推しの銘柄
「志帆ちゃんのおしはだあれ?」
年が明けてから、母方の祖父母の家に行ったときのこと。
昨春から社会人になった従姉から聞かれた。
「おし?」
現役女子高生の端くれであるにもかかわらず、迂闊にも、「唖」という漢字が咄嗟に浮かんだ。
怪訝な顔をしていたのであろう。
従姉は「好きなアイドルとかいないの?」と笑った。
そこで「推し」のことかと理解した。
「いない」
とだけ返答した。従姉は、やれやれという顔をした。
聞けば、従姉の「推し」は韓国の女子グループだそうだ。
なんと言ったか、すでに記憶にない。
ただ、驚くべきことに、従姉はその「推し」のために、ふた月に一度は韓国まで行き、数々のグッズを買い求めるのだという。だけでなく、グループ何人かでお金を出しあって、「推し」の宣伝動画を制作し、それをソウルの駅のデジタルサイネージで流すのだそうだ。
「今月は東京でコンサートがあるから、旅費がかからなくて助かるわ」
などと言いながら、チケット代は十万円以上するのだとか。
いったい年間いくらかけてるのか尋ねると、
「ヒコーキ代や宿泊費コミコミで100万じゃ足りないかなあ」
新入社員の給料では、生活費を除くと、手取りのほぼ全てが吹っ飛ぶのだそうだ。
素直に思った。
「おそるべし、推し!」
かつて、韓国経済が破綻の危機を迎えたとき、国の発展のために見出した活路のひとつがエンタメだったと聞く。
今日のKポップの隆盛はその背景から生まれたらしい。
それが従姉をして、年6回も韓国まで足を運ばせ、彼の地で多額を落とさせる。
エンターテイメントのプライスは、普通の商品やサービスとは違う。
安ければ買うというものではないし、高ければ買わないというものでもない。
熱狂にある中では、少々高くても、いや、相当高くても、希少商品や体験欲しさに大枚を使うことを厭わない人たちが一定数いる。
とは、誰もが常識としてもつ認識だ。
しかし、従姉の話を聞くにつけ、わたしは自分がこの常識を軽視していたことを反省した。
自分の好きのために大金を積むことを厭わない人たち
この人たちを相手にする会社とはどこなのか。
いや、大金でなくともいい。
とにかく、娯楽のために、喜んでお金を払う人たちを相手にする会社。そこは底なしの成長株のはず。どこだ?
正月休みにピックアップした中では。
・3661 エムアップホールディングス
ファンサイト運営と、電子チケット事業を行う。
売上高は2019年3月期から6,919百万円、11,061百万円、12,325百万円、13,574百万円、15,936百万円ときて、今期は17,500百万円を見込む。
営業利益は同様に403百万円、729百万円、1,107百万円、1,679百万円、2,074百万円ときて、今期は2,500百万円を見込む。
増収増益を続け、しかも営業利益率が拡大している。EPSは2019年3月期の▲69円から、2023年3月期は30円、今期は42円を見込む。
無借金で、総資産、純資産とも、一貫して増え続けている。
音楽、スポーツはじめ、熱狂的な人たちの輪を広げ続けることで、この会社はまだまだ成長すると思われる。
見込PERは23倍程度と、低くはないが、高い増益率を鑑みれば、高いとも言えない。
売上高の伸びは堅実で、無理のない運営をしているように見える。
株価は2022年に1,873円をつけてから、1,000円ほどまで調整中。2020年に600円ほどだったことからすれば、EPSの伸びに比べて株価は下押ししすぎではないか。
仮想運用の候補として考えたい。
・5032 ANYCOLOR
バーチャルを含めた動画配信を軸に、ファンサイト、ライブ、コンテンツ、グッズ販売など。
2022年の上場後、売上高、営業利益とも倍々ゲームで伸びている。
エンタメに疎いので、内実を把握できているのか自信はないが、芸能プロダクションとテレビ局と流通を一体にしたかのような事業形態と認識している。
業績は文句なし、財務も盤石で、利益率も極めて高いが、この勢いがどこまで続くのか、どうなれば落ち着いた動きに変わるのかがよくわからない。
PERは妥当な水準。
面白いと思うが、このような急成長株が今後どう推移するのかを見極めたいとも思う。
・9467 アルファポリス
WEB投稿されたライトノベル等から人気作品を選び、編集・書籍化出版する。
漫画が稼ぎ頭となり、アニメ化が電子漫画拡大、コンテンツ拡販につながる。
規模はまだ小さいものの、着実に増収増益を続けている。
営業利益率が2割以上あり、旧来の出版事業所と比較すると、極めて高い利益率と言える。
時価総額200億円ほどと、規模がまだ大きくないため、しばらくは高い成長を続けると思われる。
ただ、爆発的な飛躍には、例えば「鬼滅の刃」のような、世界的なブームを巻き起こす作品が必要だろう。そこは見ておきたいところと考える。
エンタメと聞いて思い浮かぶ銘柄は、正月休みにピックアップしたものの他にもある。最右翼は。
・6758 ソニーグループ
言わずとしれた日本を代表する世界的企業のひとつ。
会社四季報の業種分類では「電気機器」とあるが、その分類の他企業(例えば、パナソニックホールディングスやシャープ、キヤノン)とは趣きが異なる。
ゲーム、音楽、映画などエンタメが事業の主力だから。金融事業も持つ。半導体だのテレビだの、電気機器本来の事業はむしろ小さく、会社四季報の業種分類が適当なのか疑問さえある。
時価総額18兆円の巨大企業だが、エンタメの伸びる余地はまだまだ大きいと思われる。
世界的には、ネットフリックスやウォルト・ディズニーなど、より大きなエンタメ企業があるが、ソニーグループなら半導体やカメラ、テレビなどハードを含めたサービス提供が可能。金融を持つことから、財務も潤沢。
新NISAで成長枠に投資資金が流れてくるなら、知名度の高いソニーグループを選択する人も多いのではないか。インデックスに流れる資金からも、この株は自動的に買われるだろう。
仮想運用の候補に加えたい。
2024年1月12日現在 わたしのポートフォリオ
・1678 NEXT FUNDS インド株式指数 Nifty50 連動型上場投信 1,400株 買値300円 株価336.3円 時価470,820円 含み益50,820円
・2579 コカ・コーラボトラーズジャパンホールディングス 200株 買値1,530円 株価2,074円 時価414,800円 含み益108,800円
・6623 愛知電機 100株 買値3,615円 株価3,810円 時価381,000円 含み益19,500円
・7330 レオス・キャピタルワークス 300株 買値1,358円 株価1,227円 時価368,100円 含み益▲39,300円
・8306 三菱UFJフィナンシャルグループ 400株 買値1,067円 株価1,268円 時価507,000円 含み益80,200円
現金 95,517円
時価総額 2,237,237円 含み益237,237円 含み益率12%




