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2023年大納会

 2023年も終わる。

 どんな一年だった?

 と聞かれれば、個人的には高校生になった一年。ということになるのだが。

 世間的には、野球一色の一年だったように思う。


 ワールドベースボールクラシックの世界一奪還

 慶應高校の100年以上ぶりの甲子園優勝

 阪神タイガースの38年ぶりの日本一

 大谷翔平の二刀流本塁打王と10年7億ドル契約。。。


 くる年はどんな年になるのか。

「どんな年になると思いますか?」

 顧問の問いに、かわいい人は「なこと、わかるわけないじゃん」と横を向いた。

「だって、未来のことは誰にもわからないって、いつも言ってるじゃん」

「それはそうですが、決まってることだってありますからね。それでどんな動きが出るかを考えることは、意味あることだと思います」

「決まってること?」

「来年はうるう年ですよね」

「うるう年? なに、それ?」と男の先輩。

「なことも知らないの? 2月29日まである年のことよ」

「そうなんだ、へえ」

「で、うるう年だからって、なにかあるんですか? 一日分多いから、売上が増えるってこと?」

 顧問は笑った。

「なるほど、そんなこともあるかもしれません。でも、もっと大きな、世界的なイベントがありますよね?」

「世界的なイベント?」

「わかりますか?」顧問はいきなり、わたしに顔を向けた。

「オリンピック」

 静かに答えると、かわいい人は大げさな声を上げた。

「えー、オリンピックってうるう年にやるんだ。そうか、4年に一度だもんね」


「オリンピックは経済にどんな影響を及ぼすのか、という視点は十分考えられますね。短期的な視点かもしれませんが」

「スボーツ用品メーカーの売上が伸びるとか?」

「他には?」

「広告代理店とか、ネット配信の会社とか、フランスまで見に行く人も多いから、旅行関連も」

「ですね。そうした関連で、まだ動きの鈍い銘柄があれば、買いかもしれませんね」


 決まった予定は、他にもありますと言って、顧問が例示したのは、選挙だった。

「ロシアでは大統領選があります。が、これは名ばかりですから、プーチンさんがそのまま居座るのでしょうが、注目はなんといっても11月のアメリカ大統領選でしょう」

 トランプさんが返り咲けば、世界的に大混乱が予想されると言われています。

 過去、トランプ氏が初めて大統領選に勝利したときは、世界的に株価が暴落した。

 しかし、すぐに回復した。今度はどうなるだろう。

「政治的には日本も厳しい立場になるかもしれない。米軍基地負担をもっとしてくれなければ、米軍は撤退すると言ってくる可能性がありますから。裏金問題でゴタゴタ続きの自民党では、岸田首相も外交まで目を配ることができるかどうか。そもそもトランプさんの相手をできる政治家が今の日本にいるのかどうか。亡くなった安倍さんのような芸当は、なかなか誰にもできるものではないでしょう」


 顧問の話は、視点として興味深いものではあったが。

 では具体的にどうするという点では、何らかの正答があるわけではなかった。

 それぞれが自分なりの見方で選択する。

 投資に限らず、人生とは、その連続なんだろう。


 2023年は。

 世界の株式時価総額は108兆ドルとなり、日経平均株価の終値は33,464円。

 昨年末の日経平均株価は26,094円だったから、28%もの上昇だったことになる。

 日経平均のインデックスに投資したとすれば、それだけで3割近い含み益が出たことになる。

 わたしは。


 2023年12月29日現在 わたしのポートフォリオ

 ・1678 NEXT FUNDS インド株式指数 Nifty50 連動型上場投信 1,400株 買値300円 株価327.2円 時価458,080円 含み益38,080円

 ・2579 コカ・コーラボトラーズジャパンホールディングス 200株 買値1,530円 株価2,025円 時価404,900円 含み益98,900円

 ・6623 愛知電機 100株 買値3,615円 株価3,655円 時価365,500円 含み益4,000円

 ・7330 レオス・キャピタルワークス 300株 買値1,358円 株価1,183円 時価354,900円 含み益▲52,500円

 ・8306 三菱UFJフィナンシャルグループ 400株 買値1,067円 株価1,212円 時価484,600円 含み益57,800円

 現金 95,517円

 時価総額 2,163,497円 含み益163,497円 含み益率8%


 わたしの投資は7月からだった。

 当時の日経平均株価は32,000〜33,000円ほどだったので、仮に32,000円とすれば、4.5%ほどの上昇だったことになる。

 この期間にかぎって言えば、わたしは日経平均株価を超えた。日経平均株価を構成する225種に含まれない銘柄もあるので、単純比較はできないものの、わるい気分ではない。


 くる年に向けて、わたしなりの考えは。

 株価は好調に推移する。少なくとも、アメリカの大統領選が終わるまでは。

 理由はみっつある。


 理由その一

 給与が上がり、個人の過処分所得が増えるため。

 所得が増えると、インフレへの耐性が増す。値上げが許容されれば、企業収益が増す。EPSの増加は株価上昇要因になる。日経平均株価のPERは15倍に満たず、市場人気に過熱感はない。


 理由その二

 新NISAが始まるため。

 年間360万円の非課税枠が新設され、株高もあって、関心が高まっている。

 新たに運用を始める人々の資金流入が株価の支えになると思われる。


 理由その三

 新NISA積立枠の人気商品に外国株投資が多く含まれることから、為替の観点からは円安圧力になりうる。

 輸出やインバウンドにはプラスに働くものと思われる。いずれも株高要因になりうる。


 では、どんな銘柄が伸びるのだろう。

 理由その一の値上げは、商品に付加価値をつけて、価格の上げ幅を拡大できたところが大きな恩恵を受けるだろう。

 例えば、2937 サンクゼール。

 食の製造小売りの会社で、「久世福商店」等を運営する。

 高品質の商品を扱うことから、コスト増を価格に転嫁しやすいと想定される。

 あるいは、3661 エムアップホールディングス。

 ファンサイト運営や電子チケット事業などエンターテインメントに関わる。趣味に関わることなので、お金に糸目をつけない層から恒常的なお金の収集が期待できる。


 理由その二の新NISAは、ふたつ考えられる。

 ひとつは、積立枠で主となるだろうインデックスファンドで買われる日経平均採用銘柄、特に指数に大きな影響を及ぼす銘柄。例えば、9983 ファーストリテイリング。世界的なアパレルながら、海外売上比率は56%で、日本市場と世界市場の大きさを勘案すれば、成長余力はなお大きいと考えられる。

 もうひとつは、投資枠で買われるだろう高配当株。配当にも課税されないので、投資枠で購入する人は多いのではないか。例えば、3431 宮地エンジニアリンググループ。橋梁に強い建設会社で、増収増益を続け、受注残も豊富。配当率は5%に達し、10月に株式分割したことから、株式取得も容易になった。


 理由その三の円安は、輸出産業全体に恩恵をもたらす。

 例えば、7201 日産自動車。

 元社長の国外逃亡劇などでゴタゴタしていたが、コロナ後は順調に増収増益を続ける。

 PERは5.5倍程度、PBRは0.4倍に満たず、割安感が強い。

 また、インバウンドなら、鉄道会社はわかりやすい。旅客輸送だけでなく、流通、宿泊、観光、不動産など多岐に関わる。

 例えば、9041 近鉄グループホールディングス。

 大阪、京都、奈良はじめ沿線に国際的にも有名観光地を抱えるだけでなく、旧近鉄エクスプレスの国際物流事業も持つ。


 と、説明して、わたしは先輩二人の顔を見た。

「いいんじゃないの」とかわいい人は言った。「よく考えてると思う」とは男のほう。

 こうして、2023年は終わっていった。

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