4.クリスマスプレゼント
「行ってきまーす……わぁ、雪が積もってる!!」
早くレオンに教えてあげなきゃ!
あっ……でも……。
とても近いはずなのに、昨夜の事があったから今朝はレオンの家がすごく遠く感じる。
何で間違えてお酒なんか飲んじゃったんだろう……私の馬鹿。
昨夜はあの後家に帰ってから、皆でご馳走を食べた。
私とレオンのパパもママもなんだかいつもより酔っていたみたいで何も聞かれることはなく沢山残っていたご馳走をレオンが食べてたっけ。
でも一晩明けてみると、なんだかとっても恥ずかしい。
レオは何も言ってなかったけど……私、重くなかったかなぁ?
もうあんな失敗はしないつもりだけど……やっぱりダイエットしよう。
「あれ?……レオン?」
私の家の門の前にレオンが寒そうに立っている。
もしかして待っていてくれたの……?
「レオ……おはよう。はっ早いね? 待っていてくれたの?」
「おう。昨日ぶっ倒れた奴がいたからな。さみーから早く行こうぜ」
「あっ……うん」
レオン、早起きしたんだ。
私の為に……きゃああっ!!
「おい、何つっ立ってんだよ。行くぞ! ん? 顔赤いけどまだ酒残ってんのか?」
「ちっ違うわよ! お酒はもう大丈夫……昨日はごめんね」
「おう。っつーかさ、また今日も学園にいったら皆にどやされるぜ? 全く迷惑だよなー?」
めっ……迷惑!?
レオ、う……うん。そうだよね。
私はあんまり気にならないっていうかそれよりもちょっと嬉しかったりするんだけど、レオにとっては迷惑だよね。
「まー俺は何言われても気にならないけどさ、メイは嫌だろ? ただの幼馴染だからってだけど俺なんかと噂になって……ってどうしたんだよメイ!? 泣いてんのか!?」
「ちっ違うの! 目にゴミが入っちゃって……何でもない…何でもないの!」
レオは気にならないんだ。ただの幼馴染だから……そう、だよね。
「……まさか泣くほど嫌とは……」
「えっ? なぁに? ごめんね! もう大丈夫だから」
「いや、ほらもう行こうぜ! トロトロ歩いてっとせっかく早く出たのに遅刻するぜ?」
「まっ待ってよ! レオン!!」
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「おはよう! 昨日はごめんね?」
「おはよう! メイちゃん大丈夫だった? みんな心配してたんだよ?」
「うん。もう大丈夫。ありがとうアイリス」
「それなら良かった。でも来た分だけちょっと損してるかも。なんと今日は休校だって!!」
「どうして?」
「ふふふっ! 先生達の二日酔い。あの後ね、ロイ学園長と庭師のボンさんも来て先生たちのお酒が進んで大変だったのよ? 多分先生たちはみんなまだルッカ先生の家で眠ってるわ。真面目なミラ先生は産休中だし、厳しいハンナ先生は前倒しでクリスマス休暇とって実家に帰っているから”もう休校でいいや”っていう事になったの」
「なんだそれ? っていうか誰もいないじゃん」
「うん。男子のほとんどは酔っぱらった先生たちが急に”修行だーっ!”とか言い張ってボロ雑巾みたいに絞られてたからルッカ先生の家で伸びてるはずよ。後の人達はうまく逃げて家に帰ったわ。私は一応生徒会役員だから午前中くらいは間違えて通学してしまった時に備えて午前中いっぱいはいるつもり」
「そうなんだ。大変だね……」
「全然? 気にしないで? お兄様も来ているし。今日は一緒にケーキを食べて帰るんだ」
「おっケーキといえばそういえばまだ食べてねーな。よし、じゃさっさと帰るぞメイ! アイリスサンキューな頑張れよ!」
「どういたしまして。じゃあ気を付けて帰ってね!」
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校門を出て少し歩き始めると、レオが変。なんだかレオがそわそわしてる。
「レオ、どうしたの?」
「あっえーっと。ちょっと俺、用事があるからこっち行くわ。アイリスは一人で帰れるだろ?」
「うん……でも用事があるなら私も……」
「いや、ちょっと俺だけの用事だからメイは先に帰ってろ! 夕方のメシの時にはお前ん家行くから!」
「えっ……?」
「じゃあな!」
行っちゃった。
レオン、用事ってなんだろう。
あっちの方向は街だから、クラスメイト達も沢山住んでるし遊びに行くのかな……?
でも、私は行っちゃいけないの?
なんでだろう。分からない……レオンの事で知らないことなんて何もないつもりだったのに。
寒い。
いつも登下校は一緒だし、一人で帰るのって滅多にないから寂しいな。
夕方には家に来るって言ってたけど、それまでは帰ってこないのかな。
あれ? なんか、胸が苦しい……? 急にどうしたんだろう。
寒くて風邪ひいちゃったのかな。
いけない。早く帰ろう。
夕方までにケーキ焼かなきゃ。