1 隠しキャラの繰り返す眠り
見に来ていただき、ありがとうございます!
リーフライトは夜の子だ。闇に染まる黒い髪赤い目の持ち主。
人と違い、不老不死とも言える年月を生きる吸血鬼と呼ばれる存在。眠りにつくと100年でも食事もいらない。食べ物は血が基本だが、一部ローズティー等のハーブティーは嗜好品として楽しめる。
リーフライトは随分昔に、同じ夜の子に気に入られ、瀕死の重傷を負った際その血を飲み吸血鬼化した。髪と目の色はその時に変容したのだ。最近は眠っていて時間感覚は薄いが、起きていた時間だけでも350年は生きている。
今はとある学園の森の中に、眠っていたはずだった。
最近眠りが浅いのか、声がよく聞こえた。いつも同じ少女の声だ。
「ちょっと聞いてよ、素敵な彫刻男子の貴方。入学早々、王太子殿下は浮気者なのよー!わたくしという婚約者がいるのに」
自分の眠っている上には白い石造りの四阿があった。同じく石造りの机と椅子がある側に、おとぎ話の王子をモチーフにした彫像が立っているのだ、そこに向かって少女は話しかけているらしい。これが多分最初。
「どうして、わたくしをほったらかして、あんな娘とばかりいるの?寂しいと言っても聞いてくださらない。他の方々にはわたくしは弱みを見せられないから、話をできるのはもの言わぬ貴方だけ。」
そんな感じで、気弱に話しかけてくる時もあれば、複数の人と来て揉めていることもあった。少女は「泥棒猫!」と激高し、他にも口汚くののしっているのも聞こえた。
「もう、終わり。今日でこの学園を去るの。彫刻の貴方には色々聞いてもらったわね。王太子殿下から婚約破棄されてしまったの。今までの私の努力は無駄になって、居場所も無くなったの。だから、学園を辞めるから、もうここには来られないわ」
こんな感じで彫像に話しかける彼女の声を、何度も聞いた。
最初の台詞、入学したてで『彫刻男子』に話しかけるのは、一言一句違わず6回も。途中過程は色々違うが、学園を去る台詞は4回も聞いた。眠っているため時間の感覚は薄いが、結構時間は経っている気もする。ちなみに、いつも同じ少女の声だ。
劇の練習でもしているのだろうか?
何が起こっているのかわからないが、眠っているリーフライトにも不思議な事象だ。覚醒してくると眠るためだけの地下室は、暇で空腹も感じる。何度も繰り返す夢なのか、同じ台詞を言う少女に興味を引かれたのか、リーフライトは永い眠りから起きることにした。