剛をモデルに4
「で、あんた、どんなバイクを乗っていたの?」
奈美は、剛を興味深く見た。剛は今でこそ、太鼓腹の布袋さまの姿だが、漫画のように若い頃は、スマートでジージャンが似合っていたかもしれない。
バイクにこだわりがあるみたいだし、750(ナナハン)と、まではいかなくても、格好いいツーリングなんかの話が聞けそうだ。剛は少し謙遜をして、
「たいしたバイクじゃないよ。ラッタッターだもん。」
と発言し、奈美を少し驚かした。
なに浮かれているのかな?
照れながら、話す珍しい剛に驚きながらも奈美も嬉しくなる。
らったった♪だって。そんな楽しい思い出なのかな?
「バイク好きなんだ?楽しそうね。私の兄さんも好きだったわ。で、どこのバイク?」
と、奈美が聞くと、今度は剛が不思議そうな顔をした。
「え?だから、ゼロハンののラッタッターだよ。」
「は?ぜろはんのらったった?なにふざけてんのよ?」
意味不明にはしゃぐ剛に奈美がイライラしはじめて、剛は奈美が何をイライラしているのか分からずに、困惑する。
「ラッタッターって、スクーターの事よ。」
たまらず、遥香が笑いながら説明する。
そう、一昔前、華々しくスクーターのCMが、日本のお茶の間に流れ、そのおしゃれな姿に、みんな虜になったのだ。
スクーターとは、従来の股がって乗るタイプのバイクとは違い、両足を揃えて座った格好で乗れるタイプのバイクである。
これにより、タイトスカートをはいた姿でも、女性がバイクを楽しむことが出来るようになったのだ。
と、当時は剛も驚いたのだろうが、なんの、スクーターは、もっと昔からあったらしい。
が、調べてみると、スーパーカブが人気があり、女性向けに本格的に販売に力を入れだしたのが、80年代辺りだったので、なんとなく剛は、80年代のニューモデルのイメージがある。
が、ラッタッターなんてバイクはないのだそうだ。
ホンダのロードパルのCMのキャッチコピーが、一人歩きしたんだそうだ。
作者も知らなかったどうでもよい知識。奈美も遥香から説明を受けて興味深く聞いている。
ついでに、50ccバイクをゼロハンと呼んでいた昔。使うことが無くなったので、ちょっと懐かしくなって使ってみた。
「なんか、すごいね…」
奈美は、説明を聞きながら、ネットで昔のCMをみた。
で、剛の逞しいツーリングの話を聞くことはないだろうと諦め、
脳内のミシェルも、スペイン産の黒馬から、近所の家から譲り受ける雑種の栗毛の馬で我慢させることにした。




