2話 森の秘密
エーティ「一緒に…探してくれるの…?」
瑛美梨「うん」
エーティ「信じられない…!なんて親切な方なの……!」
確かに日本人は親切だってよく聞くけど、これくらいは当たり前じゃないかな?と思っていたので、何故こんなに喜ばれたのか私にはわからなかった。それに、友達を見つけてあげないといつまでもこの魔女さんを私の家に住まわせることになる。それだけならまだしも、私の計画をいつまで経っても実行できなくなってしまう。。。そんなのは耐えられない………
私は魔女を連れて、きた道を戻っていった。
家に着いた。両親に気づかれないように注意を払い、私の部屋に入った。時計を見たらもう4時近くだった。
瑛美梨「魔女も、寝るの?」
エーティ「えぇ、もちろんよ。私たちはね、生物学的には人間なのよ。魔法が使えるか使えないかだけの差であって、生態は人間そのもの。」
瑛美梨「そう、じゃぁ寝る?私は敷物敷いて寝るから、ベッドの上で寝ていいよ。」
エーティ「そんなの悪いわ!私は床でもどこでも寝てるから心配しないで。それに、あまり眠くないの。時差ぼけかしら?」
瑛美梨「わかった。おやすみ。」
私はベッドに入った。
気づいたら朝になっていた。時計は11時40分を指していた。昨夜、確か私はあの暗い森に出かけたはず……。そうだ、そこで魔女に出会ってしまったのだった。
ー夢ー?
エーティ「瑛美梨おはよう!」
夢じゃなかった。最悪だ。
エーティ「瑛美梨、今日は学校はないの?」
瑛美梨「今日は土曜日だから学校はお休み。」
エーティ「クラブには入ってないの?」
瑛美梨「部活のこと?私は勉強に専念したいから部活には入ってない。」
エーティ「それじゃぁ私は行ってくるわね!」
瑛美梨「どこに行くつもり?」
エーティ「昨日の森!できる限り早く友達を見つけなきゃ」
そうだ、そうだった。私も手伝わなきゃ。森の場所がわからなくてエーティが迷子になっても困るし…。あれ、別にエーティが迷子になっていなくなれば、私は荷物が一つ減って好都合なのでは?それなのになんで……。
気づいたらエーティを連れて森に来ていた。
瑛美梨「エーティ、落ち着いて聞いて欲しいの。実はこの場所はね、多くの人が行方不明になっているの。」
エーティ「でも昨日は私も瑛美梨も無事に帰れたわ。だから大丈夫よ!」
瑛美梨「そうじゃないの、昨日はあまり深くまで行かなかったから……。」
エーティ「…私が瑛美梨の来た道を魔法で見て探って、さりげなく森の出口へ光を導いていたのよ。最初瑛美梨はより奥へ進み出口を求めていたわ。」
気づかなかった。全く。やはり魔法は本当にあったのか。…どうせ私には使えないから意味がないけれど。
エーティ「二人も私と同じ様に魔女。しかも私よりも魔法が上手なのよ。だから、あの2人なら生きていると思うの。」
瑛美梨「でもここからは魔力は感じないんでしょ?」
エーティ「まぁね。でもこの森は広いから、奥には居るかもしれないわ。少し奥も探してみたいの。瑛美梨、もしも一緒に探してくれるなら、できる限り私のそばを離れないでね。この森は、何というか、嫌な感じがするの…。何があるか分からないわ。」
魔女は勘もいいのかな。
エーティの勘通り、この森はただの森ではない。
昼間でも薄暗いこの森は、実は森というより樹海なのだ。この樹海に入って行方不明になった人も何人もいて、ここらでは少し有名な心霊スポットにもなってしまっている。それに、昔から、ここには恐ろしい魔物が住み着いている、なんて話があれば、樹海全体に呪いが掛けられていて入った者は死ぬ、なんて言い伝えもあったり。実際私の母親も、この樹海に入って、それから二度と帰ってこなかった。なぜお母さんがここに入ったのかと言うと…
エーティ「痕跡すらない。やっぱりここにはいないのかな。森の外も探していい?」
瑛美梨「ごめんね、昨日無理やり帰らせちゃったから。早いうちに探した方が、捜索範囲が狭くて済んだのにね…」
エーティ「大丈夫!」
その後も夕方の親が帰ってくる時間まで探したが、見つからなかった。
瑛美梨「そろそろ親が帰ってくるから、帰らないと。」
エーティ「分かったわ。私は夜になるまで探してるわ。瑛美梨は先に帰ってて。人間に見つからないように高い所を飛んで帰るから。10時ごろになったら部屋にいて欲しい。瑛美梨の部屋の窓をノックするから、そしたら入れてくれるかしら?」
瑛美梨「分かった。また後でね。…捜索、頑張って。」