原型がほぼない最初のイメージ
ドッペルゲンガーのドの字もない
私は考えた。
祖父母の村のような、「村」が舞台のホラー小説を書きたい。
祖父母の村はあの大津波の県ではあったものの、山の二番か三番くらいには上にある村で、特に何事もなく今も存在し続けている。子供の頃は長期休みの度に家族で帰省し、なぜか鯉が泳いでいる水路を眺めたり、ひたすらごろごろ寝転んだり、トンボを捕まえたり、茶まんじゅうより粟まんじゅうが好きだったり、でもどちらもあんこが甘くて美味しかったことなどの思い出がある村だ。
だがその村は「ど田舎」で、売店は一店舗のみ、村そのものは小さく、住んでいる人も少ない。村から出るのに徒歩はほぼありえない。大抵は自動車だ。
はたまた、三時間に一度来るという電車が村の中にある駅にやってくるのを待つしかない。
そう、私がホラー企画のお知らせを読んで最初に浮かんだ駅が、「村の中にある駅」だったのだ。というわけであの駅で怖いことが起きたって話にしよう。そうしよう。
都会より田舎の方がなんとなく怪奇現象が起こりそうな気がする。根拠はないけどそんな気がする。よし!
かるーく思い浮かべてみる。……まず私、その駅に近づいたことなかったわ。
さっそくちょっと不安になるも、その気持ちを無視して考え始める。
あの村で駅に足を運ぶ……帰省してきた家族とケンカして家出しにきた子供とか……?
不思議なこと、うーん、家族と仲直りしなさいってお化けに言われるとか……。
お化けって気が付いてなかったら、気が付いてからびっくり、なんてなったら怖いかな?
うむむ。
駅、怖い、というのは企画ページに書かれていたことなので大前提なのだが。だが思う。これ、怖いのかな……?
おまけにこれだと会話だらけになりそう。果たして書けるのか。会話文苦手って言っているのに……。
とてもとても気が進まないぞ!
せっかく考えた……とは言えないような、ぼんやりとしたイメージにかじりつく。が、それ以上味がすることもなく一日、二日、三日……。
そして……企画は始まったのだった……。
この時の考え
「駅、あとはお化けが出ればホラーになる! でもこのぼんやりしたイメージは面白くない……そんな気がする!」




