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Wing Place   作者: 神木界人
9/9

エピローグ

奥村理沙


「ただいま」

 もちろん返事何て帰ってこない。

 私は『Wing Place』から解放され、どこに寄り道をするわけでも無く家に帰った。時間的にお父さんはまだ仕事中だ。

 私は今までの荷物を整理して取りあえず風呂に入り、冷蔵庫の中にある食材を確認した。

「まぁそこそこ大丈夫か」

 お父さんには私が出発した日にちょっと出かけてくるって言ったきり連絡してなかったからどう思ってるだろうか。

 まぁそれはいいや。まず報告できる人にこの三日間に起きたことを報告しようか。もちろんここ数日何一つ報告が出来ていなかったことも含めて。


 私は仏壇の前にやって来た。お父さんとお母さんのベッドがある部屋。その奥にお母さんは眠っている。

 もう、あれから十一年が経っている。

 私がお母さんの前にかがむとそこにはるみちゃんが座っていた。

「あれ、こんなところにるみちゃんもってきたっけ」

 基本的には私の部屋で座ってるはずなのだがもしかしたら出発する日に怖くなってお母さんの元に置いたのかもしれない。


お母さん、久しぶり。ゴメンね何日もお母さんに声を掛けることが出来なくて。だから代わりにここ数日で起こったことを話してあげるからそれで許してほしいな。

 実はね、私の元に一通の手紙が来て、とあるゲームをしないかって誘われたんだ。本当ならこんな手紙速攻捨てるべきだったんだと思うんだけどどうしても無視をすることも出来なかったわけ。

 で、仕方なく私は戦いに行った。

 でもね。やっぱりそれは罠だったんだ。

 私たちが社会的に不適合だからそれを矯正するのがゲームの目的だって知らされたんだよ。そこからはずっと地獄だったね。

 みんながそれぞれ大切にしているものを人質に取られて、その人質を守るために騙し合いの戦いが始まった。

 私だって、るみちゃんを人質として取られたせいで半分人間の倫理とか捨てて出し抜いて勝利してやろうとか思っちゃって。ってゴメンねこんな話をお母さんが聞いても嫌なだけだよね。でもここからはいい話だから。

 私は結局二回戦で負けちゃったんだ。どうしても勝てなかった。とても頭が切れる子がいて、でもその子だって決勝戦で負けちゃったりして。本当に波乱の戦いだったけど、私はもうるみちゃんに会えないと思っていた。

 だけどね、優勝した女の子が優勝賞金の三百万を使って「みんなの大切なものを返してあげて」って言ったんだ。

 みんながあんな精神状態で自分の大事なものを守ろうとして戦って、そんな人たちを蹴落としてまで大切なものを守り三百万を手にした子がみんなに祝福を振りまいてくれたの。私感動しちゃった。人間って全然キレイじゃないと思ってたけどあんな人がいるなんて感動だよ。

 私もあんな正義の味方みたいな人になりたい。あの子みたいなことをしてみたい。今からでも遅くないかな? こんな人見知りで冴えない私だけど今からでも変われるかな」


 ってお母さんへの報告のつもりだったのに何聞いちゃってるんだろうね。

 そろそろご飯の準備をしなきゃ。

 そう思って私が立ち上がった時、とても懐かしい声が聞こえてきた。

「理沙ちゃん。よく頑張ったね。私は見てたよ。だってずっと理沙ちゃんと一緒にいるって言ったしね。私を守るために必死に戦ってくれてありがとう。きっとその子にも理沙ちゃんの想いが届いたから私が今ここにいられるんだと思う。だから理沙ちゃんにだってみんなという物を救う存在にはなれるんだよ。そんなの気持ち一つでいちころだよ」

「るみちゃん⁉」

 いや、何か違和感がある。るみちゃんだけど、るみちゃんじゃない。最後の『いちころだよ』はるみちゃんじゃなくてお母さんの口癖だ。(それもお母さんは一発で倒せる「いちころ」ではなく一発で状況が変わる「いちコロ」だと勘違いして使っていたから忘れるわけが無い)

「お母さん! お母さんがいるの⁉」

 だけどそれ以上『声』が聞こえてくることは無かった。

 結局、るみちゃんが言ったのか、お母さんが言ったのか、それとも私の妄想や幻想だったのかよく分からないけどまぁいいや。

『気持ち一つで誰でも救う事が出来る存在になれる』か。目指してみるのも悪くはないかも。





清野悠生

 

 例のゲーム大会から一夜が明けた。目覚まし時計が俺を全力で起こすために努力を続けるもののその想いは一方通行で俺まで届かない。

「起~き~ろ。お兄ちゃん! 一体いつまで寝てるのよ」

 必死に頑張った目覚まし時計に「よく頑張った、お前はもう休んでろ」と言わんばかりに頭を押さえ(目覚ましを止めるボタン)未来は俺に馬乗りになった。そして布団を吹っ飛ばし、俺の服を掴んで前後に揺らす。

「ねぇ~ねぇ~お兄ちゃん。起きて! 夏休みだからってダラダラしないで」

 そんな訴えにも全く動じないお兄ちゃんに対して妹は最後の手段を振りかざした。

「そ、そんなに起きなかったらせっかく作った朝ごはんが冷めちゃうじゃ――」

「起きます! 起きます‼ お兄ちゃんメッチャ起きます」

「いや、そんなメッチャ起きられても困るんだけど」

 俺は跳ね起き、リビングへと向かった。

「み、未来? ご飯は?」

「いや、まだ作ってないよ」

 は? じゃあ一体何が冷めるって?

「だってご飯作ってもお兄ちゃんが全然起きなかったらせっかく私が作ったのに無駄になっちゃうじゃん。せっかくならお兄ちゃんには出来立てを食べてもらいたいわけだし」

 なんて、なんて完璧な妹なんだ。こんなのギャルゲーかラノベくらいにしか出てこないだろ。他の人の妹話を聞いてもこんな妹は全く出てこない。

 ただ、ちょっと贅沢だよな。俺はあの戦いに敗れて本当ならこの日常がやって来るはずは無かった。そう思うとゾッとすると同時に物凄く浜井まゆみに対する感謝があふれてくる。

「ん? お兄ちゃんどうしたの? なんか思い悩んだような顔をしてるけど」

「あ、いやいや何でもないよ」

「そ。あ、お兄ちゃん。ご飯出来たんだよ。一緒に食べよ」

「おう」

 朝ごはんというには少し遅い時間。俺はテーブルをはさんで妹と二人っきりで食事をする。

 お父さんとお母さんは二人で旅行に出かけてしまったためしばらくは帰ってこない。だからあの二人は俺たち兄弟が命の危機にさらされていたなんて情報を全く知らないのだ。

「子供のピンチに海外旅行とかふざけすぎだろ」

「ん? なんか言った?」

「いや、何でもないよ」

 ただ、俺には未来と二人で解決しなければならない問題がもう一つ残っている。

「ねぇ未来」

「ん?」

「学校は楽しいか?」

 そう聞かれた瞬間未来の手が一瞬止まった。

「えっと、急にどうしたの?」

「いや、気になっただけだ」

 ダメだ。未来に尋問何てできない。そんな事をして嫌われたくない。でも、でも、未来に何が起こってるのかをしっかり把握しなくてはならない。俺は彼女を守らなくてはならないのだ。

「いや、気になっただけじゃない」

「ふふふ。お兄ちゃんどうしたの? なんかおかしくなってるよ」

「やっぱり学校で何があったのか、今、未来は学校でどんな生活をしているのか教えて欲しい」

「――それが、お兄ちゃんのどうしてものお願い?」

 未来の声が一気に重くなった。これはいよいよ後に引けない。

 そう構えたのだがそれがまるで空回りかのようにケロッとした声に戻る。

「これ見て」

 妹が差し出したのは小学校二年生の時に買った携帯から二度買い替えた、三代目スマートフォンだ。

 そこで会話アプリを起動するのだがいくつかのアカウントがあるだけで彼女との友達は「8」と示されている。さらに彼女はその八人との会話履歴も見せてくれた。

 ただもはやそれは会話履歴と呼べるようなものでは無かった。

 お互いに「よろしくね」挨拶を交わし、しばらく会話したのちに大体未来が何かを送って、未読無視の状態で会話が終了しているのだ。それも全員が四月中に。

「未来……これって」

「まぁ現実ってやつかな。友達ってどうしたら出来るんだろうね。最初のうちはみんな話しかけくれるんだけど話しているうちにみんなドンドンん逃げて行ってしまう。私としては何がいけないのかもよく分からないんだけどね」

「…………」

 ゲームマスターは未来に友達が出来ない原因を俺のせいだと言った。確かにそうだろう。毎日のように校門まで兄が送り迎えしている女子と仲良くなろうとは俺ですらなかなか思わない。俺は未来が登校中にトラブルに巻き込まれるのを避けようと必死に頑張っていたのだが、そのせいでやはり未来を苦しめていたのだ。

「なぁ未来。この中で一番会話が続いたやつ、仲の良かった奴って誰だ?」

「へ? ど、どうしたの」

「いいから。誰?」

「え、えっと……この真冬ちゃんって子かな。割と話は合ったけど、でもこの子はお兄ちゃんの良さを全然わかってくれなかったんだよ。それで信じられないって喧嘩になっちゃってそのまま」

 よし、その子で丁度いい。

 俺は未来の携帯を取り、その真冬ちゃんって子とのトークを開いた。

「ちょ、お兄ちゃん何してるのよ」

「いいから黙ってろって」

 俺は妹を制し、真冬ちゃんに対しての文章を送り付ける。


『真冬ちゃんゴメンね。ちょっと私がお兄ちゃんに対して過剰評価しすぎてたみたい。冷静に考えたら毎日送り迎えに来るなんてちょっとキモ過ぎだよね。でさ、私もちょっとはお兄ちゃんと決別しようと思うんだけど、そうすると恥ずかしい話ボッチになっちゃんだよね。真冬ちゃんに助けて欲しいとか友達になってほしいとか虫のいい話だとは思ってるんだけど、でもゴメン。私と友達になってください!』


『なんか重たい文章になっちゃってゴメン(汗絵文字)』


「ちょ、ちょっと! お兄ちゃん勝手に何送ってるのよ‼ 誰がお兄ちゃんと決別するって! 誰がお兄ちゃんの事をキモいなんて言ったのよ‼」

「こうしないとお前は友達が出来ないぞ」

「違う! 私はみんなにお兄ちゃんの良さを分かってほしいの! そのうえでみんなと仲良くなりたいの!」

「じゃあ逆に、会って一ヶ月もしたないやつがいきなり自分の兄について語って宗教の布教のごとく攻めよってきたらどうだ?」

「そ、それは……」

「何事も少しずつ距離感を縮めていくことが必要なんだよ。そのためには最初は一般人を演じること。そうして普通に友達を作ってから『お兄ちゃんトーク』に花を咲かしてくれる友達を探せばいい。それまでは外で俺と距離を置かれることに関しては我慢する。送り迎えももうしない。だから――」

「そんなの嫌だよ‼ 私からお兄ちゃんを取ったら何が残るって言うのよ!」

「だから家の中では今まで通り俺を好きな未来でいて欲しい!」

「え⁉」

 その時、真冬ちゃんから返事が来た。


『ゴメンね。私の方から声を掛けたのに距離を置いちゃって。今、未来ちゃんがお兄ちゃんの事をどう思ってるかは分からないけど、私も仲直りしたい。よかったらさ明日にでも二人で会って話さない? もちろん明日が忙しかったら今度でもいいんだけど』


「ほら見ろ。未来、大チャンスじゃないか。ここでお兄ちゃんはどこにでもいるお兄ちゃんだって言っておけば友達になってくれるって」

「でも……」

「大丈夫。自分の心に鍵を掛ければいいだけの話だ。未来が普通の女子中学生として生きて行けばいい話だ」


『うん。ありがとう。明日私も真冬ちゃんと話がしたい』


「ま、また勝手に」

「だから、明日は頑張って来いよ」

 俺は未来の方にポンと手を置いて自分の部屋にこもった。正直俺だって未来に外で距離を置かれるのは嫌だ。

 俺だってだいぶ今の会話は鍵をかけていた。でも、こうしなきゃいけないよな。俺は妹を守るんだ。だったら俺は妹の彼氏でも何でもない兄としての立場でなくてはならないんだ。

 ならこんくらい……悲しく……悲しくなんて…………悲しくなんてない……もん。





石戸谷健太


 日曜日がやって来た。ある意味運命の日曜日だ。

 浜井まゆみの願いが叶えられているならメルが死ぬことは断じてない。でも、もしもその願いが叶えられてないのならばどうなるのかは分からない。

 あの時、ゲームマスターは浜井まゆみの願いを「受け入れた」とは一言も言っていない。多分浜井まゆみが語っていた時点で警察が来ていたことに気付いて逃げ出していたのだろう。清野悠生の妹を持って逃げるのは大変だから置いて行って結果的に彼は大切なものを取り戻したという事になったけれども(と言うかそれで他のやつらは安心してやがったけど)正直俺たちのまで安全が保障されているかどうかは分からない。

 そして時刻は運命の八時半を迎えた。

 メルとマルの声優を務める方々によるオープニングを終えた後、いよいよアニメが始まるのだ。


「よくも俺たちをここまで手こずらせてくれたな。しかしお前たちに今や魔法は使えない。つまりは無能という事だ。ガハハハハハハ」

 イージスはそんな高笑いをする。彼の部下が作り上げた『魔力吸収(マナアブソープ)』のせいでメルとマルは一切魔法が使えなくなり、あれよあれよと崖のそばまで追いやられてしまったのだ。

「ま、まずいんじゃないの」

「いや、これはどう考えても無理ゲーでしょ」

 もはや魔法少女にすら変身できないメルとマル、いや、藤崎(ふじさき)(めぐみ)高橋(たかはし)麻衣(まい)は人間の姿をした怪物に、さらに崖の奥まで追いやられる。

 もちろんただの小学生に空を飛べるわけはなくここから落ちれば即死、捕まっても即死という状況だ。

「さて、観念したかな。俺たちを今までコケにしたことを後悔するんだな」

 その瞬間一歩後ろに引いたメルは足元に落ちていたバナナに気付かずに足を滑らせてしまった。


「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」


 果たして俺の叫びはテレビ局までいや、藤崎恵のもとまで届いただろうか。

 俺がテレビを見ながらいつも見ている『全国皆さんのつぶやき』を見てると「なぜバナナw」「いや、バナナは意味わからん(笑)」「崖にバナナとか草生えるわ」「バナナ草」みたいなコメントが流れる。

 ってどれだけの中高生から一般人がこの『魔法少女メル・マル』を見てるんだよ。と内心突っ込んではいたがそれどころではないと我に返る。

 正直生まれて初めてcm(コマーシャル)が終わらないで欲しいと願うくらいだ。

 だが、そんな訳はなく残酷にもBパートは始まるのだ。


「メル‼」

 マルの絶叫が崖の下へと向かって響く。当然ながらその声に反応する声は無い。

「フハハハハハハハ。ついに魔法少女も潰えたりってか」

「くそ、イージス、許さねぇ」

「は、いくらでも言っておけ、お前一人に一体何が出来るってんだ」

 だが、高橋麻衣は何も言い返せなかった。言い返せるわけが無い。せめて魔法少女のマルとしてなら、せめて隣に藤崎恵がいてくれたら……。


 画面は切り替わり俺はただただ落下する藤崎恵を見せられていた。彼女はこの後頭を打って死ぬ。そんなバッドエンドしか想像が出来なかった。高橋麻衣も言っていたが彼女も藤崎恵も変身が出来ない。つまり誰一人藤崎恵を助けられる人はいないのだ。

 だが、その時画面右下から左上に何か光が走ったのを俺は見逃さなかった。

 それにはネット民の皆さんも反応したらしくチラッと目を落とすと「光か?」「いや事故じゃねww」みたいなコメントが多数書き込まれていた。

 だが、それはすぐに救いだと理解できたのだ。


「大丈夫?」

 藤崎恵自身何が起きたのか分からなかった。突然自分の体が重力に逆らい宙へ登り始めたのだ。いや、そうじゃない。誰かに支えられている。

「あなた魔法少女のメルだよね」

 その質問に藤崎恵は戸惑った。本来メルはメルであり、プライベートとは混合しないように変身しているつもりだった。だけど、私の素を見てメルだよねって言われるとは。

「あなたは?」

「私はミル。いや、梶谷(かじたに)美紀(みき)って答えた方が分かってくれるかな」

 藤崎恵は思考する。梶谷美紀。どこかで聞いたことが……。

 その時ひらめいた。彼女は前の町でイージスたちの間の手を救ったときにそこで暮らしていた町の子だ。

「え⁉ あなたどうして魔法少女になってるのよ」

「『小学生に論理はお構いなし』でしょ」

 それはメルとマルがトドメを刺す前の合言葉的なものだった。

「さて、早いことあなた達の魔法を取り戻して、世界の平和を守ろ」

「う、うん」


 そこからイージスが倒されるまでは一瞬だった。藤崎恵も言っていたがとても初陣とは思えないミルの活躍によりあっという間にメルとマルの魔法は取り戻され、番組は終わりを迎えた。

 最後にはミルも仲間になってくれたようで、「もはやタイトルがメル・マルじゃすまないじゃん」みたいなメタ発言を次回予告に含みつつ次の番組へと移って行ったのだ。

 それを見て何を思うかと問うのは愚問だろう。

 俺は今日一日、今までにない最高の日曜日を過ごすことが出来そうだ。





クロエ・アングレ


「余命半年といったところですかね」

 日本に来る二週間前にお医者さんから告げられた言葉だった。

 彼の眼は生まれながらの青を通り越して青く、冷たかった。

 原因は不明。ただ、検査の結果、異常が出た以上そう告げるしかない。そんな感じだ。

 だからお医者さんの方も、「検査でそう出ちゃったから」の一点張りだ。


 フランソワが死ぬ。


 ここは動物病院。人間ドックのようなものは何も人間だけでなく動物にも必要だからその検査に来ていた。その結果がこれだ。


「まだ! まだフランソワは七歳なんですよ! 寿命とかそんな時期では絶対にないはずです」

 それでも返ってくるのは「検査でそう出ちゃったから」という感情の抜けた言葉だけ。


 さすがに言い争っても埒は明かず、私の方もあきらめて家に帰ることにした。


 本当だったらそう告げられた時点で割り切ってフランソワとたくさん遊ぶべきだったのかもしれない。でも、私にはそれが出来なかった。 部屋に引きこもる事しかできなかった。


 それが一か月。もちろん私が日本に留学できなかったのもこれが理由だ。

 でも、パパとママに多額のお金を積んで準備してもらっていたことは私も知っていた。いつまでもここにいてはみんなに迷惑をかけると知っていた。だから私は選択を迫られたのだ。大好きなフランソワかみんなの期待か。


 そして私は日本に逃げた。 フランソワとの大切な思い出だけを抱えて。


 彼の死に目に立ち会うのが怖かった。彼が死ぬなんて受け止められなかった。だから私は逃げた。


 雪の日には庭一面に広がった銀世界に、どっちの方が多く足跡をつけられるか競い合ったっけ。

 テロのニュースが流れた時には、フワフワだったフランソワの茶色い体毛に守ってもらったっけ。

 小学生の頃は毎日のように広大な庭で駆けまわったり、水浴びをしたりしたっけ。

 そういや、隣町のスーパーで買ったドッグフードの時だけ、異様に食べ終わるのが早かったっけ。


 そんな、そんな記憶だけを胸に抱きしめて私は空を飛んだ。もしかしたら心のどこかで、フランソワとの決別を覚悟していたのかもしれない。


 でも、勉学目的で来たのに私は気付くといつもフランソワの写真だけを眺めていた。

 朝起きてすぐも、授業中も、放課後も、寝る前も。

 遅刻なんて、授業なんて、友達なんて、寝不足なんて、そんなものは知らないと言い聞かせて。


 そんな生活をしていたから私はあんなデスゲームに巻き込まれた。

 でも、あの主催者に怒りは無い。むしろ怒りの矛先は私の方だ。

 あれだけ大々的にやってくれなければ本当に大切なものにも気が付けないなんて……。


 そして、Wing Placeが終わってすぐに私はイギリスに戻った。

 

 まだ私の中にフランソワの記憶はある。ゲームには負けたけど失われてはいない。

 フランソワが生きているかどうかは分からなかった。でも、彼をもう一度見たかった。もう彼を見捨てたくなかった。


 半年ぶりくらいだろうか私の屋敷を見るのは。本当に私たちがゲームをしたあの洋館とよく似ている。

 そして、庭には見覚えのあるブランコやお花たちが並んでいた。でも、学校帰りにいつも私のことを迎えてくれた彼だけはいなかった。


「やっぱり、もう……」


 だが、まるで、「そんな悲しい顔するなよ」と言わんばかりの鳴き声が、扉の向こうから聞こえてきた。


「え……」


 私は導かれるようにまるで裏口のような小さめの白いドアを開く。


 そこには……


「フランソワ!」

「ワンワン」


 彼がいた。 彼が笑顔で私を出迎えてくれた。 私が小学生や中学生だった時と変わらない声で、笑顔で。


 よくよく聞いたら検査の前日に人間の食べ物を食べさせていたせいで機械が異常と判断してたんだとか。


「ふざけるなよ。めっちゃ心配したじゃねぇーか」


 私は私の言葉だけ通じてくれる彼に号泣しながら怒った。



浜井まゆみ


 石戸谷健太が魔法少女メル・マルを見ていた頃、浜井まゆみは電車に乗り、池袋へと向かっていた。

 もちろん再び「Wing Place」に行くわけでは無い。

 実は昨日遊ぶ約束をして、遊ぶことが決定したのだ。


 私が池袋に着くとすでに彼女は待っていた。

「お~い、まゆみ! こっちこっち」

 そこで手を振っていたのはつい二日前まである意味命をかけあって戦っていた相手、そしてそこで生まれた私の親友――小堀純子だ。

「ゴメンね。待たせちゃった」

「うんん。全然。ちょっと私が楽しみ過ぎて早くき過ぎちゃっただけだよ」

 そんな感じで私たちは池袋駅からサンシャインシティの方へと歩いていく。ただ目的はそこでは無い。その手前に広がる部分である。いや、ちょっとだけ違うか。そのあたり一帯を歩いたり、お店に入ったりすることが目的だ。

 あのゲームでの私の願いが届いたのか、二日経った今でも、沖田総司・斎藤一共に健在

であった。

 だからアニメイトなどの『無双×夢想』のグッズが置いてある店はもちろんの事、その他にもコスプレショップや執事喫茶、BL喫茶など一日中この辺りを歩き回ってても飽きない。もし時間が余れば、サンシャインシティの中に入って鞄屋や洋服を見たり、水族館に行ったりするのもありだ。つまり池袋には無限の夢が広がっているのだ。

 だけど、私は今まで一度もここへ来ることは出来なかった。理由はもちろん一緒に回る友達がいないからだ。一人で来るという手もあったが、こんなにカップルとリア充だらけの町に私一人で来るというのは無理な話だった。

 池袋も秋葉原みたいに同士だらけで一人で行っても何の問題もない世界だったらよかったのにと何度恨んだことか。

 ちなみに純子の方はこの趣味を隠していたとは雖もリア充の中に入って行くことには、何のためらいもなかったらしく、何度か来ていたらしい。

 だから今日も純子の案内でこの町を満喫したのだった。


「いや~楽しかった。今までは一人でしか来たことなかったけど友達と来るってそれはそれで楽しいわね」

「うん。純子ちゃんありがとうね」

「な~にお礼言ってるのよ。むしろ言わなきゃいけないのは私の方だって。こっちこそありがとうねまゆみ。これからもよろしく」

「――う、うん」

 その時、ふと、思いもよらない感情が込み上げてきた。

「え⁉ ど、どうしたのまゆみ。だ、大丈夫?」

 私にすら理解できない感情。何でこんなに嬉しいのに涙が出るのだろうか。そして今すぐ純子に抱き付きたい。

 そんな想いを組んでくれたのか、純子は何も言わずに私を抱きしめてくれた。その胸は暖かく、そして少し苦しくも幸せな気分になれるのだった。

 私にこんな日が来るなんてね……。





重山北斗


 俺は必要な準備を全て整えてあるレコード会社に乗り込んだ。

「おい、キララちゃんは。キララちゃんはいますか!」

 いきなり扉を開けて騒ぎ出す俺に一度全員の視線が集まり、「何だ熱狂的な頭のおかしいファンか」という呆れたような表情を見せて全員が視線を逸らした。

 まぁ確かに入り方はちょっと強引だったと反省している。だけど、事前に電話してちゃんと話をさせてくれると言ったんだ。

「君が、重山北斗君だね」

 俺に対して、厄介者は来るなと言いたげな人たちの間からひと際風格のある、スーツに身を包んだ男性が現れた。時々テレビに出てくるときはラフな私服を着ているくせにこういうところではしっかりスーツらしい。

「はい」

「ちょっとこっちに」

 その男性は俺を連れてある個室に入れてくれた。

「お望みはキララちゃんでいいんだよね」

 俺は何も言わずにうなずく。

 それから間もなく再び扉が開き、トップアイドルかつ俺の幼馴染――金沢光が入って来た。

「北斗、久しぶり」

 だが、そこには幼馴染との再開とは思えない緊張感があった。まぁそれもそうか。俺が今日はそういう空気で来たわけでも無いし、実際これから話し合うのは深刻な問題なのだ。

「で、いきなりこんなところに来てどうしたの?」

「光ちゃん、単刀直入に聞くんだけど。今彼氏とかっていたりするの」

 一瞬時が止まったかのように誰もが動かなくなった。

 そして光ちゃんが口を開くことで再び世界が動き出す。

「え……と、どういう事?」

「実はね、俺聞いちゃったんだけど光ちゃんが毎週金曜日にファンの一人とホテルに行ってるって話。あれホント?」

 正直にこう聞くしかなかった。俺にはオブラートに包み隠して問い詰めるなんて技術は無い。

 さぁどう返してくる。

「え? 何の事」

「とぼけるな! 俺は真面目に聞いてる。答えてよ光ちゃん」

 すると光ちゃんは困った表情をし再び聞き直す。

「ホントに何のことを言ってるのか分からないんだけど。それってどっかのファンが言ったデタラメな情報なんじゃないの? それとも北斗は私が本当にそんなことをしてると思ってるの? 私これでも一応アイドルなんだけど……」

「俺だってそんなの信じたくないよ。信じたくないからこうして事実を確認するためにこんな所まで来てるんじゃん」

 光ちゃんとしてもなんて答えたらいいか分からず、また俺としてもこれ以上どう問いただしたらいいのか分からなくなって、最悪な雰囲気のまま会話が途切れる。

「あ!」

 その時、何かを思いついたらしく光ちゃんは一気に表情が明るくなった。

「もう一回曜日を教えて」

 その唐突な質問に少したじろぎながらも「金曜日だけど」と答えた。

「それ、『フレピ』の撮影じゃない。ほら、私が今も現在進行形でやってるラジオ番組『フレッシュピーナッツ』」

 そのタイトルには確かに聞き覚えがあった。「名前の意味が分からん」と散々叩かれながらもそのトーク力と毎回公開生収録という前代未聞の取り組みが功を奏して人気ラジオ番組まで駆け上がった光ちゃんの代表作だ。

「あれって収録場所がホテルなんだよ。別にラブホとかそう言うのじゃなくて普通のホテルなんだけどね。だから毎週金曜日になったらホテルには行ってる。さらに、私がホテルに入るときは私のファンクラブ会員NO1の私のマネージャーさんと一緒に入ってるからね。もしかしてファンの一人ってマネージャーさんの事」

 若干の疑問形であったが、彼女の中では答えにたどり着いた確信があるらしく今までの重たい空気を振り払うように笑った。アイドルらしいおしとやかな笑いだ。

「その情報どこから手に入れたの。それを私がラブホに行ってたチックに書いてるなら本当に立ち悪いから訴えたいんだけど」

「多分そんな書き込みをするやつはもういないと思うよ。俺に情報をくれたやつは多分今頃警察に追われてるだろうからさ」

「ほ、北斗って一体誰とどんな人間関係を築いてるのよ。あんたの方が大丈夫?」

 正直この一週間の精神状態を考えれば大丈夫ではないけれど光ちゃんを心配させるわけには行かない。

「じゃあ空気を重くするような誤解も解けたところで、私からも一つ話してもいい?」

「お、おう」

 唐突なカウンターだった。今日はこの噂の真相を確かめるだけに来て向こうから話があるとは聞いて無い。

「ねぇ北斗って私との約束覚えてる」

 その声は再び真剣トーンに戻る。

「約束」

「そう約束。北斗から言ってきたんだから忘れたなんて言わせないよ」

「……もし、俺が芸能界に入ったら付き合ってほしいって話か?」

 自信は無かった。正直これ以外の約束をしていたとしたら相当ヤバい。だけと俺の心配とは裏腹に光ちゃんの表情は綻んだ。

「そう。それそれ。全く北斗ったら芸能界に入るの遅すぎ。どれだけ私を待たせるのよ! でもありがとう。私の期待も裏切らずにちゃんと約束を守ってくれて」

「いや、待って待って。俺はまだ芸能界に――」

「入ってくれるよね? うちのレコード会社があなたの投稿している動画を見て、ぜひともうちに所属してほしいって言ってるんだけど」

 俺は光ちゃんの言葉を理解するのに少し時間を要した。

「つまり、俺を芸能人として歌手としてここで雇ってくれるのか」

「取りあえずはそういう事。詳しい話はさっきの人とかから聞いてほしいんだけど。私たちこれからはずっと一緒だよ。にひひ」

 何だ、なんだよそれ。そんなサプライズ,ズル過ぎるよ。今までの一週間の苦痛と不幸が一気に幸福となって返って来た。

「ふふ、何泣いてるのよ。北斗が頑張った結果でしょ。それに大変なのはこれからなんだよ。芸能活動も、私を幸せにすることも。一筋縄ではいかないんだから」

 俺は言葉が出なかった。涙ってこんなにも喋るときに邪魔なものだとは。

「これからもよろしくね北斗」

 ったく、どうやら俺の本当に大切なものを守る戦いはこれからだったようだ。





羽場誠也


 お母さんが帰って来たのは俺が家に帰って来てから四日後の事だった。

 それまでの間、俺はありとあらゆる可能性を考慮して『Wing Place』の事について考えていた。それでも答えが出るわけが無い。


「何でお父さんはあんなことをしたのだろうか」


 そしていよいよ事情を知っているであろう人に問い詰める時が来た。

「ねぇお母さん」

 お母さんは「何?」と振り返ると同時に「あなたが部屋から出てくるなんて珍しいね」とつぶやく。

 さっき帰って来たと言ったが、実はおばあちゃんの家に実家帰りしており、そこから帰って来たのだ。当然俺にも「一緒に行く?」とは聞いてくれたが俺はそれを引きこもりを理由にして断った。

 だからお母さんとしては俺が部屋から出てあんなところに行ってたなんて知る由も無いのだ。

「ねぇお父さんって今どんな仕事をしてるの」

「え? お父さん? いきなりどうしたのよ」

 その返答も想定内であり、当然だ。いきなり俺がお父さんのことを気にしだす方が不自然なんだから。

「取りあえず何でもいいから教えて欲しいんだよ」

「そんなの私にだって分からないよ。世界を救うために頑張ってるんじゃないの?」

「じゃあゴメン。聞き方を変える。実はねお父さんに会ったんだ。お母さんがおばあちゃんちに行ってる間に」

 それにはお母さんも驚きを隠せない様子だった。

「ねぇ『Wing Place』って知ってる?」

「え、えっと……」

 お母さんは気まずそうに目を逸らす。

「大丈夫。何か知ってるなら教えて欲しいだけだから。ちなみにもし隠しているなら隠す必要は無いよ。もう、行ってきたから」

「そっか……」

お母さんからは気の抜けたような返事しか帰ってこなかった。

「それで、誠也はそこに行ってお父さんのことをどう思うようになったの?」

「……よく分からなくなった」

もちろん本当の事だ。もしかしたらもっと上手に言葉に出来たのかもしれないけど俺が出来る表現はこれしかない。

「ふ~んそれじゃ完全に失敗じゃないあの人。ホントバカなんだから」

「え?」

「ちょっとだけ、私の知ってる限りの事は話してあげるわ。本当はお父さんから何も言うなって口止めされてるんだけどさすがにそこまで知ってるのに私は何も知らないって白を切るわけにもいかないしね」


お父さんって昔から自分が正しいと思ったことはそれがたとえ社会的に間違ってようが何だろうが実行に移す人だった。

私がお父さんと出会った高校生の頃からよ。情報室でパソコンいじってエッチなサイト見て。でも、先生にはバレないように事前に回線いじって。

他にも私に意地悪をするような子がいればその子の携帯にウイルスを送りつけたり、挙句、大学生にもなれば大学のサーバーを落とすレベルの大事件を巻き起こして私と二人で逃げ出したり、ハッキングを楽しんで警察相手に戦ったり。普通に考えれば頭のおかしいやつよ。

でもね、お父さんの行動原則には一つのルールがあった。


『社会的に間違ったことをするのなら必ず一人は救う事』


だからお父さんのハッキングに救われた人はたくさんいて、彼を月下の魔術師とか呼ぶ人もたくさんいたけど。

で、私はそんなお父さんに惹かれて結婚までしちゃったわけ。それですら大変だったのよ。両親からは当然のように反対されるし、国家権力から追われるし、役所に名前出しに行った時は私たちの正体がバレるんじゃないかってハラハラするレベルだったからね。

でも、無事に結婚して子供も生まれた。その子供に名前を付けてあげたのもお父さんなんだよ。

「俺とは違ってちゃんと正しい道で誠実に生きれる子になる」って意味で誠也。まぁあなたも習ったとは思うけど「也」って断定の「也」ね。

で、そんな願いがまるでかなったかのように誠也はぐんぐん立派に成長してくれた。

私もお父さんもこの子は将来、一体どんな子に育つんだろうねって楽しみにしながら話していたのよ。

だけどそう簡単には行かなかった。

あなたも知ってることだろうけど中学に入ってすぐ位に引きこもってしまった。別に誠也が悪いって訳ではないんだけどそれでもお父さんは相当ショックだったみたい。

で、その頃からお父さんはどうしても誠也を救ってやりたいって言って自称世界(誠也)を救うためのお仕事を始めたってわけ。

そこで思いついたのがゲームだった。誠也と同じ世代くらいの子、そして何かしら境遇が似てたり共感してくれそうな子を探し回ってた。

やっと面子が揃ったって言ってたのは誠也を救うって決めてから二年以上後の話だったのよ。

ましてやそのリストを見たときにはイギリスの子とかも含まれててさすがに「あんた馬鹿じゃないの」って言っちゃったけど。まぁそのせいもあってその後メンバーを変えたのかどうなのか私には分からないんだけどね。

それからはゲームプログラムをくみ上げて、で、誠也の話によればついに実行されちゃったってわけか。


『Wing Place(羽ばたいていく場所)』。あなたがそこで友達を作ったり人間の良さに気付いたりしてそこから社会に羽ばたいていってほしかったんだって。



「お父さんはバカなの」

 さすがに三日も四日も真剣に悩んでいた自分が馬鹿らしくなってきた。

 たった一人の息子を救うためにあれだけ大量の罪を重ね合わせて今、警察に追われているか、もう捕まってしまってるかって考えたらあほらしい。

 どんだけの大バカ者なんだよ。

 でも、ちょっとだけ分かる気がする。人を救えるってすごくかっこいいもんな。例えばそれが自分の息子だとしてみ、最高に気分がいいじゃん。

 そういう意味ではお父さんの願いはかなったんじゃない。


『グループチャット:Wing Place』

 所属人数八人。


『今度またみんなで集まって一緒に遊ぼうぜ。もちろん何にも賭け事はせず、普通に楽しく』


 送り主は清野悠生。それに対して「いいね」とか「賛成」とかスタンプが計七つ。


 お父さんの作った理想郷はしっかり現実のものになってるのだから。





                                      (終)


ここまで読んでくださった皆様ありがとうございました。

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