10
次の日、学園へ行くと教室にブレア様の姿はなかった。私は不思議に思い、ユリウス様にブレア様はどうしたのか聞いた。
「ブレアなら、今日は風邪で休みだ。」
「そうですか…」
やはり、昨日の噴水事件でお風邪をめされたのだろう。心配だ。あれ?でも、エレンって治癒魔法使えるから医務官になったんじゃ…
多分効かなかったのかな?薬と同じなのかな?と不思議に思いつつ、ユリウス様にお願いをする。
「あの、今日放課後お見舞いへ行ってもよろしいですか?ブレア様が私のせいで風邪をひかれたのでは、心配です。」
どうか!お願い!と気持ちを込めて手を前で組む。本来、王城には1ヶ月前から申請する、登城許可が必要だ。無許可での登城など、到底無理なことは分かっている。
「なので、無理を承知でどうかお願いします。」
こう言うのは効く効かないでは無い。やるのだ。私はお父様に婚約を引き伸ばして貰う時のポーズをする。少し上目遣いで、目を潤ませて、眉尻を下げる。
必殺うるうるお願いポーズ!これを家でなく外でやるのは大分恥ずかしいのだが、背に腹はかえられない。
「そこまで言うなら仕方ない。まぁブレアからも、もしリリがお見舞いに来たがってたら、連れてきてくれと言われているし。」
リリは私の婚約者候補筆頭だからいつでも出入り可能だ。と許可してくれた。
そして放課後。
「リリ、王城へは私の馬車で行こう。ウェルズリー公爵家の馬車が放課後王城へ行ったとなればあらぬ噂を立てられるかもしれない。」
確かにその通りだ。私はユリウス様と婚約はしていないし、したくない。火のないところに煙は立たぬ。ユリウス様は使いを出し、迎えに来ていた公爵家の馬車を帰らせた。
そして私たちは目立たぬように裏門の方に馬車を回してもらい、2人で王城へ向かった。
「リリはブレアと婚約するのか?」
「私はまだ完璧な淑女になれていないので、もし打診が来てもお断り致しますわ。」
「たしかに。妃となれば虫に驚き噴水へ飛び込む事は出来ぬからな。」
「あ!あれは不可抗力ですわ!突然だったので…」
思わず、少し前のめりになってしまった。不意に昨日の事を掘り返すユリウス様。そんなからかい方をするなんて、本当に意地悪だ。
そんなこんなで、気付くと私達は王城の門へついていた。門兵に、今日は私もいることを伝え、通してもらう。
「じゃあ私は着替えてくるから、リリは侍女に案内してもらうといい。私もあとから行こう。」
「ええ。ありがとうございます。」
私たちは途中で解散し、侍女と共にブレア様が待つと言う応接間へ向かった。




