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⑯謎の飛行物体

対木島戦が終わって二か月が経とうとしていた。

あれも私への実践訓練と考えたら、全て木島社長との戦いだけだった。

変身ヒロインたちを育てた意味がまだ見えて来なかった。皇居に飛来する音速ミサイル撃破だけが彼女たちの功績だ。だが戦争敗北で、半島の北の国はクーデターが起こり消滅してしまった。

毎週スライムでも襲来してくれたら、彼女たちに存在意義もあるのだがそれも無かった。


それでも戦闘訓練は続行していた。

最近は対人戦が多いが攻撃力が高い圭、スピードに優れた悠の力が目立っていた。

「特訓をお願いします」

鳴&楓コンビが申し出た。

火力重視の二人だが圭と悠に敵わないことに焦りを感じているようだった。私としては二人が強すぎるだけで彼女たちに問題があるようには見えないので無理することはないと伝えた。すると楓が核弾頭を搭載してくださいと物騒なことを言い出したので、特訓メニューを考えることにした。


そもそも真彩と恵美しかいない攻撃支援要員が欲しいところなのだがと思案していた。


そこで真彩と恵美対鳴&楓の実戦形式訓練を自衛隊と共同で行うことにした。

東京湾上空での戦闘にした。軍事訓練なので海自のフリゲート艦からは攪乱のため四人を無差別に撃っていいとお願いした。これには相当な難色を示されたが、戦略核兵器でも無傷なので平気ですと強引に引き受けさせた。


ヒールを持つミルキーウェイが戦闘を見守る形でスタートした。

ブルー・オーシャンは海に近い場所では最大の力を出せる。大海のうねりでレッド・ローズを狙い打つがピンク・ナースの攻撃で攪乱を図り耐える。するとグリーン・フォレストがピンク・ナースを狙い捕まりそうになったが、防御シールドの訓練をしていたピンクはなんとか耐えた。

『スティング・ローズスナイプ!』

焦れたレッド・ローズがブルー・オーシャンに放ったが、距離が離れているので余裕で躱されてしまった。ピンク・ナースは超近接戦闘要員なので防御に長けているブルーとグリーンには近づけないでいた。

イージス艦からは絶えず無誘導の62口径5インチ砲射撃が行われているためシールドは解除できない。

一か八かでピンク・ナースが最速でグリーン・フォレスを打とうとしたが、それを見逃がさなかったブルー・オーシャンが大海のうねりで捕縛しグリーンの葉毒がピンクに決まり一人脱落。

残ったレッド・ローズは時間を稼ぐのが精一杯で30分の戦闘訓練が終了した。


洋上ではイージス艦の上で悠が楓にヒールを掛けていた。


「四人ともお疲れ様。特に勝った真彩と恵美はおめでとう」

労って皆で会社に戻った。


夕食時しょげてる鳴と楓に声を掛けた。

「正直に言うと真彩と恵美が優勢だと思っていた。攻撃力が合っても当たらなきゃ意味ないしね」

二人は返す言葉が無かった。

「そこで楓はヒールを覚えたらどうかな。毒針しか持っていないナースは変だしね」

「あ、はい。頑張ります」

そう楓が言ったので鳴にもアドバイスした。

「最初の頃使っていた薔薇で包み込むのはどうかな。あれは真彩と恵美の攻撃に似ている。火力と捕縛二つの技を組み合わせたらいいと思うよ」

協力はするからじっくり行こう。後はお風呂入って疲れを取っておいでと言ってその場を去った。



強化週間だったので全員が会社のシェルターに泊まっていた。

悠には部屋がないので私の部屋に、そうすると当然圭もこの部屋で寝ることになった。

「二人ともちっこいからシングルで問題ないね」

むうっという顔をしたが真実なので反論できなかった。

午後十一時を回ろうとしてた時にノックの音がした。鳴と楓だった。「もう寝ないと明日に響くよ」と言いながらリビングに通した。


圭と悠がシングルベッドの上で遊んでいるのを二人とも見逃さなかった。

「倫理的に危ない香りがすごいですねこの部屋」

「完全にアウトだけどこれが最善と思ってるから後悔はないよ」

鳴の言葉にそう答えた。結果的に振った二人が一緒に来たので複雑な気持ちはあったが、やましい気持ちはどこにもなかった。


「それはそうと今夜は何?訓練なら明日からしっかりやるけど」

「溝口先生の意図は分かりましたが、私は攻撃特化で行きたいと思ったんです」

鳴がしっかりとそう言ったので了解したと返事をした。本来は他のメンバーが敵を弱体化させたところでメインヒロインの鳴がトドメを刺す。こういう構想だったから意地があるのだろう。

「圭と悠もこっちおいで」

二人にそういうとお揃いのネグリジェ姿で来ようとしたので、着替えてからねと釘を刺した。


「あんまり考えたことないんだよな。とにかく気持ちでぶち込めとだけ考えている」

最強の大彗星を持つ圭は鳴にそう言った。

「ヒールを自分に掛けながら敵に近づけるので、悠は元からチートなんです」

NO.2は簡単に語った。

鳴は参考にならないと思いつつ二人の意見に頷いていた。速さ、破壊力とヒールが二人の強さとは分かっていても、同時に全部はできないし消耗も大きいと悩んでいた。

「鳴ちゃんはわたしが守るから攻めることだけ考えていいよ」

楓はそう言いながら物騒な薬剤をノートPCで探していたので鳴はちょっと引いた。圭と悠があまりにも仲良さそうにしているのを見て、闘志が萎えかけたので鳴は楓と一緒に謝辞を述べて出て行った。


翌朝、皆が学校に行ってる間に技術班を訪れた。悠のライトオブミリオンスターのヒール成分を解析して欲しいと要望した。ゲームでは死んでも生き返らせる魔法もあるらしいが、実際に木島社長の最後の攻撃で死に掛けた私を救った魔法の詳細を知りたかった。


学校からすぐにこっちに来た鳴と楓は、戦闘で負けた原因を探しながら新しい技の習得に務めた。物騒な薬剤を注射器に入れたがる楓を注意しつつ、鳴のローズ系の技もしっかり見ていた。


真彩と恵美vs圭と悠の戦いは一方的に圭組の勝利で終わってしまった。

破壊力に真彩と恵美は成すすべもなかったので、負けた二人からも強化依頼が舞い込んだ。


風呂から戻ると部屋には圭と悠がいた。

昨日と同じネグリジェ姿が可愛いので写真を撮っていた。

「お前ちょっとキモいけど好きだろう、こういう格好」

圭がそう言うので全力で肯定した。

「木島社長といい今の社長といいロリコンが過ぎますね、この会社の偉い人は」

間違ってはいないので頷いたが、初めて悠の言葉から木島社長の言葉が聞けたのは嬉しかった。思い出として消化できれば症状は軽くなるからだった。

嬉し過ぎて悠の頭を撫でていたら圭に写真を撮られた。


翌日、自衛隊から極秘事項として卵型の飛翔物体の写真と映像が送られてきた。

NASAが観測したもので場所は不明ということだった。昔からこの手の類の噂と映像は絶えないが、自衛隊経由だと信憑性が上がった。

「飛行機と飛ぶ原理が全然違って見えますね。あとこの飛翔体に敵意とかあるんですかね」

航空幕僚長に聞いてみたが、全てまだ不明だと言われた。しかし我が国最大の軍事力である変身ヒロイン部隊を持つ我が社には伝えて置きたかったと言われた。


我が社の場合、少女たちのプロフィールはスリーサイズ以外はほぼ分かる。それについても私の強い要望で調べてあるので、ハッカーなら手に入るかも知れない。

「この間の身体検査、お前の発案だろ」

圭にはすぐ見破られ、悠は胸を覗き込んでいた。

「悠が速いのはその体型にあるかも知れない。だから重要なことなんだ」

と説明すると流石に悠に叩かれた。


他の子たちには内緒でと言ってから、アナログなUSB記憶媒体から卵型飛翔体の映像を見せた。

「聞きたいのはこれが敵意あるかどうか。二人とも何か感じる」

何度かそれを見てから悠が言った、「軍事的要素を無視してこんなもの制作しますかね。開発費が凄そうです」

冷静な分析だった。圭はわからんと言って投げてしまった。

「とにかくこいつが敵になる可能性を考慮する。練習内容も変わるかも知れない」と伝えた。



案の定というか日本近海にこれが現れ、漁船などからの目撃情報もあり大々的にこの卵が知られてしまった。自信があるから我が国に現れたと考えて良さそうだ。

この卵よりもっと意味不明な飛行隊が、我が国というかこのフロアで寝ているのだから。探知できたのは悠だけで、小笠原西方を飛行していたので追ったが逃げられたという。

最速の悠が追って逃げられたというのはちょっと怖かった。速度の点で負けるかも知れないということを意味していたからだ。ただし深夜だったので悠は眠かったという。


その日は学校が終わると悠と圭にはすぐに寝てもらった。深夜来た場合にスクランブル発進してもらうために。

私は寝ずに二人とソファにいた。深夜二時を回っていたが朝までこうしているつもりだった。

「東京という街を守るための君らなので、深追いはしなくて良いよ。威嚇もしないでね。ただ攻撃の意志を見せたら即戦闘に入ってくれ」

緊張すると煙草が増えるので悠が手を握ってくれた。圭は珈琲のお代わりを淹れてくれた。

「戦いたくないな」

率直な意見だった。木島社長との戦いで霊体とは言え葬ってしまった。親しかった相手をあの世に送るのはもう御免だった。


来ました。出ます!

あっという間に変身してミルキーウェイは飛び去ってしまった。

続いて圭が追う。後のメンバーは二十三区上空を警戒飛行した。


自衛隊からもF-15J戦闘機が出撃したが、彼女たちよりも相当遅い。

「父島から真っ直ぐ東京都市部を目標にしているのでこのまま追います」

ミルキーから連絡があった。今度は追いつけているようなので少し安心した。私も変身し既に雷を都内に降らせていた。

イエロー・メドゥーサに連絡を取ると、ミルキーより少しだけ遅れて追尾していると言ってきた。迎撃は出来るはずなので無理はするなと伝えた。


もう小笠原に入った時点で領空侵犯だが、本土まで来たら迎撃すると皆に伝えた。

大島を超えた時点で攻撃サインを出した。ブルー・オーシャンとグリーン・フォレストが捕らえようとしたが速すぎて難しいというのでポセイドンがが雷を落としたが僅かに外した。

続いてレッド・ローズとピンク・ナースが同時に追いかけた。ポセイドンが雷を落し続けたので卵型飛翔体の速度が下がった。

『スティング・ローズスナイプ!』

以前のそれとは比べものにならないくらいの威力で、飛翔体の真ん中を貫きそれを爆発させた。破片はブルーとグリーンが出来る限り回収してひとまずこの戦いは終わった。


































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