1-26 商売
二~三日ババロア商会の御世話になって街にいたら、ほどなくドヴェルグの親方からブツが馬車便で届きました。
相変わらず迅速な仕事ぶりで感心します。ご丁寧な事に厚紙の小箱や、段ボール包装の大箱にまで入っています。
彼は凝り性なので、私が説明した、そのような物まで見事に再現してしまいました。
紙が高価なこの世界においましては、そっちの方が結構なお値段ではないかなと。へたをすると中身の商品よりも包装の箱の方が高価なのかもしれませんね。
この世界では、まだまだ結構な量の羊皮紙が使われています。紙と羊皮紙と、どっちが高いのかよくわかりません。
場所や相場にもよると思いますので。まだまだ上等な紙は高いです。羊皮紙は動物の皮が元の原料だから、それなりに高いはずなのですが。
「うわあ、凄い数の商品ですね。本当にこの値段でいただいてしまってよいのでしょうか。これは凄い商品だと思うのですが」
はっきり言って捨て値でありますが、そんな事はどうでもいいのです。
こちとら別にさして金に困っているわけではありませぬ。エロマンガ家の企みを粉砕できれば、それでよいわけでありまして。
「気にしない、気にしない。エロマンガ家を敵とする者は、皆お仲間みたいなものですしね」
「は? はあ」
プリンからは、わかったような、よくわかっていないような生返事が返ってきます。この姉弟は、弟君の方が優秀っぽいですね。
まあうちにも優秀な弟なら、そこの小生意気な坊主も含めるならば二人ほどおりますが。
「とりあえず、商業ギルドにいる弟君の知り合いのおじさんと、お話しましょう」
「そうですね。お願いします」
「いやいや、お話するのはあなたなのですよ。もういいや。えーと、プディン君。君がお話しなさい」
もう、この子が跡継ぎでよいのですよね。私はシナモンがいるので、このくらいの子でももう一人前扱いする習慣がついてしまっています。
まあ、時折おいたはするのですが、そのあたりは年齢なりということで諦める事にしております。
お姉さんの方は「いいのかなあ」といった感じの顔をしていますが、ご本人様は嬉しそうでやる気満々なようです。
まあ、物の方は製造ラインを確立しておりますので安定供給できますしね。
王都では、外装だけ高級そうに変更して高額販売してやろうかしらね~。まあ高額というか、そちらの方が正規のお値段なのでありますが。
これ結構美味しくて、その上非常に便利な物なので。稼いでいる高ランクの冒険者とかであれば絶対に買いたいものなのです。
街の中心地にある商業ギルドへは、歩いてそう遠くないので、皆でゾロゾロと歩いていきます。
私はここ数日は新入りである蜥蜴ちゃんと、シナモンと一緒に親睦を深めていましたので、街の探索には行っていないため、見物も兼ねて。
ああも怯えられてしまうと、あれこれと旅にも支障が出ますゆえ。彼も、私が彼に危害を加えない事がわかったようで、次第に言う事を聞いてくれるようになりました。
街の中心部の配置というのは大体決まっていて、領主館のような行政機能、そして冒険者ギルドに商業ギルドなどのギルド、宿屋街などからなります。
商業ギルドを中心に大型の商店なども集まっていて、大層華やかです。
後は大概街の大きな広場があり、イベントなどの興行がやれるようになっているはずです。本日は何かやっておるのでしょうか。
後でちょっと覗いてみましょうかね。どうせ、シナモンが行きたがるのに違いないですし。
そして、ここで顔の利くプディン君を先頭に商業ギルドへ皆でぞろぞろと入っていきます。しばらく、きょろきょろと知り合いを捜していた彼の顔がパッと明るくなります。
「ゼリーさん」
ババロアとゼリーですか。お菓子の種類としては割と近いお仲間なんでしょうかね。
「おや、プディンじゃないか。プリンさんも。元気でやっているかい。ご両親は残念だったね」
そういう彼の顔も少し冴えません。ああ、たくさん死んでいるんだったっけ。おのれ、エロマンガめ。ちょっと、やり過ぎなんじゃあないの。
「あの、ゼリーさん。今日はちょっとお願いがあって」
「ほう、そうなのかい。君のお父さんには若い頃、随分と御世話になってね。なるべく聞いてあげたいとは思うのだが。こちらの部屋で聞かせてもらおう。そちらの方々はお連れさんかな」
彼は私達を少し値踏みするような顔で不思議そうな顔で私の方を見ました。おそらく、この人の目から見たら、私が身分の高い人間だとわかってしまっている事でしょう。
お忍びの貴族なんて珍しくもありませんし、公爵令嬢の雰囲気など丸わかりだと思いますので。
同様に、見かけは輝くような美少年ですが、中身は悪たれの小僧に過ぎないシナモンの方は見ていません。仕事ができそうな方だな。よしよし、あまり変な人と関わってもなんですしね。




