遍在するもう1人の私
「はい。
彼の存在はもうじき
消えて無くなります」
「そんな…………。
何か、方法は無いの?」
「ハァ~、やはり諦めきれませんか……。
あなたならきっとそう答えると実は予想はしていました。
仕方がありませね……」
〝それ〝は決して明るくは無く、
むしろ曇った表情でしぶしぶそう答えると、
食い下がる少女に対しある条件を出した。
「彼が消えるのを止めてあげましょう。
但し……、一つだけ件があります」
「条件……?
それってなに?」
「あなたにはその代償を払ってもらいます」
「代償?
彼が助かるなら私どんなことでも受け入れるわ!
だから教えて?
私がどうなれば……、
彼が助かるの?」
「あなたには次元の果てで
たった一人永遠に眠りにつくという約束をしてもらいます。
そして万が一。彼があなたを探しみつけたとしても、決して彼を近づけてはなりません。
もしあなたがこの約束を破れば、
あなたと彼はお互いに記憶を失います。
そして、仮になにかの拍子に記憶を思いだせたとしても、あなたの理性が暴走し、ただでは済まされないでしょう……。
あなたにそこまでの決意と覚悟はありますか?」
「……」
少女は一瞬考えたが、彼女に迷いは無かった。
「いいわ、お願い!」
少女は、自分自身に向かってそうきっぱりと答えた。