表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/19

1 隠しキャラの繰り返す眠り

見に来ていただき、ありがとうございます!

 リーフライトは(ニュクス)の子だ。闇に染まる黒い髪赤い目の持ち主。


 人と違い、不老不死とも言える年月を生きる吸血鬼と呼ばれる存在。眠りにつくと100年でも食事もいらない。食べ物は血が基本だが、一部ローズティー等のハーブティーは嗜好品として楽しめる。


 リーフライトは随分昔に、同じ(ニュクス)の子に気に入られ、瀕死の重傷を負った際その血を飲み吸血鬼化した。髪と目の色はその時に変容したのだ。最近は眠っていて時間感覚は薄いが、起きていた時間だけでも350年は生きている。


 今はとある学園の森の中に、眠っていたはずだった。


 最近眠りが浅いのか、声がよく聞こえた。いつも同じ少女の声だ。


「ちょっと聞いてよ、素敵な彫刻男子の貴方。入学早々、王太子殿下は浮気者なのよー!わたくしという婚約者がいるのに」


自分の眠っている上には白い石造りの四阿(あずまや)があった。同じく石造りの机と椅子がある側に、おとぎ話の王子をモチーフにした彫像が立っているのだ、そこに向かって少女は話しかけているらしい。これが多分最初。


「どうして、わたくしをほったらかして、あんな娘とばかりいるの?寂しいと言っても聞いてくださらない。他の方々にはわたくしは弱みを見せられないから、話をできるのはもの言わぬ貴方だけ。」


そんな感じで、気弱に話しかけてくる時もあれば、複数の人と来て揉めていることもあった。少女は「泥棒猫!」と激高し、他にも口汚くののしっているのも聞こえた。


「もう、終わり。今日でこの学園を去るの。彫刻の貴方には色々聞いてもらったわね。王太子殿下から婚約破棄されてしまったの。今までの私の努力は無駄になって、居場所も無くなったの。だから、学園を辞めるから、もうここには来られないわ」


こんな感じで彫像に話しかける彼女の声を、何度も聞いた。


 最初の台詞、入学したてで『彫刻男子』に話しかけるのは、一言一句違わず6回も。途中過程は色々違うが、学園を去る台詞は4回も聞いた。眠っているため時間の感覚は薄いが、結構時間は経っている気もする。ちなみに、いつも同じ少女の声だ。


 劇の練習でもしているのだろうか?


 何が起こっているのかわからないが、眠っているリーフライトにも不思議な事象だ。覚醒してくると眠るためだけの地下室は、暇で空腹も感じる。何度も繰り返す夢なのか、同じ台詞を言う少女に興味を引かれたのか、リーフライトは永い眠りから起きることにした。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ