表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/34

次元の墓場

***********************

アンナは鍵盤の正しい向きをスラスラと迷いなく選んでいる。


「私達の村の人達には感じるのよ。

心の中で、宙に青白くうっすら浮かぶご先祖様の魂が次の音階の音を出しながら道案内をしてくれてるのが。

だから私はその音のする方へただ進んでいるだけ。


それに、

私達の村が信仰している大自然の神様はモジュラー様って言うんだけど、

この音階のパネルのように、村のあらゆるところにモジュラー様が関係しているの。

モジュラー様はいつも村人を災いから守ってくれたり、

不思議な力で導いてくれたりするのよ」


「へー!

モジュラーってすごい奴なんだな」


「呼び捨てなんてしたらあなたバチがあたるわよ。

モジュラー様よ!」



「あー、悪い悪い」



「あら、早いわね!

もうあそこが墓場の入口よ!

ポラリスと話しながらだったから

あっと言う間だったわ」

そう言いながらアンナが指し示す先には

墓場らしい物は何一つ無かった……。


「ポラリス?

あなたどこを見てるの?

下よ、下」


「え? 何処だよ?

……、あっ、そういう訳だな!」

俺がアンナに言われた地面を注意して

探すと、墓場の入口はすぐに見つかった。


墓場は地下にあるらしく、

アンナが指し示していたのは

地下に続く小さな入口の扉だった。


「この扉固いな~!

俺の怪力でもびくともしねぇ」


「ちょっと待ってて!」

俺はアンナにそう言われ、

しばらく手を休めることにした。


すると突然、アンナが空に向かって唄を歌い始めた。

「嬉しい出会い~、悲しい忘れ~、

全ては移り変わってゆくけれど~、

唯一変わらぬモジュラーの空~、

どうかお願いします~、

決して変わらないこの願い~、

大切な人に届けてください~」


「アンナ!

お前声綺麗だな?」


「あら、そう?

そんな。誉めてもらったの

ポラリスが初めてよ。


あ、そうだわ!

ポラリス、あなたもこの

モジュラーの唄覚えましょうよ!」


「どうして俺がわざわざ唄を覚えなきゃならないんだ?

俺がめんどくせぇから嫌だって言ったら、アンナお前はどうする?」


「無理にとは言わないわ。

でもね、この唄を歌うといろいろいいことがあるのよ。

例えば今。

次元の墓場の入口の扉、

さっき開かなかったわよね?」


「ああ、びくともしなかったな」


「もう一度開けてみて」


「そんな、唄を歌ったくらいで……?

あ、開いたぜ……」

もう一度試してみると、

驚いたことに今度は拍子抜けするくらいに

簡単に開いてしまった。


「ね、言ったでしょ?」


「あ、ああ。すげぇ!

ただ、そのどや顔ムカつくから止めろ」


「クスクス、

アハハ、ハハハ」


「ワハハ、ハハハ」

俺とアンナの心は

こんな一見どうでもいい会話を重ねながら

だんだん打ち解けていった。




「あらあら。

ポラリスに護衛してもらって墓場に入るって言う目的を忘れるところだったわ。

モジュラーの唄の歌詞は

また後で教えてあげるから、

今はひとまず地下へ入りましょう」

俺はアンナの意見に同意し

一緒に地下へ降りた。



「何だ……ここ?

ほ、本当に墓場か?」


俺とアンナが地下への階段を降りた先には、墓場は無かった。


そこには、

老朽化しクモの巣のはった

家主不在のまま何十年と

忘れさられてきたであろう

部屋がただ一つあっただけだった。


俺はとりあえず部屋を見渡してみることにした。

部屋の本棚には何百という数の本が納めされていて、

机の上にまでほこりを被った分厚い本が山積みにされていた……。


「ねえ? ポラリス!

ちょっとこれ見て……!」


「どうした?」

俺を呼び止めるアンナの顔は

キツネに摘ままれたような表情をしていた……。


——————————————————————

↑【登場人物】

•アンナ

•ポラリス


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ