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舞踏会に着くと、ほとんどの貴族が揃い、それぞれ談笑していた。私がブレア様のエスコートを受けて中に入ると、全員が静まり返り私達を見た。
「すごい見られてるね。」
なんて呑気に笑う彼。当たり前でしょう。春の舞踏会で隣国の公子だと紹介されてて夏の舞踏会は体調不良で欠席、秋に出席したかと思えば、この国一番の公爵家の令嬢をエスコート。
注目されない方がおかしい。因みに、ゲームでは春、夏はこの国の礼儀作法を覚えれていないからと言う理由で欠席している。が、こっちの男ブレア様は春からしっかりと出ていた。
2人でワインを飲みながら談笑していると、開幕の音楽が鳴る。
大階段から降りてきたのは、国王様と王妃様、そしてユリウス様だ。皆、国王へ頭を下げる。
「面を上げよ。今宵は秋の舞踏会。皆それぞれ楽しむが良い。」
国王は短く告げると、大階段の踊り場に置かれている玉座に座った。それからは国王に挨拶へ行く人、端に並べられているご馳走を楽しむ人に別れた。
「ご機嫌麗しゅう。国王様。王妃様。第一王子様。」
「ウェルズリー公爵令嬢か。久しいな。隣に居るのはブレア公子か。」
「本日は僕がパートナーを努めさせて頂いております。」
国王様と王妃様は顔を見合せて笑いあっている。ユリウス様はそれを見て頭を抱えている。今からお2人が言わんとする事を察したようだった。
「2人は婚約はしないのか?」
「とてもお似合いではありませんか。」
え!?私と彼が!?いやいや、こんな展開ゲームになかったし…突然のことに困惑し、返答に困っていると、ブレア様が背筋を伸ばし言った。
「それはいい提案ですね。僕はリリの事を愛しているので、婚約を飛ばして婚姻してもいいくらいだと思っています。」
「はっはっは。そこは段階を踏みたまえ。そうだ、このワシが証人となろう。」
「ええ、是非。」
ブレア様はそう言うと、私の方へ向き片膝を着いて私の手を握る。上目遣いにうるっとさせた目は、さながら子犬だ。うっ、耳と尻尾まで見えてきた…
「リリアンヌ・ウェルズリー公爵令嬢。私、ブレア・リーゼン公国公子と婚約して頂けますか?」
貴族全員が注目している。みんな当然私が受けると思っている。こんなの断れるわけないじゃない!!怒れる気持ちを抑えて、深呼吸をする。
「はい。喜んで。」
笑顔で手を握り返す。その瞬間、彼は満面の笑みになり、周りも祝福ムードに包まれた。なんかこれ、外堀埋められてた感あるんだけど…受けたものは仕方がない。




