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①岩崎圭

「はい、次の方どうぞ」

今日は彼女たち変身ヒロインたちの強化訓練を行っていた。技を的確に当てなんらかの魔物を退治する訓練だ。

「てめえふざけんな。名前で呼べって言ってんだろ」

名前を覚えるのが苦手なのでまた今度と答えた。


私、溝口正は総勢三名の変身ヒロインが所属する事務所に最近就職した。希望企業に落ちたので仕方なくここに来た。役職はプロデューサーだった。いろいろ違う気がしたが、仕事をきちんとこなすことが大事だと思ったので敢えて役職名には拘らなかった。


さっきの女の子がまた抗議に来た。

「君の名前は上田さんだっけ」一文字も当たっていないので殴られた。

「本名が岩崎圭で変身名がイエロー・メドゥーサだ。忘れんな」と言って去って行った。

そう。彼女たちは名前を二つ持っていた。ところでメドゥーサって悪い意味持ってなかったか、と思ったが詳しい意味は分からないので突っ込まなかった。

名前を覚えるために彼女たちの写真を撮ったのだが疑いの目で見られた。社会人が女子中学生の写真を撮るのはきっとまずいことだが、これは仕事なのでセーフのはずだった。


彼女たちはこの街を守る存在だと説明を受けた。

日本や世界を救うとかそういうことはしないので、気持ちを楽に取り組んで欲しいと言われた。

正直正義力で世界を救えるとは思っていなかったのでこれは助かった。だがわりとここ東京に敵は攻めてくるから気は抜いちゃいけないと言われた。


「変身時の光薄く出来ませんか」と技術班にお願いしたが、都条例の問題で難しいんですと言われた。

このやりとりを聞いていた圭に怒られた。変態親父と罵られた。


「神崎鳴さん次お願いします」

大きく両手を上げ薔薇をまき散らすと、槍にそれが収束され敵へと向かう。練習とはいえいいなと思えた。

ローズ・レッドという変身名を持っている彼女がメインヒロインだと言う。確かにヒロインっぽい可愛い顔立ちと元気さが彼女にはあった。

鳴の名前を間違えなかったことで圭には睨まれた。


「田中さんはヒロインじゃないらしいぞ」

わざと名前を間違えて言ったら圭から蹴りを喰らった。

「お前がわたしを強くしてくれればヒロイン交代だろ。出来なかったら水攻めで殺すからな」

物騒で口の悪い子だった。社会人としては説教しなきゃならないのだが、彼女たちの職業が特殊過ぎて何を言っていいのか分からなかった。


「社長、あと一人にまだ会ってないんですが」と尋ねたら試験前なので休みだという。当分は二人の担当で、あと一人は気長に待っていてくれと言われた。

「圭は試験ないの」と一応聞いたが、当日だけで充分なので来ているという。圭はアホとメモしたら見られてしまいまた蹴られた。


「鳴は頭良さそうだから試験勉強しないんだな」と聞いたら顔を赤らめて何も答えてくれなかったので鳴もアホと書いて置いた。


「変身が雑なのでその大鏡の前で練習して」と二人に言うとなんでお前が見てるんだと圭に言われたが、これも私の仕事なんですと答えた。

圭が両手を胸に当て交差させると、白い光に包まれその後大きく足を広げ右手を突き上げて変身完了だ。黄色いドレスは肩が大きく出てスカートは花びらのようになっていた。なんとかスカートの中を覗いて見たかったが、白いペチコートの防御の前に断念した。

圭は顔を真っ赤にしながら私ににじり寄ってきた。

「パンツ見ようとするのやめろ。空飛んでても視線は分かるんだからな」と言われたので素直に謝った。



それなりに絵は描けるので、仕事後、圭の変身姿を描いてたらけっこう格好いいなと思った。口が悪いのを直せば人気が出るかもしれないと思ったが、彼女は変身ヒロインだった。

ビールを飲みながら彼女たちの強化について考えていたが、さっぱり思いつかなかった。

やはり必殺技だろうなと考えていたら眠くなったのでベッドで横になった。


会社で仕事をしていると街が大騒ぎになっていた。

なんらかの怪異が現れたようだ。変身ヒロインたちはまだ学校の昼休み時間中で、来れないと思っていたが問題なく来れるという。だから勉強遅れるんだと思ったがすぐに二人は到着した。

彼女たちの初陣だった。


鳴は手のひらを前に向け両手を少し開き、足も小さく開くと謎の光が彼女を包み込み槍を右手に左腕を少し後ろにして変身完了、ローズ・レッドが顕現した。赤いドレスでスカートはふわっと開いていたが、ロリータドロワースを履いており頑張ってみたがパンツは見えなかった。

圭も変身し迎撃態勢は整った。


イエロー・メドゥーサが大きく振りかぶって両手で電撃を放つ、弱ったところでローズ・レッドが槍から薔薇の花びらビームを発射し、怪獣のようなものを包み込んだらそのまま敵は消えた。


快勝だった。

午後の授業にまだ間に合うなら帰れと言ったが、もう間に合わないと二人とも言うので喫茶店に連れて行った。二人ともオレンジジュースを頼んだ。

二人の活躍を労い今日は完璧だったと伝えた。

「圭、技を強化してもヒロインっぽさでは勝ち目ないぞ」と言ったらまた足を蹴られた。

「二人はなんでこんな仕事始めたの」

圭と鳴は顔を見合わせ街でスカウトされたからだと言った。

アイドル事務所と間違えて契約したんじゃないと言い掛けてやめた。戦闘意欲を削ぐような発言は控えよう。分かる、私でも間違いなくスカウトする可愛さだと言ったら二人とも赤くなっていた。ちょろすぎて誰かに騙されないか心配だった。


翌日技術班から光の量をぎりぎりまで減らすことに成功したという連絡があったので、少しづつ変身ヒロインたちが気づかないように減らして下さいとお願いした。



「社長、二人のコンビネーション攻撃は完璧でした。これならもう一人担当出来そうなので回してください」そう言うと社長は頷いてくれた。



社長はいろんなことを深く考えてはいけないと入社時言っていた。変身ヒロインたちが空を飛べることや、変身後レッスン室が広くなり天井がやたらと高くなるのを考えるなと言うことだろう。


SNSでは彼女たちの活躍が拡散されていた。と同時にスカートの中を執拗に狙ったポストもありけしからんと思った。空を飛んでいることへの疑問はあまり無かったので、一般人も深く考えようとしていないことが分かった。


技術班に変身時の光の量を元に戻すよう言った。レッスン室ではもう二人とも下着が丸見えだったので、これを大衆に見られたら大変だからだ。すると大衆が見れるのは空を飛んでからで、その前はプロデューサーにしか見れないと言うのでこのままでいいと伝えた。


「小林真彩です。これからよろしくお願いします」三人目の登場だ。

私はメモに自分から挨拶が出来る=頭いいとメモした。

圭と話してる隙に変身されてしまったので、彼女を睨んだが逆に凄まれてしまった。水色のミニウェディングドレスとベールそして同色ペチコート、やはり見えないんだなと心の底からがっかりした。変身名はブルー・オーシャンだった。

大海の水を操り凝縮した水攻撃が出来た。


レッスン後暇そうな圭を誘ってスイーツ屋に行った。

「事務所内で相談したんだが、ちょっとお馬鹿で明るい鳴をセンターで使いたいそうだ。反論はしたんだがこの件は諦めてくれ」と私は言って圭に謝罪した。圭は残念そうだが頷いてくれた。

「だが近くで見なくてもお前は本当に可愛いんだから気にするな」と言うと顔を真っ赤にしていた。もう少し押したら落とせそうだったのでここでやめた。だがパフェを無言で食べてる圭は本当に可愛かった。


それはそうと取り寄せた学校の成績が本当に酷い。

私が教えるからレッスン前に資料室奥にある机に来いと伝えた。チョコを頬に付けながら圭は了解してくれた。

「お前って頭いいのか」と圭が聞いて来たので頭を叩いた。普通に毎日十時間勉強してたんだから当然だと言った。圭が尊敬の眼差しで俺を見た。

その後街を散策してUFOキャッチャーで他愛のない物を取って与えた。

手を繋ぎたいのでいいかと聞くので頷いた。警察から声が掛かっても不思議ないが、二人とも会社の名刺を持っているので大丈夫だろう。それより圭の無防備さが心配だった。


翌日圭は約束通り資料室に来た。

真剣に勉強している姿が可愛いと思った。

口は悪いが無垢で可愛い。いいことなんだが心配度がもの凄く上がった。SEXだけしたい男は多いんだよ圭。無垢であることは美点だけど危険なんだ。

そう思いながらずっと無垢なままでいて欲しいと願う自分がいて、結局私はどうしたいんだと考えた。

深く考えるなと会社には言われたが、岩崎圭についてだけ考えるのはいいだろう。



後日圭からデートに誘われた。


嬉しいが部下と言える少女からの誘いだったので悩まざるを得なかった。だが熱しやすく冷めやすい年ごろなので気にすることはない、と脳内の悪魔が囁いたので誘いを受けた。


マスコミを避けるため都外郊外の地味な公園に行った。

圭は車の中をきょろきょろ眺めていたが、私物は車には置かないぞと私は言った。彼女は白のノースリーブシャツに短いピンクのスカートを穿いていた。子供のアトラクション的な綱を登って上に上がる木の船があったのだが、圭が登ると変身時と違い中の白いパンツが丸見えだったので目を伏せた。

見慣れているのに今更と思うかも知れないが、デートなので興奮し過ぎていた。

深呼吸して下半身を落ち着けてから私も上に登った。

船の上から見た牧歌的な風景がなんとなく懐かしく感じて良かった。圭は握っていた手を放して腕を組んで来た。私はそれを振り払わなかった。

「こういう田舎もいいな」と圭が言ったので頷いた。

お前が可愛いからきっとどこでもいいんだよ、という言葉を私は飲み込んだ。


「お前が好きだ。付き合ってくれ」

予想はしてたが圭に告白された。だが答えは用意していなかった。


「これからホテルへ一緒に行ってくれたら考える」

私は断る方を選択した。

しばらく圭は考えていたが行くと言ったので、俺は冗談でからかっただけだと言い謝罪しながら頭を下げた。


二度目は告白を受け入れ彼女にキスをした。



後日技術班に変身時の光を元に戻すように伝えた。

彼女以外の下着を見てはいけないと思ったので、スマホに有った写真データも全て削除した。


圭には二人が付き合ってることは絶対に秘密だと伝えた。

会社のこともあるがもう有名人の彼女らに批判が殺到しそうだったからだ。私は別に構わないが圭が傷付くのを見るのは絶対に嫌だった。


圭は真面目に資料室まで来てくれた。

熱心に勉強するので平均くらいの偏差値にはなっていた。鳴も本来呼ぶつもりだったが二人の時間を壊したくなくて呼ばなかった。時間の都合を付けて別枠で鳴を呼ぼう。

部屋の一番奥なので入口からは見えない。授業をしながらずっとキスをしたい気持ちで一杯だった。察してくれたのか圭が目を閉じたので優しく唇を合わせた。


「わたしの水攻撃って相手を弱らすためなんですかね」

真彩が聞いてきたので、圭と同様概ねそうだと答えた。圭と真彩が敵を弱らせて鳴でトドメを差す。こういう感じだった。


ところが鳴が補習で来れない時に敵が現れた。

二人はイエロー・メドゥーサとブルー・オーシャンにそれぞれ変身した。技術班の間違えなのかサービスなのかは分からなかったが二人の下着が丸見えだった。

他人のなら見たいが同意なく彼女の性的な部分は見たくなかった。

「二人とも同時攻撃だ」

電撃と海水が敵を襲ったがトドメが差せない。厄介なことに時間が経つと変身は解けてしまう。

「圭、Wだ。両手それぞれで同時に電撃しろ」

言われるままに放った圭の電撃は敵を切り裂き爆散させた。


敵を撃破し三人は会社に戻った。

そしてちょっと圭にさっきの作戦で二人きりで話がある、と言って資料室まで手を引きキスをした。最初は圭が私を好きだったはずだが、今ではどうしようもないくらい私も圭が好きだった。


「さっきは格好良かった。ありがとう」

そういうと小さい身体を伸ばして私にキスを返してくれた。幸せすぎて地球の公転を止めたい気持ちだった。


それから会議室に二人で入った。

社長に鳴がいない時の戦いに目途が立ったと報告をした。

真彩もきっと同じような事ができただろうが、それは次回以降でやらせよう。

メインヒロインに成りたがってた圭を優先させたかった。完全な職権乱用だが構うものか。

鳴以外のセンターもいろいろ試してみようと言う話でまとまり会議は終わった。


帰りは二人を私が送る。

変身すれば飛んですぐだが家がばれてしまうからだ。まず真彩を下ろし手を振った。

圭の家にすぐには向かわず遠回りした。

「お前との約束ちゃんと守るからな」圭の言葉で少し胸が痛かった。

まだ中学二年生だからダメなのは分かってる。でも節度は守ってるし隠したくなかった。

「私は否定したくない。圭との関係を」

最初に言った言葉と真逆の言葉を圭に行った。すると我が儘あまり言うなと諭されキスをされた。

「四年待たなくても二年くらいできっと平気だ。わたしは我慢するぞ」という圭は大人だ。好き過ぎて常識的な判断が出来なくなってるのが私だった。


だが、鳴と真彩には早めに話そうと私は思った。


























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