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〇✕

街並みが遥か下にある。

雲を突っ切って進む。ここは騎空艇。

どんな嵐にも負け………………ない。


普通の騎空艇では無いが、そな説明は追々。

小回りが利くタイプで、少し小さいサイズだ。

そんな騎空艇の溜まり場になっている機長室の扉を勢いよく開けたのは、眉尻が弱々しく下がっていて、寝不足が目立つ小さな少女。


「バースデーさん!」

「そっちで呼ぶなと言っている!」

「す、すいません!零羅(れいら)さん!」


機長席に長い足を組んで座る女性。

長い紺色の髪が特徴的だ。艶やか過ぎて鏡になりそうだ。


零羅・バースデー。名前を呼ぶことを極端に嫌う零羅はビクビクとしている少女に見向きもせずに、呼び方1つでヒステリックだ。

あまりにも感情的すぎて何かあったとのではと勘ぐってしまう。


この騎空艇は機関室やらなんやらと部屋の数は多い。

その中でも機長室は騎空艇の上部に致している。


かなり豪華で広い間取りとなっていて、20人くらいが寝っ転がってもまだ余裕はある。


空の上で揺れることも多いのに、実質的な権力を全て持ってる零羅の以降によって、パーティー会場みたいな豪華さだ。


シャンデリアは当たり前として、壁画も飾ってあって、零羅以外知りもしないピンクの髪の女性の絵画が4箇所に飾ってある。


零羅は時々、いや、暇な時は常にその絵画を見て悶えている。

皆慣れた光景な様で、なにも言わないが。


そんな零羅だが、仕事は仕事としてちゃんとこなすので、自分的には冷静になったつもりで、再度尋ねた。


「で、何の用だ」


そしたらかなり怯えさせている。

相手に平常心という事が伝わっておらず、その事にもイライラする。


当たり前だ。零羅は傍から見れば、握りこぶしはギリギリと力強く握られ、前のめりな姿勢で貧乏揺すりが止まらない。


底冷えするような、女性がここまでの低音で話せるのかと言うほどの声音は、機長室が一瞬静まり返るほどの緊張感を走らせた。


極めつけは目付きが正常人のそれでは無い。

射抜かれたら軍人でもひるむことは間違いなかった。


「そうカッカするもんじゃない」


場の空気を多少なりとも和ませようと、年季の入ったコートを着た初老にかかる男性が渋い声で言う。


身長190はある大柄で、鍛えているだろう肉体はコート越しでも大きく見える。


腕なんかは零羅の胴回りくらいありそうで、屈強という言葉がかなり相応しい。


少し長い黒髪は後ろに流されていて、括られている。

温和な目付きをしているが、戦いの中を生き抜いてきた人特有の鋭さは抜け切ってはいない。


「機長は黙ってて!こっちはね、こっちはねぇ!お姉ちゃんから連絡がこないんだから!!!」


零羅がイライラしている理由が判明したと同時に初老の男性、機長は大きなため息を吐いた。


またか、と。


大人しくなってもらうためには人の言葉ではなく、そのお姉ちゃんとやらからの連絡か、緊急な仕事でも入らない限りはこんな状態が永遠と続く事は短くない付き合いで分かっているので、諦めてソファ二どっかりと座り込む。


そして、ふと考えた。そこまで大切な人、大切に思える人が居るのは羨ましいねぇと。


「想像の5倍以上はどうでもいい理由での不機嫌だったのね。可哀想に、セキラン、こっちへおいで」


零羅の状態の理由を初めて知っただろう女性が鼻で笑ってしまった。


こちらは長い赤髪と、常に少し微笑むでいて妖艶な雰囲気を醸し出している。


動きやすさを度外視した黒のドレスに身にまとっていてとても騎空艇の船員とは思えない出で立ちだ。


彼女は八重(やえ) 真珠(しんじゅ)。零羅の睨みをサラッと微笑み返す余裕のある女性だ。


特にセキランがお気に入りなのか、事ある毎に呼び出して引っ付かせている。


部屋も一緒らしいし、ご飯も風呂もいつも一緒なのだ。さすがに仕事中までは一緒に居られないので、互いの写真が入ったロケットを身に付けている。


「うわぁん。うへへ〜」

「だらしねぇ顔しやがってよォ、セキラン。わざとじゃねーのか?」


セキランも嬉しそうに、先程までの怯えっぷりはなりを潜めて母親に抱き着くような、恋人に抱き着くような感じでめいいっぱい、体全体で真珠に抱きついた。


それをみた機長は、セキランを茶化すが、どこから出てきたのか分からない冷気を宿す刀が肩に置かれた。



セキランの目の色がダークグリーンから透き通るような青色に変わっていて、伸ばした腕から延長するように刀が伸びていた。


余りにも一瞬のこと過ぎて何が起こったかは理解でぎず、とりあえず自分がヤバい状況だと無理やり理解して両手を上げてる。



「は、ははは。じょーだん。じょーだんだよぉ」

「機長……」

「なんか文句あっか?モーメントよぉ」

「お手上げ〜」


機長の横に立っている糸目のモーメントと呼ばれた男が情けない上司の姿に悲しむ。


機長は、自分たちとは違うこの化け物と一緒にするなと軽く裏拳でモーメントの腹を殴る。


裏拳を難なく受け止めて、その衝撃の強さに手のひらがビリビリとしばらく動かなくなった。


手をヒラヒラさせて非を認めた。

認めなかったら、このヒステリックか情緒不安定か何考えてるか分からないヤツと戦ってみろとか言われそうだったので、それならばと1番ダメージの少ない選択をしたのだった。

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