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おっさんが行く 異世界で軽運送   作者: 仕事の傍ら執筆中
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おっさん大地に立つ

「これが…異世界」


 草原にひとり立つ俺の隣には相棒の軽バンが。よし、この世界でまた軽運送やって生きて行こう。


 時折吹く風の音以外は静かだ。辺りを見回すとすぐ側に道が見えた。ほかに建物とかは見えないな。田舎なんだろう。地球の4m道路くらいのその道は土がむき出しで多少でこぼこしているが、スピード出さなければ走行に支障は無さそうだ。うっすら轍のようなものが見える。馬車とか走ってんのかな。よし、これを進んで行こう。集落が見つかるといいな。


 クルマに乗り込む前に車体を一回りしてチェック。うん、イノシシとの衝突でベッコリいってるかと思ったらキズは全く無し。サワガミくん、神の力かなんかで直してくれたんだね。よしよし。

 ありゃ、荷室の荷物はそのまんまだ。コスモドラッグに届ける商品がまるまる載っている。

 いまさらどうしようもないので、これはありがたく使わせてもらおう。 バイヤーさんに心の中で手を合わせる。

 ペットボトルの水、お茶、ジュースが各2ケース。ポテチ、豆菓子、チョコレート類が数箱。シャンプー、コンディショナー、洗剤類、いろいろあるな。思い出してきた。今回の配達はやたら品数が多かったんだ。 積込みの確認に時間かかったもんな。

 まぁ、これらの物資、新生活の助けになるなら大歓迎だ。特に食糧と水。ここがどんな田舎かわからないけど、とりあえず食うものあれば命は長らえるよな。


 キーを回しエンジン始動。おお、カーナビ!この世界の地図になってる!神様、スゲー!サワガミくんとかディスってすまん。

 よし、付近の町を探そう…ピッ、ピッ、と。これ…かな。なんか建物の形を発見。5キロか。ゆっくり走って10分くらいで到着できそう。よっしゃ、出発!

 良かった、めっちゃ山奥とか、道の無い崖の上とかに転生してたら即詰んでたかもしれん。

 あれ、たしか赤ん坊から始まるのが転生だったっけか。俺は年齢変わってないみたいだし、飢餓に備えた豊かな腹回りも健在だ。これは転生?転移?どっちでもいいや。


 ガタゴトと相棒をゆっくり走らせながら、転移前の神様とのやりとりを思い返す。


 俺がサワガミ君に希望したものはいくつかある。というか、サワガミくんが細かいところまで引き出してくれたと言った方が正確か。あいつ、いいやつだな。俺が考えなしに適当に決めてたら、きっとこっちの世界で困ることがあっただろう。


 まず、俺のコンプレックス、というか気質なのだが、スピードが無い。反射神経が鈍いのは自他ともに認めるところ。動作もだが、言葉もサッと言われてサッと応える、なんてのが苦手だ。頭の回転が速い奴たまにいるよね。いいなぁ。

「問題ありません、素早さが要求されるような事態に陥った時に発動するスキルをつけましょう」

 サワガミくん、グッジョブ!

 次に、逆にサワガミくんから指摘されたこと。それは

「現代日本人には、異世界の文明レベルは少々辛いかもしれません」

 どういうこと?

 サワ君曰く、例えば異世界の住人が着る服は簡素なもの。紙が貴重品で一般に流通していない。乗り物は馬車がせいぜい。調味料や調理法は未発達。電気はもちろん無く、水道も整備されていない。トイレは安定のドッポンらしい。代わりに生活魔法があり、明かりを灯したり少しだけ水を出したりはできるという。


 いやぁ、考えなしに異世界に行かなくてよかった。そのへん、なんとかしてくれるの?


「はい、限定的ですが、現世の物品を召喚できるようにしておきます。召喚は1日1回、ゲートを固定する必要があるのでヒロさんの車の荷室に入るものに限りますが、ヒロさんの魔力成長に応じてより貴重なもの、複雑なものを召喚できるようになります」


 おい、いつの間に俺のこと名前呼びになったんだ、サワ。いいけど。


 まぁでも、これは正直に助かる。食べ物とか、いきなり素材の味オンリーなんて耐えられる自信が無い。服も柔らかいものじゃないと肌アレルギーの俺にはつらい。トイレットペーパーも、ソフトのダブルじゃなきゃ、俺の黄門様が黙っちゃいない。


 サワ、グッジョブ!気が利くな。


 細かいところまで掘り下げていけばまだまだ欲しいものはあるのだろうけど、言い出したらキリがないし、後はおいおい現地で工夫していけばいいかな。


「では最後に、魔法を生み出すスキルをつけましょう。生活に必要な物や力は、生み出した魔法を使ってください」

 …なんですと?

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