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加護か呪い

投稿するのが遅くなってすみません。

月夜が考え込んでいると、白夜が料理を運んで来た。


「晩飯出来たぞ。」

「おお、ようやくできたか。待ちくたびれたぞ。」

「では、食べる準備をしますね。」


小百合は、スプーンやホークと飲み物を取りに行った。

その間に白夜と不知火が料理をテーブルに並べていた。


「月夜は、さっきから何を考え込んでるんだ?」

「え!?あの、なんでもないです。」

「ん?まあなんでもないならいいが、気になったことがあるなら聞けよ。」

「はい、わかりました。」

「なら、準備が終わるまで待ってろ。」


それから白夜たちが準備を終えるまで、月夜は椅子に座って待っていた。


「さて、食べますか。」

「そうだな。いただきます。」

「いただきます。」

「さあ、月夜もちゃんと食べろよ。」

「はい、いただきます。」

「召し上がれ。」


月夜が一口食べるのを他の3人は微笑ましく見ていた。


「美味しい。」


月夜が料理を食べた感想を言うと、他の3人は微笑みながら話し始めた。


「だろ、白夜の料理はいつも美味いからな。」

「ええ、女としては、負けた気がするんだけど、これだけ美味しいと、どうでもよくなるのよね。」

「それはどうも、作った甲斐があるってものだ。いっぱいのあるから好きなだけ食べるといい。」

「はい、ありがとうございます。」


その後、特に喋ることなく料理を食べ終わった。


「ご馳走様でした。」

「ご馳走様でした。」

「ご馳走様でした。」

「お粗末さまでした。」

「で、これからどうするんだ?」

「そうだな。帰る前にやることがある。」


白夜がそう言った後、不知火が不機嫌な顔になった。

小百合と月夜は白夜の言ったことと不知火の顔が変わったことの意味が分からず首を傾げた。


「不知火、そんな不機嫌な顔をしてどうかしたの?」

「やることとはなんですか?」

「白夜、本気でやる気なのか?」

「ん?俺はいつも本気だぞ。」


それを聞いたことで、不知火が怒った顔になった。


「白夜さん、一体何をしようというんですか?」

「月夜を不死者にするだけさ。」

「!?」

「え!?」


小百合は白夜の言葉に驚いた後、不知火と同じように怒った顔になった。

月夜は白夜の言葉がどういう意味なのか理解できなかった。


「月夜、理解できてないみたいだな。」

「はい、不死者にするってどういうことなんですか?」

「その言葉の通りだ。お前には、これから不死者として永遠の時を生きてもらう。」

「でも、不死者にするなんて、神様以外に出来るものなんですか?」

「ええ、本来はできません。でも、白夜は魔法は神の領域に達しているから、不死者にすることが出来るんです。」

「でも、不死者はいいことだけじゃない。むしろ永遠に終わることのない時間は人にとっては地獄でしかない。」

「なぜ、そんなことが言えるんですか?」

「それは、俺たち3人は不死者だからだ。といっても俺はまだ16歳だけどな。」

「俺と小百合は、200年は生きてる。お互いがいなかったらとっくの昔に人格が壊れていたさ。」

「だからこそ、月夜を不死者の道に引き入れようとしている、白夜に対して少し怒りがあるのも事実です。」

「そんなことはどうでもいい。不死者の力をどう思うかは、月夜お前次第だ。」

「私次第?」

「ああ、不死者を加護か呪いかは、お前の生き方によって変わる。」


それを聞いた後、不知火と小百合は呆れた顔をして白夜と話し始めた。


「そもそも、月夜に拒否権はないんだろ。」

「当然だ。」

「相変わらず自分勝手な人ですね。」

「そんなことはどうでもいいんだよ。」


白夜が月夜に手を向けた。


「じゃあ、さっさと済ませるぞ。」


月夜の体の周りに、よくわからない文字が円の列になった物が幾つも回り始めた。


「これは?」

「それは、魔法陣の一種だ。まあ、終わるまで少しジッとしてろ。」


白夜がそう言った後、円形の魔法陣はさらに数を増していき月夜の体を覆い隠しすほどに増えて言った。

魔法陣の放つ光で部屋が満たされて少し経った後、光が止んだ。


「これで、終わりだ。」


月夜は、自分の手などを見ていた。


「どんなに見ても死ななくなった以外変化はないぞ。」

「そうですか。」

「全く、一体なんでそこまで月夜入れ込むんだ?」

「本当ですよ。奴隷として買っただけでなく不死者までするのはなぜ?」

「そんなもん、俺も知らん。ただの感だ。」

「あっそ。月夜、何かあったら遠慮なく言うんだぞ。」

「月夜、何かあったらいつでもここに来ていいからね。」

「お前ら、俺をなんだと思ってんだよ。」

「人知を超えた化け物。」

「人ではない何か。」

「扱い酷くない?」

「事実だからしょうがないだろ。」

「事実だからしょうがないですね。」

「はあ、もういい。」


白夜は、小百合と不知火の態度に諦めたように言った。

その後、こちらを向いて話しかけてきた。


「月夜、一つ聞きたいことがある。」

「なんですか?」

「お前、なんで逃げなかったんだ?」

「それは、あなたから逃げられそうになかったから。」

「違う。俺が聞きたいのは、そんなことじゃない。奴隷の間、なぜ逃げなかった?」

「!?」

「どういうこと?」


小百合は、白夜の質問の意味が分からないのか首を傾げて白夜に聞いた。


「月夜は、ある程度の魔法なら使えるんだろ。」

「!?どうしてそれを。」

「お前を見た時から分かっていたさ。」

「まさか、見られただけで気づいたなんて。」

「でも、それがさっきのこととどう関係してるの?」

「こいつにつけられていた枷は、魔力を封じる枷じゃなくて、ただの枷だったんだよ。」

「なるほどな。魔法を封じられてるわけでもないのに逃げなかったわけか。」

「ああ、だから理由を聞いてるんだよ。」


月夜は、暗い顔をして俯いた。


「それは、私がどうなろうとどうでもよかったからです。」

「やっぱりな。もういいぞ。」

「え!?どうして。」

「どうしてそんな考えになったかなんて興味ないからな。」

「そうですか。」

「相変わらずね。自分の興味があることにしか関心を持たない。」

「身勝手な奴だな。」

「まあ、そんなことはどうでもいいんだよ。」


白夜が月夜に手を差し出した。


「さあ、家に帰るぞ。」

「・・・はい。」

「帰るのか。また来いよ。」

「また来てくださいね。」

「ああ、またな。」

「はい、また来ます。」


挨拶を済ませた後、不知火たちの家を出た。

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