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【21】 軍事侵攻

私は東京のマンションで独り暮らしをしていた。

距離が近くなり過ぎてしまった女の子たちと離れたかった。モテ過ぎる理由も自分がポセイドンの中の人だと言うこともわかっていた。

「チキン買ってきたぞ。お前の好きなドクペもあるぞ」

圭が差し入れをしてくれた。

週に一回、圭、悠と紅葉の三人が来てくれることになっていた。掃除や家事をしてくれたりするのだが、そのまま泊まっていくことはない。

「悠としてはたまには帰って来て欲しいです。ダメなんですか」

「ダメなんです。ポセイドンは元々メドゥーサを廊下で押し倒してしまうくらいダメ神だったから」

神話とは言え酷い話だった。だから悠の気持ちに応えられないと答えた。

紅葉はまだ責任を感じているのか言葉が少なかった。食器を洗いお風呂の掃除をしてくれていた。

「紅葉のせいじゃないからね。私自身がだらしなかっただけだから。だから待ってて」


「どうしても今晩は泊まる。ダメなら別れる」

圭にこう言われては泊まらせるしかなかった。

とは言ってもここは会社ほど部屋は大きくない。四人一緒に寝ることは不可能に近いので心配はあまり必要なかった。風呂から部屋に戻ると三人が布団の上で待っていた。

いつも三人を見ながら寝ていたので懐かしさで涙が出そうだった。涙は出なかったが代わりに鼻血が出た。

圭が鼻血を拭き、二人はベッドシーツを変えてくれた。

ベッドを直してる紅葉に襲い掛かりそうだった、「圭、机の上にある手錠と目隠し持ってきてくれ」

圭は訝し気な顔をしたがちゃんと手錠を掛け、目隠しをしてくれた。

「ここまでする必要あるか。少しは自由にしてもいいだろう」

圭に言われたがNoと答えた。「好きなのか性欲なのか分からなくなっちゃったんだよ。そもそもこの二つを分けて考えていいのか分からないけど」

誰かがキスをしてくれたがたぶん悠だ。嬉しかったがお礼を言って横になった。

三人同時に好きになることは有りだと思う。でも全員ものにしようとする自分に嫌悪していた。

寝ようとしていたら三人に手足を持たれ、布団の真ん中に下ろされ目隠しと手錠は外された。根性でバスローブを引きちぎり目隠しにした。

「皆を見てたら襲いたくなるんだよ。だからこれでいい」

「わたしと別れたいのかお前」

圭に言われそんなことあるわけないと言って泣いた。


「どっか南でも北でもいいから島を買い取っちゃおうか。そのくらいの貯金はあるよ。そこで三人で暮したい」

目隠しを外して三人の目を見て言った。


この案の遂行に私は出た。北方四島とサハリン、ウラジオストクを手中に収める戦争を始めることにした。平和条約ないのだから別にいいだろうという雑な考えだった。宣戦布告をして48時間以内に住民は退避するように命じた。

この考えに一番賛同してくれたイエロー・メドゥーサが大彗星を放ち択捉を解放した。ミルキーウェイと紅葉(仮称)は千島列島すべてを掌握。

ウラジオストク飛んだレッド・ローズ、ブルー・オーシャン、ピンク・ローズ、グリーン・フォレストはロシアの戦闘機と地上部隊を殲滅し勝負は付いた。


それでは止まらずニューカレドニアにも侵攻、仏軍は敵ではなく占領した。


当初の買い取りではなく完全な武力侵攻だった。我々変身ヒロイン部隊が善ではないと世界に示したかった。ロシア、アメリカや国連が非難声明をだしたが無視した。あなた方には悪で敵わない。北方は日本領にしてもらった。ニューカレドニアは元の島民の国とした。ただし我々だけの土地も設定した。

怪獣がいない世界になってしまったら、我々はオーバーテクノロジーのエリアンになってしまう。なので怪獣製作者を突き止めることは事実上中止した。


ウラジオストクの大きなホテルを購入したので皆で泊まることにした。

寒かったがこういうのも嫌いじゃない。食堂でロシア人シェフによるボルシチやピロシキ、ステーキを頼んだ。

厚着をしてる皆を見るのも楽しかった。それでも紅葉を目で追ってしまう。

楓と紅葉姉妹が部屋にやってきたので飲み物を振る舞った。「紅葉の初陣良かったね。悠と色違いなのが可愛かった」

楓は自分のことのように喜んでいた。だが紅葉は少し沈んでいるようだった。

「紅葉のことを大事にしてあげてくださいね。他の四人はほぼ諦めていますから」

「もう二人恋人いるんだよ私には。三人目は流石に無理だ」

走って紅葉が部屋を出て行ってしまったが私は追わなかった。追う資格がない。

楓から思いっきりビンタを喰らった。好きだけど順番が最後だからダメ、と言われて納得できるはずがないでしょう。私は最速で紅葉を追った。

部屋のすぐ横に、泣きながら立っている紅葉がいたので軽くだが抱きしめた。

「圭や悠が受け入れてるのも知ってる。そして私も好きだ。だがまだ私は人間なんだ。海神ポセイドンじゃない。だから前にも言ったけど考えさせて」


ニューヨークに四体怪物が出た。

先の侵攻に不満を言っていたアメリカに手は貸さない。うち二体が翼竜なので厳しいはずだ。大彗星爆弾で応戦していたが殲滅は厳しそうだった。

通常爆弾も叩き込んでいたが当然効かない。政府から救援要請が来ていると連絡が来たが無視した。あくまでアメリカからの直接依頼しか動かない。

丸二日経って謝罪と出動要請をセットにした書類が来たので渋々出撃することにした。

「最速の二人、悠と紅葉とその次に早い圭を出す」

悠には攻撃魔法を解禁したので使っていいと言った。ニューヨークの街は半壊していた。『満月!』昼でも眩しいほどの輝きでミルキーウェイは敵四体にダメージを与えた。

「飛ぶのもいたんだったな」

『大彗星!』イエロー・メドゥーサの必殺技に翼竜は熔けて消えて行った。そこまでアサルトライフルで援護に徹していた(紅葉)が急降下した、『愛!』太陽の表面温度で三体を焼き尽くしニューヨークの戦いは終わった。


遅れた到着した私が紅葉を抱きしめた。


変身ヒロインたちへの要請が遅れた米政府に非難が殺到していた。

正義のための彼女たちという考えを改めて欲しかった。その武力を簡単に借りられるという発想は安易だ。強すぎてわりと危険なく敵を殲滅していたが、私は木島社長とのバトルで死に掛けている。それに見合った契約で動くのが当たり前だったんだ。

形としては日本に所属してるから、政府に話を通さなければならない。だが日本政府と敵対している某北の国からの要請は合っても受けない。


ニューカレドニアでは好意的に迎えられた。やはりこの地にはなんの関係もない、フランスに統治されていたのは屈辱だったろう。

フランス人には出て行ってもらっていた。自分たちもニューカレドニア国誕生で意気が上がっていた。我々は新政府に対し民主的な選挙が行われることを希望した。出来ないならまたフランスに統治してもらうと脅した。


「凄いなここの海」

圭がそう言った。どこまでも続くエメラルドブルー。これを欲しかったから対仏戦争を仕掛けたのだ。前から世界地図を見てこの島を統治してるフランスが邪魔だと思っていたと答えた。

水着は皆私服風で露出が少ない物を用意した。性欲中毒がまだ治っていないからだ。悠と紅葉はもっと甘々水着を着たいと抗議していたが却下した。

「皆可愛いから何着ても大丈夫、可愛いよ」

本音で皆にそう言った。


突貫で作った基地が出来ていた。別に核弾頭が飛んで来ても問題ないので、強度にはこだわらなかった。ただそれをやった国は亡ぶのでやる勇気はないだろう。

レッスン室で紅葉が飛行訓練をしていたので私が手伝った。

「雷を降らすから全部避けてくれ」

そういうと真剣な顔になって紅葉は飛行を続けた。ジグザグ飛行も悠と同じだった。しかし事故が起こってしまった。雷の一つが当たった紅葉が落下してきたので、優しく受け止めたが気絶していた胸に傷もあった。

慌てて私はヒールを持つ悠に頼んだ。たいしたことないと言いながら、紅葉の上半身を裸にしたので私は走って出て行った。

「海神ポセイドンとしては腕組みして見て良かったのだろうか。いや、中身はただのスケベ野郎なので無理だ」


治った紅葉を一番喜んでいたのは間違いなく私だ。

「無茶な訓練して済まない。もうああいうスパルタはしないから」

そういうと紅葉はもっときつくしてくれと依頼してきた。認めてもらいたいからと。


北方領土と千島列島は自衛隊にその管轄を渡した。眺めのいいところに我が社の基地を建ててくれたら嬉しいと伝えて。ウラジオストクは無害そうなので我々が管轄することにしたが国籍は日本である。

日本のためを思ったら、中国の渤海あたりを責め取ってしまうのが一番だったが、彼らから要請が無い限り動かない。



ニューカレドニアに滞在して五日目に、意外な場所で翼竜二体と怪獣三体が出現した。

エルサレムだった。個人的にはものすごく助けたくなかったが政府を通じて来た話なので受けることにした。社長権限で通常の三倍の派遣費用を要請した。


「いい加減奴らも強くなる頃だから気を付けて掛かれ」

先行するミルキーウェイとギャラクシーに伝えた。紅葉をギャラクシーと命名したのは私だった。

「動きが遅いのがポセイドンなんだけどこれいいのかな」イエロー・メドゥーサにおんぶされたポセイドンがいた。流石にイエローが最後尾になったので太平洋に落としてもらうことにした。

「海だとやたらと速いから先に行って」


エルサレムと怪獣が見えたが私はわざわざ大統領官邸に行った。あと数時間でこの街滅ぶけどガザ方式で逆に殺られるのも悪くないんじゃないかと話した。

「助ける理由が見当たらない。今すぐ納得する何かを見せてくれ」

私は既に提案をしていた。アメリカと手を切る代わりに我が社が守ると。すると彼らは国境線を決めこれ以上の侵略はしないと言った。



『超雷!』

私の叫び声で翼竜を瞬殺した。後はブルー・オーシャンとグリーン・フォレストが力技で三体まるごと縛り上げ宙に浮かせた。街の被害が酷かったからだ。

『ローズ・スプリンクラー!』ローズ・レッドが三体を更に弱らせたところで、ピンクが注射、イエローが電撃、ギャラクシー&ミルキーウェイは小刀で切りつけた。

敵は上空で爆散し勝負があった。



ニューカレドニアに戻って流石に政治的過ぎたと反省をしていた。

ただ現最強の我々が、多少世界に介入してもいいんじゃないかと思った。栄枯盛衰という言葉が浮かんだが。


「本気かフランス軍」

SLBMがニューカレドニアを襲ってきた。

「M51かなあれは、とりあえず真彩と恵美で捕縛頼む」

太平洋上遥か遠方でそれは捕縛出来たので、鳴のローズスナイプで太平洋に捨てた。

本来ならパリを報復攻撃するが、いきなり我が社が島を奪った経緯もあり猶予を与えた。楓は生物兵器を喜々として注射器に注入していた。


フランスには一人で交渉に行った。

呼びつけたいところだったが大国の顔を立てた。ただしスーツの下は海神ポセイドンだったので、交渉決裂後パリは滅亡する。

「挨拶は一切なしだ。無謀な攻撃の意図を知りたい」

そう一方的に切り出すとフランス政府首脳は弱り切っていた。どうせなんらかの報復行動を取らないとメンツが立たない程度の幼稚な理由だったんだろう。

「貴国の本土には一切の興味がない。貴国領ポリネシア諸島全ていただくことと、50%の軍備を縮小するように命じる」

命令なのでそれだけ言い放つと帰った。悠と紅葉が迎えに来ていたので二人謹製の籠に入って帰島した。


「政治ごっこはやめたいのでここで皆で待機しよう。寒いところに行きたくなったらウラジオストクへ」

夕食時みんなにそう宣言した。

防弾化出来てない基地なので事務員他はいなかった。

社長(男)と変身ヒロインたち(女=7人)のいびつな男女比だった。木島社長が存命の頃を懐かしんだ。彼は悠のことを愛していたから私に預けなかった。その棘は今でも突き刺さっている。だが悠は今安定している。彼を後追いしようとはしていなかった。


ジムでトレーニングしてたところで圭が寄ってきた。

真似をして私と同じ負荷で脚を伸ばそうとしたが、顔が赤くなるだけでまったく動かなかった。異常な負荷なので止めた方が言って私に変わった。サクサク動かしてるのを見て目が点になっていた。

「悠や紅葉のこと考えてていいけど、たまにはわたしも思いだせよ」

異常に太い腕で圭を抱きかかえ髪をくしゃくしゃにした。ぜんぜん嫌がらなかったのでトレーニングをやめて二人で手を繋いで歩いた。


夜の海辺を歩きながら見慣れない南半球の星座を二人で眺めた。

海岸の砂を拾う圭が可愛かった。白いワンピースが夜だからちゃんと見えなかったけれど、美しい横顔に見とれながら何も喋らないで二人とも歩いた。


























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