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完結済甘々連載シリーズ

・トランプラフ・番外編 〜罰ゲーム〜

作者: 衣谷強

令和三年五月に完結した、『・トランプラフ・』のアフターストーリーです。

家紋 武範様からレビューをもらい、嬉しさのあまり一話書き上がってしまいました!

華澄と徹のその後、楽しんでいただけたら嬉しいです!

 放課後。

 いつものように『・トランプラフ・』のメンバー四人は、山城やましろ華澄かすみの教室に集まっていた。


「ほな今日も『ドン』でえぇか?」

「いいけどお兄ちゃん。せっかくだから罰ゲームいれない?」


 寧香ねいかの言葉に、とおるは腕を組んでうなる。


「うーん、罰ゲームかぁ。山城、どうや?」

「な、何するんかによる、けど……」


 不安そうな華澄に、寧香はぱたぱたと手を振る。


「簡単簡単。一番勝った人が、一番負けた人に一つ命令するってだけ。任太郎にんたろうさんはどう?」

「うん、シンプルでいいんじゃないかな? 命令が罰ゲームの範囲かどうかを、二位と三位の人が判定すればいいよ」

「なるほどな。それならエグい命令はできんな」

「……そんなら、ウチもえぇよ」


 徹と華澄の承諾に、寧香が拳を突き上げる。


「そうと決まれば今日は勝つよー! お兄ちゃんを絶対最下位にしてみせるから!」

「望むところや! かかってこい!」


 そして勝負は始まった。




「どうしよっかな〜。……任太郎さん! ごめん! 2!」

「残念。僕も持ってる」

「げっ! 四枚回って来よった……!」


「8でスペードに……」

「それドン」

「うわっちゃ! やられた……って任太郎、4二枚って……」

「上がりは上がりだよ。さ、次次」


「はいその13ドーン!」

「くっ、11と2にジョーカーとか、ほんっと性格悪い!」


「あの、難波なんば君、それ、ドン……」

「げっ! この11捨てられたら、2とジョーカーと8で10にドンできたんやけど……!」

「華澄さんやるぅ! お兄ちゃん自業自得!」


「ラストワン。スペード」

「ぬっ! 取るしかない、か。山城! 変えてくれ!」

「……う、ウチも普通に出すしかできん……」

「寧香!」

「……ざーんねん」

「上がりだ」

「くぅ……! またジョーカーが……って寧香お前! スペードの2、持っとったやないか!」

「任太郎さんが2で待ってて、ドンされるかもって思ったから」

「な、お、お前ら〜……!」

「ど、どないしたん?」




 十ゲームを終えて、順位が決まった。


「はい! 一位は任太郎さん! 二位は華澄さん! 三位は私! そして最下位は……」

「こんなん認めんぞ! お前任太郎と組んで卑怯やないか!」


 文句を言う徹に、寧香は涼しい顔で答える。


「え? 何が?」

「任太郎は上がる事、もっと言えばダメージを受けんようにジョーカーや2をとっとと捨てて、お前は俺にガンガン攻撃する! で、任太郎が罰ゲームを握れば、どっちが最下位でも問題はないって話やろ!」

「なるほど、面白い推理だね」


 任太郎も余裕の表情を崩さない。


「でも負けは負けだから。罰ゲームは受けてもらうよ」

「な、何をさせる気や!」

「そうだなぁ……。山城さんの事、下の名前で呼ぼうか」

「はっ!?」

「え……」

「ふふーん」


 驚く徹。

 戸惑う華澄。

 胸を張る寧香。


「……なーんや、そんなんでえぇんか。ビビって損したわー」


 一瞬驚いたものの、徹は気楽に笑う。

 徹からすれば、華澄は友達。

 名前を呼んで終わりならば楽勝、徹はそう思っていた。


「考えてみたら、このメンツで、山城だけ苗字呼びやったもんな。ほんなら行くで!」


 事の重大さを唯一理解していない徹が、


「かーすみっ!」


 何とも軽く呼びかけた。


「お兄ちゃん……」

「はぁ、小学生の時から、まるで成長していない……」


 二人は作戦の失敗を確信した。

 だが呼ばれた当の華澄の顔が、見る見る綻んでいく。


「え、あ、な、何……!? や、山城……?」


 その輝くような笑顔に、徹は気圧される。


「……あの、ウチも、徹君って、呼んでえぇ……?」

「!」


 その瞬間、徹の顔が夕焼けよりも真っ赤に染まる。


「え、ちょ、な、何やこれ、えぇ……?」

「……徹君……」

「ちょ、え、待って待って! え、何やのこれ!?」


 慌てふためく徹を見ながら、寧香と任太郎は胸を撫で下ろす。


「ふ〜、どうなるかなと思ったけど、点は少しは近づいたかな〜?」

「多分効いたと思うよ? あんなにテンパる徹、初めて見たから」


 最終下校のチャイムがなるまで、徹のテンパリと、寧香と任太郎のにやにやと、そして華澄の嬉しそうな笑みは続いていた……。

読了ありがとうございます!


これで朴念仁の徹も少しは心動いた事でしょう。

・も『ラ』の横くらいには動いたかな?


家紋 武範様、イチオシレビューで創作意欲をいただきました!

ありがとうございます!


た、ただ勘違いしないでよねっ!

れ、レビューをもらえたら、何でもアフターストーリー書くと思ったら大間違いなんだからっ!

……で、でも今後も何か思い付いたら、書いてあげなくもないっていうか……。

べ、別に読者様のためじゃないからねっ!

私が書きたいから書くだけなんだからねっ!




待って待ってレビュー砲を向けないで(笑)!

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― 新着の感想 ―
[一言] わ~い。続きが、きましたよ♪ ・が動きました! いやぁ、自分で呼ぶ方は問題ないけど、呼ばれる方だと……。焦ってますね(笑)。青春だなぁ。
[良い点] こういう甘酸っぱいお話、大好物なのでとても面白かったです! 軽い気持ちで名前で呼んで、凄い嬉しそうな笑顔で名前で呼び返されて真っ赤になる、読んでいて凄くによによしてしまいました。 [一言]…
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