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冒険者ギルド

お城の謁見の間から空間跳躍で、移動した先は、お城ほどではないが大きな建物の前だった。


「ここは?」

「冒険者ギルドだ。月夜の冒険者登録をしに来たんだ。」

「どうしてですか?」

「月夜にはこれから強くなってもらいたいからな。

そのために、クエストで魔物などを討伐して実戦経験を積むついでに、お金もある程度稼げるからな。」

「分かりました。強くなれと言うなら、そうします。」

「俺の命令を絶対に聞けってわけじゃないんだがな。まあいいや、じゃあ入るぞ。」


白夜は、月夜の言葉に溜息をついて少し呆れた顔をしたが、仕方がないという顔をしてギルドのドアを開けた。

それに続くように月夜もついてギルドの中に入った。

ギルドの中は広く多くのテーブルや椅子があり、多くの人がそこで料理を食べたりお酒を食べたりしていた。ドアからまっすぐに伸びる道の先には受付カウンターがあり、何人かの人が作業をしていた。そして、壁際には大きなボードが置いてあり、そこにはたくさんの紙が貼ってあった。

ギルドの中に白夜たちが入ると、ギルド内のすべての人がこちらを見ていた。正確には、白夜を見ていた。

白夜と月夜が受付カウンターに歩いて向かっていると、道の直ぐ傍で料理を食べていた一人の男性が白夜に話しかけてきた。


「よう、久しぶりだな、白夜。」


男性は、大人の男性の平均的身長で細身ではあるが筋肉は無駄なくしっかりとついている。先ほどまで座っていた椅子の隣に刀が立てかけてあるため、彼は刀を使って戦う剣士なのだろう。体の肉付きや雰囲気からかなりの強者だと分かる。


「ああ、久しぶりだな、アキト。」


アキトと呼ばれた男性は月夜を見た後、微笑みながら再び白夜に話しかけた。


「そいつが、お前が買ったっていう噂の奴隷か?結構可愛いじゃないか、もしかしてそういう目的で買ったのか?」


アキトの言葉にこちらを見ていた他の男の冒険者内の半数が月夜を見る目に下心が見え始めた。それに白夜が気づくと呆れて溜息をついた。


「はあ、なぜお前たちはすぐに下品なことが目的だと考えるんだ?」

「そりゃあ、男なら女に興味を持つのが普通だろ。それに、それが目的じゃないならお前はそいつとどういう関係になる為に買ったんだよ。」

「俺に性欲はないからお前らの気持ちは分からん。関係か、強いて言うなら家族かな。」

「!?」


アキトの質問に対する白夜の答えに、それを聞いていた全員が驚いてしばらくの間、時間が止まったかのように静かになった。その静寂に気づいた白夜がみんなに質問した。


「どうしたんだ?」

「どうしたって、お前の口から家族なんて言葉が出てくるなんて思わなかったし、しかも自分から作ろうとするなんて一体どういうことだよ?」


アキトの言葉に全員が頷いた。


「いや、特に理由はないぞ。ただ、月夜を見た時に気になったから買っただけだし。」

「おいおい。じゃあ、何となくこいつが何か利益をもたらすかもってだけの理由で買ったのか?」

「ああ、そうだけど。」

「なんか、考えがあってしたわけじゃないのか?」

「まあ、直感で何かをもたらしてくれるのは分かってるから、今はそれだけでいいからな。」

「はあ、お前ってやつは。」


アキトは呆れて溜息をついた。アキトと同じようにギルド内にいた人たちも溜息をついた。

アキトは、月夜の方に向き直った。


「まあ、こんな奴だけど悪い奴じゃないから、こいつの言うように家族みたいな関係になってやってくれ。」

「は、はい。出来る限り家族になれるように頑張りたいと思います。」

「お、おう。今日は冒険者登録に来たんだろ、なら同じ冒険者になるんだからそんなに畏まる必要はないぞ。もっと気軽に接してくれ。」


アキトは、月夜の畏まった態度にすこし戸惑いながら対応した。


「はい。これから気軽に接していけるように頑張ります。」

「おう。頑張れよ。」

「じゃあ、早いところ登録するぞ。」

「はい。」


アキトと月夜の会話が終わったところで、白夜が受付カウンターに向かいながら月夜に言った。月夜は返事をして、白夜の後について行った。

受付カウンターに着くと白夜が受付嬢に話しかけた。


「じゃあ、早速だけど冒険者登録の手続きをよろしく。」

「はい。では、こちらの書類に魔力を流してください。」


そういって、受付嬢は月夜に一枚の何も書かれていない紙を出した。


「これに、魔力を流せばいいんですか?」

「ああ、そうすれば、魔力を流した者の名前とステータスが表記されるから。魔法が使えるなら魔力を流すくらいは出来るだろ。」

「はい。じゃあ、始めます。」


月夜は、書類に手を当て魔力を流し始めた。書類に触れた手からは黄色いオーラのような魔力が出ていた。少しの間、書類に魔力を流していると、受付嬢が話しかけてきた。


「はい、もういいですよ。」


その言葉を聞いた月夜は、書類に魔力を流すのをやめた。その書類を受付嬢が書類に目を通し始めた。その書類を見ていた受付嬢は少し驚いた顔で話し始めた。


「月夜さん、魔力が異常に高いですね。それに、奴隷としてまともな食事を与えられなかったにしては、筋力や体力もそれなりに高い部類に入りますし、これならかある程度の難易度のクエストは問題なくこなせるでしょう。」

「そうか。じゃあ、中級くらいの難易度のクエストを与えてやってくれ。」


受付嬢に言った白夜の言葉に受付嬢は、少し驚いて慌てた様子になった。


「あの、いくらなんでも行き成り中級の難易度のクエストをさせるのは、せめて最初は初級の簡単なクエストからこなしていった方がいいですよ。」

「俺がクエストを手伝うから問題ない。」

「え、まあ、そうなんですけど。」


その言葉に受付嬢は何も返すことがなかったため納得するしかなかった。


「じゃあ、早めに冒険者カードを作ってくれ。」

「は、はい。少々お待ちください。」


受付嬢がカウンターから見えないところまで行き少し作業して帰って来た。その時受付嬢は、名刺サイズのカードを持ってきた。


「こちらが冒険者カードになります。このカードがあなたの冒険者としての身分の証明書になります。」

「はい、分かりました。」

「次にこちらが今回受けてもらうクエストになります。」

「分かりました。」

「どれ見せて見ろ。」


冒険者カードには、先ほどの書類に書いてあったものと同じステータスが書いてあった。

クエストについて書いてある書類は、じっくりと見る前に白夜が確認するために書類を取った。次に冒険者カードに書かれたステータスを確認した。

その後出口に向かって歩いて行った。月夜も受付嬢に礼をした後、白夜の後を追った。

ギルドを出た後すぐに、白夜は月夜の手を掴んで空間跳躍でどこかに飛んだ。


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