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転移ならOKらしい

「他の方法ってのは、無いですかね?」


異世界転生をするには一度死ななくてはならないということで、3つの選択肢を示された。


    1.大型トラックに轢かれる

    2.通り魔に滅多刺しにされて殺される

    3.キャトルミューティレーション


どれも選べない俺は、他の選択肢が無いか尋ねたのだった。

こういう選択肢以外の道を模索するのって、「なろうぜ」っぽいよな。



―― それなら、転移という方法もあるぞい。


「あるのかよ!」


やべえな「なろうぜ小説」。マジで役に立つわ。

危うく、キャトルミューティレーションを選ぶ所だったぜ。



―― 転生の方が神気の消費が少なくて済むから、そっちの方がおすすめ

    なのじゃが。

    Win-Winって言葉を知っておるかの?


知ってるわ。保険会社の販売みたいなことしやがって。

何が外貨建て保険はお勧めですよ~だ。元本割れしてんじゃねえか。


―― そんなものは自己責任と思うがの?最初に説明があったじゃろ?

    細かい字とかまでよく読んだかの?

    それより転移の話じゃよ。

    異世界に渡った時点の直後くらいに戻ってこられるのは変わらんぞ。

    ただ、戻ってくるときの年齢をそのままにしたいなら、向こうでの年齢も

    固定にしないとダメじゃな。つまり不老不死って奴じゃ。

    この辺はちょっと融通が利かないの。

    チート能力は可能じゃ、盛れるかぎり盛ると良い。

    ただし、財産とか社会的地位とかは無いぞ。

    向こうで一から築く必要があるわな。現地調達ってやつじゃ。


「戻るときはどうするんだよ。いつか戻れるってのは困るんだが?」


―― どうとでもなるぞい。その辺はお主で設定を考えるのじゃな。

    そういう所も「要素」のひとつじゃろ?


( ,,`・ω・´)ンンン?いいんじゃない?いいんじゃない?

やべえ、ワクワクが止まらない。

こういうのって、ワクテクって言うんだっけか。


―― で、どうなのじゃ。


「転移先って選べるのか?」


―― ある程度なら、の。希望の世界観に一番マッチングした世界に飛ばすぞい。

    さながらマッチングサイトじゃな。

    本当に出会えると評判じゃぞ。サクラとか業者は一切無しじゃ。


「じゃ、じゃあ……具体的な話を教えてもらおうか?」


一応、話だけでも聞いておかないとな。

「なろうぜ小説」ではこういう所をちゃんと逃さずに聞いておくことが重要だったりする。

主人公以外が適当に聞いていて、後でひどい目に遭うってのが定番だ。

あいにく俺は騙される側の人間じゃない。

日頃から気を付けているからな。


―― まずは初回登録からじゃ。

   「20歳以上なので、利用規約に同意」をクリックしてじゃな、そうそう。

    なぬ、フェイスフックのアカウントを持ってないじゃと?

    安心せい、電話番号でも登録できるぞい。

    それからサイトの手順に沿って操作したら、プロフィールの登録じゃ。

   

俺は言われたまま、操作を続けていく。


「プロフィールに何て書けばいいんだ?年収とか手取りか?それとも引かれる前?あと、ボーナス込みでいいんだよな?年収だもんな。体重とかは、とりあえずは少な目にしておいて、会うまで減らしておけばイイよな!」


―― 何の話をしておるんじゃ。年収なんぞ転移したらゼロじゃぞ。

    適当で良いわい。

    他の所もな。ただし体重は正確にするのだぞ。

    違った所に転移させられたとかいう話を聞くことがあるじゃろ?

    ほら、ひとりだけ密林に飛ばされるとか、無人の大陸に飛ばされるとか。

    あれは申請した数値と実際の数値の誤差によるものじゃて。

    くれぐれも見得を張るなよ。

    あれはロケットを飛ばすよりも精密な計算の元に成り立っておるからの。


「おっ、おう。そうだな」


5キロ鯖読んでたぜ。危なかった。

ここは素直に数値を直しておこう。


―― 次は希望条件の設定じゃ。

   「人口数」「種族」「魔法の有無」「生活レベル」「治安・災害頻度」など

    じゃな。

    他にも「政治体制」とか「神の柱数」なんかもあるから、ちゃんと選ぶの

    じゃぞ。

    とは言っても後で変更出来るから、まずは直感で良いと思うぞい。


「人口は真ん中くらいでいいか。種族はエルフと獣人は外せないよな、あとドワーフも。魔法の有無は、断然、有りだろ。つーか、無しって選ぶやついるの?治安とかはむしろ低くするべきか?チート能力にするつもりなんだし」


うん、楽しいな。

どれにしようか迷う項目もあるけど、そういうのも含めて色々と考えるのがいい。


「超古代機械文明の有無とか、VMR-MMOとかもあるのか。とある極東の島国なんて入れるかどうか迷うよな~。これって食べ物だけって出来るのかな」


―― その辺は詳細選択で出来るぞい。


実に色々な選択項目がある。

俺はラジオボタンなりチェックボックスなりをクリックしていく。

そんな中に、特に気になる項目があった。


「なあ、姫騎士って選択肢は、どういう意味だ?」


―― そのままじゃよ。チェックを入れると姫騎士が登場してくる。

    少しアドバイスをすると……じゃの。

    姫騎士にチェックを入れた場合は、オーク等の設定は外しておくことを

    勧める。

    一部の例外を除いて、高確率で悲惨な事になるからの。

    こういう「混ぜるな危険」といった組み合わせもあるぞい。


「へ、へえ……そうなの?」


やべえ。入れていたよ。じゃあオークとゴブリンとは外しておこう。

でも、スライムくらいならいいよな。


―― ひと通り選んだかの?


「おう、ばっちしだぜ。結構ちゃんと選んだつもりだ」



―― そうかの。それでは、次は「マッチング」作業に移るぞい。


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