達の前に立っていた。それもすごい形相で。何かあらぬ誤解をしているように見受けられる。
「何もありませんわ。ユリウス様が少々鈍いので喝を入れていただけにございます。」
何よ楽しそうに踊ってたくせに!ふん!と私は顔を背ける。ブレア様はそれに気付き、なにか言おうと口を開いた時だった。
「リリアンヌ・ウェルズリー公爵令嬢様ですよね?」
ブレア様の後ろから顔を覗かせたのは、先程までダンスを共に踊っていたエリザベス嬢だった。彼女は少し緊張した面持でブレア様の隣に立つ。
前世の長さを基準にするならば、身長は150センチあるかないかくらい小さく、長身のブレア様と並ぶとその差は歴然で、私とも15センチくらい差のあるように思えた。
「私、エリザベス・ハートンと申します。よろしくお願いします。」
先程より少しぎこちないカーテシー。指摘したい部分は多々あったが、全て飲み込み自己紹介をする。
「ウェルズリー公爵が娘、リリアンヌ・ウェルズリーですわ。お見知り置きを。」
ワインをユリウス様に渡して、カーテシーを返す。どうだ!この完璧なカーテシーは!と少しドヤ顔したい気持ちもあったが、それも抑えて笑顔で彼女を見つめた。




