うぎゃー! つまらーん!
圧倒的な知識不足と経験不足と実力不足とブランクが私に突き刺さる……!
書いていて! しっくりこない!
なんとなく! とんちんかん!
しかし何がどうとんちんかんなのか収まりが悪いのかもよくわからーん!
とても苦手だ。会話の描写が。とても苦手だ。それの何が問題かというと、ぎくしゃくな会話文を書いてしまうと、会話が終わったあとも地の文が書けない。いや書けてはいるけどとても強張っている。そしてその一話丸々が壊れかけのロボットのようなカクカクギシギシとしたものになるのだ。
あれか、私自身が会話なんか飛ばしてしまいたいからか。ぜーんぶ地の文で書いてしまえたらどんなにサクサクストーリーが進むだろう。
そう、例えばこんなにサクサクと。
・お使いを頼まれた
・お店までの道にたんぽぽが咲いているのを見た
・お店に着いた
・買いたいじゃがいもを見つけた
・お金を払った
・道を歩いた
・家に着いた
うーん簡単。でも……これは小説ではない。
女の子はお母さんにおつかいを頼まれた。カレーを作るためにじゃがいもが必要だという。
お財布を持って家を出るととてもいい天気だった。道端のたんぽぽが仲良く並んで日向ぼっこしているのを見つけて女の子は嬉しくなった。
お母さんが欲しいじゃがいもが売っているお店に着いた。お母さんが言っていたとおりにお店の入り口にたくさんじゃがいもが積まれているのを見つけた。一つ六十円だ。お母さんは二つ欲しいと言っていたから百二十円をお店の人に渡して透明な袋に入れてもらう。
ちゃんとじゃがいもを買えたからあとは帰るだけ。きっとお母さんはありがとうと言ってくれるはずだと女の子が上機嫌で歩いていると、出かけるときに見かけたたんぽぽがやっぱり仲良く咲いていた。
そうして帰って来た女の子をお母さんはとても誉めてくれたのだった。
まあこれなら小説といっていいはずだ。内容は昔読んだ絵本っぽいものにしたけどそれはそれとして。
……会話文、一切なしだ。うん。これなら特につまずくことなくスラスラ書けた。では会話文を書こうとするとどうなるか。
お母さんはカレーの材料が足りないことに気がついた。
「あーちゃん、ちょっといい?」
「なあに?」
お母さんに呼ばれて女の子が返事をする。
「カレーを作ろうと思うんだけど、じゃがいもがなくて困ってるの。二つ買ってきてくれないかな?」
「わかった!」
「ありがとね。いつも買い物に行くあのお店の入り口にたくさんあるから、そこから二つ、お店の人に渡してね。そうしたらお金がどれくらい必要なのか教えてくれるから、ちゃんと払ってじゃがいもを受け取ってね」
「うん」
「じゃあこれを持っていってね。二百円入っているから、足りると思うの」
お母さんは女の子に百円玉を二枚入れたお財布を渡してくれた。お店は歩いてすぐだから、ずっと握っていればなくさないはずだ。
「じゃあ、いってきます」
女の子はカレーのためにはりきって玄関から外に出た。外はとても天気がよくて眩しかった。下を見ながら歩いていると、黄色いものがある。たんぽぽが集まって咲いているところだった。
「君たち、仲良しだね」
女の子は少し一人ぼっちなのが寂しくなったけど、カレーのためにはこのまま帰れない。並んで咲くたんぽぽにお別れしてまだまだ歩いていく。
……絵本的なやりとり、なんとか形になっているっぽい……?
……形だけは。絵本ならいいけど、これ、かなり機械的な会話……だよね……。
会話文を書いているとだんだんと不安になってくる。機械音声でやりとりしているように頭の中で聞こえてきた。頭が次第にぼんやりしてくる。どうにも客観的に見られないのだ、特に敬語のやりとり(普段使わないから)。
なんだろう、よくわからない……わからないけどこのまま、ぎこちないまま走るしかないんだ……。
(心の)目が回っている……
多分お店でのお買い物のやりとりも女の子のセリフは同じものになる気がするんだ……




