傷者之子【6】
「これから部屋に案内しようと思うんだけど、何階がいい?」
一通り挨拶(と言ってもただ名前を呟いただけだが)を終え事務室を出た時、雷華に止められた。
「あぁ?そりゃどういうことだ?」
「どういうことも何も、貴方達今日からここで────このマンションで暮らすのよ」
マジかよ、初耳だぞ。
「……、てこたぁこんなデケェマンションなのにどこでも選べるほど余裕があるってのか?」
「ええそうよ、うちはね身内しか住んでないのよ。だから上の方とかガバガバ」
このマンションは不動産にはのっていないらしく、金があるからって住めよるようなところではないみたいだ。
「で、何階がいい?」
と、改めて聞いてきた。
「そんじゃ2階貰うわ。楽だし」
「りょうかーい────」
部屋を決め雷華が案内をしようと今度は管理室の方へ(鍵を取りに)足を運ぼうとした
「いや!」
が、ここで異を唱える者が1名。
彪だ。
「いや!いちばんうえがいい!」
「つってもなー、昇り降りに何分かかると思ってんだ?」
むぅ、と僕の言葉に頬を膨らませる。
「とりあえず、行って、見て、決めればいいわ」
最初は2階。僕の要望だ。
「………、─────」
特になんと特徴もない普通の家だ。2人で住むなら丁度いいサイズ感だ。
「──────いいなぁ、」
僕は狭い部屋が好みだからな、このくらいのサイズ感が丁度いい。
次は彪の要望の最上階。
「なっ…………!」
広すぎる。2人どころか10人で住める。
「いくらなんでも、ひろすぎやぁしねぇか?」
「そりゃそうよ。さっきの2階はワンフロアに40部屋位に備わっていたけど、このフロアは8部屋しかないもの」
単純計算でいくと5倍も違うじゃねぇか。
「やめだ彪。2階じゃないにしても5階程度が限度だ。それでいいな?」
窓から外の景色に目を輝かせている彪に向けて言う。
それを受けて彪が再度むぅ、と頬を膨らませた。
「景色が見たいなら見たい時に来ればいいわ?何年も住むことになるんだから楽な方いいわよ」
今度は4階。雷華の勧めだ。
「ここが丁度いいと思わ。広さも、高さも」
「あぁそうだな、今度こそここでいいな?」
「はーい」
彪は少し納得の言ってなさげな様子で承諾した。
〇〇〇
「とりあえず貴方達には高校卒業するまでうちにいてもらうわ」
4015号室に決めた僕達は、予め設置してあったリビングの椅子に腰をかけていた。
ちなみに彪は寝ている。
「卒業後は?」
「好きにすれば?」
「はぁ?」
「言ったでしょ。力の使い方をレクチャーするって。3年もあれば扱い方どころか応用とかプラスアルファまでできちゃうわよ。ま、つっても全て私がやるわけではないけどね」
「…………………」
「だから卒業後はどこいって何をしようと、私の関与するところではないわ。うちで働きたいなら大学には言ってもらうけどね」
それから一息置いて、
「それで改めて、行きたい高校はある?」
保存出来ないから何回かリセットされちゃうんすよ。多分これ4回目