表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

《童話》ネコさんとクマさん

[童話]流れ星のひみつ




 あるところに、お()さまの(ひかり)がぽかぽかとあたる(おお)きな(もり)がありました。


 その(もり)のはじっこに、みどり(いろ)屋根(やね)(いえ)がありました。


 その(いえ)(なか)で、(くび)もとに(しろ)三日月(みかづき)もようをつけたクマさんがストーブの(よこ)で、(おお)きなイスにすわっていました。


 そのクマさんにくっついて、まっ(しろ)いふわふわな毛並(けな)みのネコさんが、ぷうぷうと(ねむ)っています。


 ときどき、ゴロゴロとのどを()らしながらぐるんと()がえりをします。


 クマさんは(さむ)(ふゆ)になると、もこもこのふわふわの冬毛(ふゆげ)になります。


 それが気持(きも)ちよいので、お(なか)いっぱいになったネコさんは(ねむ)ってしまったようです。



 ☆ ☆



 今夜(こんや)は、こぐま()流星群(りゅうせいぐん)()です。


 お(ほし)さまが(もど)ってきたと、大喜(おおよろこ)びをしていたネコさんは、()しパンのお(れい)にクマさんをさそいに()たのです。


「クマさん、(なが)(ぼし)()()こうにゃ」


 けれどクマさんは、(こま)った(かお)をしてしまいました。


「それは、いますぐ、じゃないよね?」


(よる)にならないと、お(ほし)さまは()えないにゃあ」


 クマさんは、にっこりして()いました。


「じゃあ、あずきかぼちゃと、ゆずシロップのお(ちゃ)()んでからいこうよ」


 クマさんはストーブの上で、ことことと(なべ)(なに)かを()こんでいるようです。


「あずきを()ているから、ちょっとまってて」


 クマさんはストーブの(よこ)にある(おお)きなイスにすわると、ネコさんをとなりに()びました。


「はい。ゆずシロップの(はい)ったお(ちゃ)だよ。

 あついから、きをつけてね」


 ネコさんは、ねこ(じた)です。

 あついものは苦手(にがて)なのです。


 ネコさんは()のコップをもつと、(はや)くさまそうと(いき)をふきかけます。


 ふうふう、ふうふう。


 ふうふう。


 ふう。


 ぺろり。


「あついにゃっ」


 ふうふう、ふうふう。


 ネコさんが(いき)をふきかけるたびに、(あま)いゆずのかおりが部屋(へや)いっぱいに(ひろ)がります。



 ふうふう、ふうふう。


 ことこと、ことこと。


 ふうふう、ふうふう。


 ことこと。あずきが()えました。


 ふうふう、ふうふう。


 クマさんは、かぼちゃを()はじめます。


 くつくつ、くつくつ。


 ふうふう、ふうふう。


 くつくつ。


 ふうふう。


 こぽこぽ。


 クマさんもゆずシロップ入りのお(ちゃ)()みます。


 こくり。


「ネコさん、あたたまるね」


 ネコさんがまっ(しろ)(みみ)をぺっしょりとふせながら、おそるおそるお(ちゃ)()みます。


 こくり。


 あまぁいゆずシロップが、(くち)いっぱいに(ひろ)がります。


 ネコさんは、ほわほわとした気持(きも)ちになりました。


「あたたまるにゃあ…」


 ネコさんがまっ(しろ)毛並(けな)みをもっとふわふわにさせながら、ほわほわとゆずシロップの入ったお(ちゃ)をまた、ひと(くち)、また、ひと(くち)、こくり、こくり、と()みます。


 ストーブの(うえ)にのったお(なべ)からは、かぼちゃとあずきのあまい(にお)いがしてきました。


 くつくつ。


 ことこと。



「はい、できたよ。ネコさん、あずきかぼちゃ。めしあがれ」


 クマさんが()(つく)ったお(さら)に、みどりの(かわ)のついたきれいな(いろ)のかぼちゃをよそいました。


 かぼちゃには、あずきがたくさんのっています。


「わあ、お()さまの(いろ)(もり)(いろ)だにゃあ」


 ほくほくとしたかぼちゃは、お()さまのようです。


「それじゃあ、あずきは(なが)(ぼし)かなぁ」


 クマさんが、もぐもぐとかぼちゃを()べながら()いました。


(もり)にたくさんふってきたら、こんなふうになるのかなぁ」


 クマさんが()(つく)ったスプーンで、あずきをすくっては、おいしそうにもぐもぐと()べています。


「…クマさん、あつくて()べられないにゃ」


「おかわりを()べてまっているから、ネコさんはゆっくり()べてね」


「…おかわりも、()べたいにゃ」


「じゃあ、もうひとつのお(さら)によそっておくね。さまして()べよう」


 クマさんは、にっこりと()いました。

 ネコさんは、小さなあずきをもくもくと()べながら、にっこりとうなずきました。




 クマさんも、ネコさんも、お(なか)いっぱいになるまで、あずきかぼちゃとゆずシロップ()りのお(ちゃ)()みました。


 パチパチとストーブの(なか)(まき)(おと)をたてて()えています。


 あたたまった(からだ)が、もっとほかほかになってきました。


 だんだん、ねむくなってきました。


「…クマさん、(よる)になったら、(なが)(ぼし)()にいくんだにゃあ…」


 ネコさんは、ふわふわの(あたま)をほこほこのクマさんのおなかにあてると、そのまま(ねむ)ってしまいました。




 ☆ ☆ ☆



 ネコさんは、(もり)(そと)()ています。


 (もり)(そと)には(おお)きなみずうみがあって、まぁるい(よる)(そら)()かんでいます。


 お(つき)さまがお(ほし)さまと(はな)しています。


「わたしが(ひか)っていると、(なが)(ぼし)()たちが()えづらいからね。

 ちょっとかくれているよ」


「それじゃあ、(もり)(なか)にいてはどうでしょう。

 (もり)のクマさんがストーブであずきかぼちゃを()ていましたよ」


「お()さまが一番(いちばん)(よわ)っているときだから、クマさんがつくってくれたんだね。

 わたしは(もり)のクマさんからあずきかぼちゃをもらって、(はや)くねむってしまったお()さまのおうちに()いてくるよ」


「お()さまも、すぐに元気(げんき)になるでしょうね」


(ほし)さまがにっこりと(わら)いました。


 すると、たくさんの(なが)(ぼし)(そら)(うえ)からふってきました。


 (なが)(ぼし)は、


 ひゅん、ひゅん、ひゅーん!


 と、みずうみに(ひかり)()としては、とおくに()んでいきました。


「お(ほし)さま、(なが)(ぼし)はどこに()くにゃ?」


 ネコさんがお(ほし)さまにたずねました。


 お(ほし)さまは、()をふってお(つき)さまをみおくってから、ネコさんにこたえました。


(なが)(ぼし)は、(にじ)のタネなのよ」


 ネコさんはびっくりしました。


 (にじ)(あめ)()()るから、(あめ)からできているとおもっていました。


(なが)(ぼし)()ちたところに、(あめ)がふって、そこから(にじ)()がでるの。

 でも、いつ(にじ)()がでるのかは、だれにもわからないの。

 ふしぎでしょ?」


 お(ほし)さまがにっこりと(わら)うと、ふたたびたくさんの(なが)(ぼし)(そら)(うえ)からふってきました。


 ひゅん、ひゅん、ひゅーん!


 (なが)(ぼし)はとんでいきます。


 そして、ある(あめ)()に、(にじ)()をだして、(そら)いっぱいの(にじ)になります。


(なが)(ぼし)は、(ひかり)のタネだったんだにゃあ」


 ネコさんは、クマさんにもこの(なが)(ぼし)のひみつおしえてあげたいと(おも)いました。



 ☆



「…クマさん、(なが)(ぼし)(にじ)のタネだったんだにゃあ…にゃむにゃむ」


 クマさんは、のこったあずきで団子(だんご)のおしるこを(つく)ろうと、(なべ)でくつくつと()ていました。


 ネコさんはふしぎな寝言(ねごと)()うなぁ、とおもいました。



 ☆



 クマさんの冬毛(ふゆげ)はネコさんに()グセをつけられて、もしゃもしゃになってしまいました。


 もしゃもしゃになったところをネコさんが(つめ)をしまった前足(まえあし)で、ちょいちょいとなでながら()いました。


「クマさん、(なが)(ぼし)(にじ)のタネで、(あめ)がふると()()て、(にじ)になるんだにゃあ!」


 ふんすふんすと、じまんげにネコさんが()うと、クマさんはこたえました。


「うん、しってる」


「にゃんでですかぁ〜?!」


 ネコさんは、びっくりしました。



 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆



 (よる)になってから、ネコさんはクマさんをつれて(もり)(そと)にあるみずうみまで()きました。


 今夜(こんや)星空(ほしぞら)(なか)にある(ちい)さなクマさんの星座(せいざ)から、たくさんの(なが)(ぼし)がふってくるのです。


「きれいだね」


「きれいだにゃあ」


 マフラーとコートと()ぶくろで、もこもこになったネコさんと、もこもこのポンチョをかぶったクマさんがにっこりと(わら)いました。


 お(ほし)さまもにっこり(わら)って、きらきらと夜空(よぞら)にひかりつづけました。



 あ、また(なが)(ぼし)がとんでいきます。


 ひゅん、ひゅん、ひゅーん!


 お(ほし)さまが(わら)うと、(なが)(ぼし)もうれしくなってとんでいくようです。



 こんやは、たくさんの(なが)(ぼし)()えることでしょうね。




  〜おしまい〜




ネコさんとクマさんのお話がもうひとつあります。↓


『[童話]お星さまのひなたぽっこ』

(https://ncode.syosetu.com/n4828hi/)


よろしければ、どうぞ。ʕ•ᴥ•ʔ



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言]  読ませていただきました。 良かったです! 動物たちの可愛らしい様子と、寒い冬を過ごす感じがほっこりします。 〉流ながれ星ぼしは、虹にじのタネ いいなあ。  ありがとうございます…
[良い点] 流れ星は虹のタネ…なんだか素敵ですね✨ 虹の芽、どんな感じなのか見てみたいですね~(*-ω-) 可愛らしくて素敵なお話しでした♪ 素敵な作品をありがとうございました☆彡
[一言] 食べ物がおいしそうな作品は名作って分かるんだ。 かぼちゃあずき食べさせて欲しい。 蜂蜜と交換で^^
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ