【29】城の王
彼女という肩書の子供たちはまだ寝ていた。三つの天蓋の下でネグリジェ姿なのは犯罪的にかわいい。シャッター音がしないスマホで三人を撮りまくった。
「圭ちゃんおはよう」
おはよと返して彼女はまた寝転んでしまった。
「そういえばお前、最近やたらと圭ちゃんって呼ぶな。前はほぼ呼び捨てだったろ」
キノセイと言って立ち去ろうとしたが、厳しい尋問が行われ圭に媚びを売ってると話した。
「この間お前を裏切ったことか。あれはすぐに戻る気でいたんだが」
「嘔吐したり食事できなかったり過呼吸で入院したんだ。情けなくてごめんな」
私の手の震えに気が付き、圭はやさしく両手でその手を摩ってくれた。
朝食に行くときは手を繋いで、食べてる最中もイチャイチャしていた。
「圭が悪さしたのなら言ってくださいね」
あまり見掛けない状況に鳴は心配した。悠と紅葉も同意して頷いていた。
「わたしの素行が悪くて朝からこいつ震えてたんだ、それで...」
「実はまだ震えは止まってなかったりして」
鳴はすかさず圭と同じように両手で私の手を摩ってくれた。
圭とイチャイチャしていたものの食事は摂れていなかったので、鳴はその場から私を連れ出しお粥をキッチンで作り自分の部屋に招いた。
お粥を食べてるところにすぐ圭もきた。食べやすいバナナを持参していた。
「二人が何も言わずに見られてるだけだと食べづらいんだが」
「ああ、そっか。じゃあ鳴、お前こいつとどこまでしたんだ」
食べてる物を嘔吐仕掛けたがなんとか堪えて飲み込んだ。
「全部じゃないですからね。下着の上からでした」
具体的なことまで言わないでくれ鳴・・・
「気の迷いです。でも元から鳴のこと好きで手が出ちゃった。ごめんなさい圭」
鳴が驚き自分から誘ったと訂正してくれた。
「怒ってないぞ別に、最初から鳴に勝てるとはまったく思ってなかったし」
圭が弱音を出す時は本当にそう思ってる時だ。
鳴ありがとう、また来ると言って帰ろうとしたら圭にしばらくここにいろと言われた。
「今の圭って怒ってないんだよ本当に、態度で全部わかる」
「溝口先生がわたしに手を出しても、怒らないのは変だよ圭...」
鳴の意見は正しかったが、圭はああ見えて劣等感の塊なのだ。だから全てを許してしまう。
「話もう終わったのか、わたしに気を遣わないでも別にいいぞ」
「終わったよ。また後日行くけれど今日の分は終わった」
そうかと言って圭がベッドの上で背を向けたので、わりと強めに抱きしめた。
興味深そうに悠と紅葉も見ていたので天蓋内に招き入れた。私が圭を抱きしめ、悠と紅葉は抱き合ってキスをするという奇妙なことになっていた。
「みんなでレズセしてみる?」
出来るかそんなもんと圭が言ったが、わりと一番上手いのが圭だった。後の二人は羞恥心がないのでぴったりだ。
抱き合ってキスをしていた悠と紅葉を一旦止め、二人を下着姿にして再びくっつけた。
私と圭は固唾を飲んでこの行為の行方を見守った。まず紅葉が悠の乳首を舐めたので、悠は大声で喘いだ。悠はお返しとばかりパンツに手を入れ紅葉の大事なところを弄り始めた。二人ともキスがもの凄く上手だった。
責めの攻防は互角だったが紅葉のが余裕があり、悠のパンツを下ろし大事なところを舐めたところで悠が大声を出して決着が付いた。
私と圭は拍手を送り賛辞を惜しまなかった。
「ところであそこ舐めとか私はやったことない... 紅葉はほんとにえっちだ」
「ちょっと腕にぶら下がってもいいか」
唐突に圭が言うので、右手を90度に曲げぶら下がってもらった。圭程度の小動物なら私の腕力なら問題なかった。遊んでくれる圭が可愛いのでちょっとえっちなキスをした。
「楓いいか、入るぞ」
二人の返事がして鳴も一緒にいた。
「楓、調子はどうだ。少しでも悪かったらそこのボタン押していいんだからな」
楓は首を横に振って否定した。調子は良いらしい。
ただすっかり無口になってしまった楓が不憫で、抱きしめた。
鳴も私と一緒に楓を抱きしめてくれた。鳴の献身的な介助がなかったら、楓は死んでいたと思う。私はまだ楓への過去の悪意を許してはいなかった。
「楓は苦しんだけど良かったね。誰よりも溝口先生に愛されてるよ」
楓は微笑して頷いた。私はやや困惑した。
彼女を一番気に掛けているのは確かだ。だから頻繁に通っているのだが、彼女をSEX中毒にしてしまうのは本意ではない。
頃合いを見ながら頻度を減らしていくのが一番だろうと結論づけた。
鳴がいるしできないから帰る。楓またね。
真彩と恵美とは完全に疎遠になった。随分仲良くなれたと思った直後の、楓の事故への対応が最悪だった。貴重な支援攻撃戦力だから残しているだけだった。
よく人それぞれという言葉を聞く。それならその道を勝手に歩んでくれ。私は私が考える範囲内に収まるそれぞれしか決して認めない。
午後、城での初めてのレッスンを非公開で行った。一人か二人づつ部屋に入れ指示した動きをしてもらった。皆の攻撃支援能力の強化だった。攻撃力が高くても当たらなければ意味がないからだ。もちろん、真彩と恵美抜きでの戦闘想定であった。
「ギスギスするのは嫌だったんだが」
この件で相談できるのは鳴だけなので、つい彼女の部屋に来て愚痴ってしまう。
「あの二人もちゃんと反省してるんじゃないかな。もっと時間掛けて見てあげて」
コーラを私に出しながら鳴が言った。
「明るかったのに別人になって怯えてるんだよ楓は。サメに特攻したのも自殺未遂だぞあれは」
鳴は指を口に咥えて少し考えてから質問した。
「被害者が自分じゃなく圭だったら許せた?」
そんなことが起きたら問答無用でその場で殺していたかもしれない、「立場入れ替えないとわからないことってあると思う」
鳴の言葉で少し気が変わった。
いつも同じ時刻だとバレるかもしれないので、楓と会う部屋と日時はランダムにしていた。
「食事まで一時間しかないけどいいか」
と言いながらも服を脱いでいたのでやる気は満々だった。
楓も了解してくれたので服を脱がして愛撫した。ちゃんと見ると妹よりも明らかに痩せてしまっていた。胸は私の方が昔から大きいと言っていたが今は逆転している。
それでも立ち直って欲しいと優しく全身を撫でてあげた。喜んでもらおうと下半身を強く突き上げた。
食事の時、圭がこちらを何度も見た。そして楓の方も見ている。
「バレたかな」
嫌な汗が出そうだったが、平静を装って根性で止めた。
食事はフレンチで豪華だった。アントレには和牛ステーキを選んだ。くるまで少し時間があるので、パンを食べながら紅葉と話した。
「楓と何か最近話したか。元気がまだないのでお願いしたいんだが」
紅葉は頷いたが、事件以来話すのが難しくなったという。
食事後、中庭に皆で行った。
高所なので晴れてる日があまりないが、この日は珍しく快晴だったからだ。秋の星座が見えたのでアンドロメダを探したらぼんやりと見えた。
「しばらく冷たくして悪かった。前と同じように仲良くしよう」
真彩と恵美にそう言ったら恵美が泣きながら頷いてくれた。
せっかくの夜なので花火も用意していた。
大きい花火は真彩と恵美に任せ、圭はロケット花火を飛ばしていた。楓と鳴は普通の花火を選び、案の定、悠と楓はねずみ花火だった。
翌日の夕刻、招かれざる客が来訪した。
「ここを目指して飛んでくるなら、我々はいない方がいいような気もするな」
だいぶ離れていたが、城を目指す翼竜が五匹検知できた。
国境に入る前に戦闘に入る。そういう前に皆出撃していた。そして私は楓の手を握り、しばらく戦闘に参加しないよう伝えた。
楓がものすごくごねたので、言うことを聞かないと能力を取り上げ私と一緒に居られなくなると脅した。泣かせてしまったが仕方がない、自殺的な攻撃はもう見たくなかったからだ。
「必ず戻るからのんびり待っててくれ」
そういうと私も飛び立った。
『雷鳴!』飛ぶ鳥を落とす技で様子を見た。
当たってはいたが前ほど効いていない。敵が強くなってきているのだ。
「アルプスまで下降するから付いてきてくれ」
皆が遅れずに下降しているのを確認してから、私の後ろに陣取る様に指示を出した。ブルーとグリーンは若干上にいるようにと修正指示も出した。
誰も巻き込まないでくれと願いながら『大津波!!』と叫んだ。
アルプスの山々を割り、嵐の雪崩が翼竜を襲った。五体中三体が巻き込まれ身動きが取れなくなった。まだ生きてるなら締め墜とすまでと突っ込むと、ブルーとグリーンも続き捕縛に備えた。
最速のミルキーとギャラクシーが突っ込む時を待ち、ブルーとグリーンの技が決まり残りの二体の動きを封じた。
イエローは雪に飲まれた三体を、『ライトニング・コメット』で丁寧に仕留めていた。
魔法少女二人は洋剣に焔を湛え、一気に二体を切り裂いた。
落ちてくる切り刻まれた翼竜を、イエローが大彗星で焼き鳥にして勝負は付いた。
「山麓のことを考えると怖いから、何もないことを祈りながら帰ろう」
城に戻ると屋上に楓がいたので、変身を解いて抱きしめてあげた。
「寒かっただろう。何の心配も要らないから、次回からは城の中で待ってていいぞ」
そう言ったが楓は頷いてくれなかった。
楓を離れると次は圭をお姫様抱っこした。めちゃめちゃ嫌がったが離す気はなかった。
「お前は忙しいんだからわたしのことはいいんだよ」
そんな弱いことを言う圭を放っておけない。誰よりも大切だから一緒にいたいんだと宣言した。
「嬉しいんだが、ああいうことをされると周りの嫉妬が怖いんだ」
圭が珍しく本音を吐き出した。
悠と紅葉の方も見て、どうしたらいいのかと目で尋ねたが二人も考え込んでしまった。
「引退して六本木で暮そうか。静かに暮らしたいもんな」
「無理に決まってるだろ。それやったら今度こそ楓は死ぬぞ」
圭が現実を突きつけてきた。
困った時の鳴さん相談所にまた駆け込もう。
「どうぞ」
おせんべいを食べながら鳴が答えた。
「もしかしてここに私が来るの迷惑だろうか」
「どうせわたしの話じゃないですしね。でも聞きますよ、なんですか」
言い出せる雰囲気じゃなかったので、おせんべいをいただきぼりぼり食べた。
「おいしいねこれ。濡れせんべい好きなら今度持ってくる」
鳴は食べながら頷いた。
「圭が周りの嫉妬に怯えているので、誰とも平等にお付き合いしたい」
「わたしの嫉妬無視してきましたよね!?」
すいませんとすぐに鳴に謝った。すると鳴は立ち上がって言った。
「そういうことに使ってる部屋あるんでしょう?連れてって」
全ての部屋がベッドメイクされてるのでどこでも可能だった。だから鳴の手を引いて人がいなさそうな階の部屋に向かった。
鳴が服を脱ごうとしたので一度止めた。
「脱いだらもうやめないよ。この間みたいなごまかしもなし」
鳴が大丈夫と言うので、優しく服を脱がせていった。
鳴を下着だけにして唇を重ねた。ピンク色の上下が可愛かったので、しばらくブラ紐を上下して遊んでいたら鳴が真っ赤になっていた。
手を後ろに回してブラのホックを外し、そのまま上半身を裸にした。一度見たけど何度でも見たい乳房がそこにあったので、優しくたまに強く揉んだ。
パンツの中に手を入れ敏感なところを触った。そしてパンツを足首までずらして、鳴の大事なところを何度も舐めた。もう完全に気持ちが整ったはずなので、その大事なところにとてもゆっくり挿れていった。
「半分くらい入ったけど痛い?」
鳴が頷いたので抜こうとしたら、私の背中を掻きむしり首を振った。
本当にゆっくりと進め、鳴の一番奥まで入ったのでキスをした。裸の胸も広げた手も可愛かった。腰を少し動かす度に小さく喘いだ。
「すぐ終わるから我慢して」
そう言って腰を少し速く動かすと鳴の顔が苦痛に歪んだので、背中を思いっきり引っ掻いていいと言った。そして速さを上げたところで鳴が果ててくれた。
痛みで鳴が泣いていたので手でそれを拭ってあげた。まぐろ状態に寝かせ、身体を拭いてあげた。
お風呂できたから入ろうといって全身を洗ってあげた。
お湯に浸かりながらまた胸にしゃぶりついた。後悔なんて絶対にしないように全身を触ってあげた。
「ありがとう。鳴とできて嬉しかったよ」
鳴の部屋のソファに二人で手を繋ぎながら座っていた。
まだ歩くと痛む鳴に珈琲を淹れてあげた。鳴と楓を交互に抱いてゆくことを考え、日程調整とばれないためにどうすればいいか考えた。
『断れば良かっただけだ』善なる自分の声が語り掛け、『あの状況で断るとか馬鹿だろう』と悪の自分がその声を罵った。
『圭が可哀想だろう!』ごくまともな自分が私を叱った。
「悪いが鳴、楓と待ち合わせてる部屋がある。食事をしたら来てくれ」
そう言って部屋番号を教えた。
圭にも今日は楓の部屋に泊まるから、勝手に寝ててくれとメッセージした。
「夕飯はこっちに持ってくるように頼んで置いた。一緒に食べよう」
楓は本当によく尽くしてくれていて、飲み物と灰皿を用意してくれた。
それでも楓は私と鳴に依存するだけで、他の子たちがまだ怖い様子だった。時計の針が戻らないのは知っているが、前に進む方法が今のところ見つからなかった。
楓は私が食事にも手を付けないので、膝枕をしてくれ上着を脱いだ。
「ごめん、さっき鳴としたので性欲はイマイチなんだ」
納得した楓は上着を着直してそのままでいてくれた。少しだが顔が以前に近づいてるような気がした。
「もう皆を説得したから楓を責める者はいない。だから紅葉に頼ったりしながらリハビリしよう」
かなり不安そうだったが頷いてくれた。
「鳴だけどお取込み中?」
そんなことは無いので入るよう言った。
まだ歩き方がぎこちなかったので、経験者の三人にはバレたかも知れない。結果として鳴としたことに後悔はなかったので毅然としよう。
「七人しかいないのだもの、木島さんの子供たちは。皆あなたを好きになるようにできている」
楓の太腿を借りていた私に、鳴は背を丸めながら唇を重ねてくれた。
鳴と楓を好きだったのは悠より早かった気がする。だけど圭への想いがあったから我慢していた。それが悠の自殺願望を救うことで崩壊し今があった。紅葉は楓に似てたから好きになったんだ。
「城を拠点にしたのは完全に私の我がままで、側室を持つのにちょうどいいからなんだ」
「側室にしてくれてありがとう」
楓が珍しく喋った。鳴は不満そうだが仕方がないという様子だった。
「肉とパンだけやっぱり食べる。タンパク質たっぷり摂らないと今後身体が持たない」
鳴がテーブルに運んでくれたので、ついでに野菜スープも啜った。
二人と一緒に寝ていたが深夜起きてしまった。圭に会いたかった。合わせる顔はないけれど、それでも圭が良かった。二人にメモを残し自室に戻った。
気付かれない様そろっと開けたが、圭が起きてソファで珈琲を飲んでいた。
おかえりと言って珈琲を淹れてくれた。こんなド屑でも圭を愛していた。煙草を吸いながら圭を見つめていると吸い込まれそうだった。
厚着をして屋上、と言っても砲台とか打つ場所だったみたいだが、に向かった。
あの小さな公園からここまで来た。圭が好きと言ってくれて本当に嬉しかったから付き合った。でも君は自信がないから怯えていて、悲しい想いばかりさせている。今も。
「私の城だここは。返せと言っても返さない。こことか世界中にある基地で、圭たちを幸せにする」
「やっと悠たちのことを思い出したようだね」
二人もここまで付いてきてくれていた。肩幅は足りないが、腕力は全然いけたので悠と紅葉を肩に乗せた。
「浮気の謝罪を圭にしないの」
悠の言葉に首を振った。
「この城の王だから、皆を守るのが仕事なんだ」
「イエロー、大彗星の出力を上げろ。雷鳴を打ち消すくらいには頑張れ」
何度やってもちょっと焦げて落ちてくるので、ミルキーがヒールををかけた。
今日は外でのレッスンで、ドイツ政府にも伝えていた。気候の急変に注意報を出すように伝えていた。
『超雷鳴!!』城が一時完全に停電したが予備電源で復旧した。
真彩の大海のうねりver3は飛行中のミルキーを完全に捕まえた。グリーンの大気汚染もギャラクシーを捉え、旧チームAの完全敗北だった。
注射器をを二本持ったピンクは、謎の毒を撒いてこの地を不毛にしようとしていた。さらに毒針を私に向けて突っ込んだが流石に勇気は湛えるが無理だと頭を撫でた。
鳴は新技ローズ・ブリザードで空を薔薇で覆った。棘のあるこれなら翼竜も突破は難しいだろう。
成果が上がった実地訓練に満足して城に戻った。
夕食時に明日スキーに行かないかと誘ったら、寒いから嫌という意見が主に旧チームAから出た。
「あれほどみっともない姿を晒した君たちに拒否権はない」
そう言って否定的な意見を跳ね付けた。
「お前教えてくれるのか」
圭がそう聞いてきたので抱っこして山頂から降りると言ったらやだと断られた。
スキー場に着くと準備運動をして経験者と未経験者にわけた。
経験者の鳴、紅葉、楓は中級コースをスイスイ滑っていた。紅葉は反対してたんだが... 初級者にシュテム滑りを教え、ゆっくりと滑れるようにした。
皆それなりに滑れるようになったら、私一人で山頂から一気に滑り降りた。
こぶを気にせず超スピードで降りるのが好きだった。緩斜面になったらとにかくシュプールを綺麗に描くよう気を付けて、派手に板を横にして止まった。
「上手くても危ないですよ」
鳴が心配したが、制御を失ってもポセイドンになれるからセーフと言った。
最後に初心者グループの滑りを見ていた。恵美が前から転んだので急いでカニ歩きであがり、雪面にできた胸の跡を調べた。助けないでそういうことをしたので恵美にぽかぽかと叩かれた。
食事のため並んでいたら多くの市民から挨拶された。
「応援ありがとうございます。が、敵の力が増しているので皆さまは避難することに注力してください」
そう言った。
初心者は相当に疲れていたのでキャンピングカーで泊まることにした。
飛んでいけばすぐだが、それだけで避難勧告がでてしまうからだ。八人寝れる設計だが、流石に狭いので私は運転席にした。
食事はスキーロッジから差し入れられて有難かった。
シャワーまで借りると悪いので、車のシャワーを使った。鳴が着替えを持っていっただけで興奮してしまったが仕方がない。
大きいキャンプ用テントが有ったので広げた。これで広くなるはずだ。
吹雪いてきたので、皆に戸締りをしっかりするよう伝えた。テントの元チームAも前扉をしっかりと締めた。
車の中で寝ていると圭がドアをコンコンと叩いた。
雪を落してから、急いで中に入れてあげた。どうしたって最愛の圭が来てくれると嬉しい。皆を起こさない様に静かにキスをした。
「悲しい思いをさせてすまない。側室を置かない王もいる。私は失格だ」
「この異常な状態では仕方ないんだろ。わたしが慣れればいい」
幸せにだけはするから、何を犠牲にしても。




