8/8
「」5
「嘆いていても仕方ない。とりあえずここから出よう」
那々が鼓舞するように言う。腕を組んでどうするかを考えている。
「出ようったって那々、出口わかるのか?」
「今も幻術の中にいるのか判断できてないんだ。核を壊した方が早い」
メルトダウンはヤンキー座りで那々に聞く。
持ち武器の効率の悪いリボルバーをホルスターから抜いている。
那々がペットボトルの水を指に付けて振り払う。
すぐ近くの木が破裂して引きちぎったように2つに別れたのに、倒れることなく浮かんでいる。
この光景が幻術によるものなのか、この場所特有のものなのか、判断がつかない。どちらも有り得るからだ。
「あんの、ジジイ!今度あったらタダじゃ済まないわよ!」
「ころす?」
「金をふんだくった後にね!」
「流石ミラノだぜ!……依頼はどーすんだ?やんなくてもいいくらいの仕打ちだぜ?」
「とは言っても相手が相手だ。達成した後に突き出してやろう」
「……あの子と連絡が取れれば」
「あのこ?」
「コーヒーマスターよ」
「ん?そんな名前だったか?」
「表の顔だ。裏の顔は禁断の錬金術士だ」