完全数496 ※一人称 真智 モノローグ
後で谷先生に教えてもらったんだけど、
研究施設の壁に刻まれていた楔型文字は、
古代メソポタミアの人々がモジュラーの唄を聴いて感じた感動を
音階の波形で表現したものだったんだって。
モジュラーの唄というのは、
いにしえの音楽家が作った音楽で、
音色やリズムやメロディーが自在に変化するんだ。
それを聴くと、人間の感情や思考や記憶が刺激されて、
すごく不思議な体験ができるんだよ。
でも、その音楽は音楽家が持ち帰った特殊な楽器でしか再生できなくて、
今では誰も聴けないんだ。
だから、楔型文字で残された波形がどんな音楽だったのか、
あたし達には想像するしかないんだけど……
あたしは谷先生にもっと知りたいって言ったら、
谷先生は笑ってこう言ったんだ。
「この波形にはな、秘密が隠されとる。
それは《《496》》という完全数に関係があるんや。
完全数いうのはな、自分自身を除く約数の和が自分自身と等しい数やねん。
496もその一つなんや。
この数は古代から神秘的な意味を持つとされてきてな、
モジュラーの唄もその数に基づいて作られとるんや。
でもな、その数がどうやって音楽と結びつくのか、
それはまだ解明されていない謎なんよ」
ねえ、これってすごく興味深いことだって、
あなたもそう思わない?




