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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

短編集

異世界寿司屋

作者: 唖魔餅

ハロウィン用の短編です

ハロウィン関係ないけど

 今日、天使のトラックに轢かれて転生したマイク・ロソフトは腹を空かせていた。

 この日、ギルドに依頼されたクエストを終えて、自らの屋敷に帰る途中だった。

 彼はこの世界に転生して18年となり、まるでオンラインゲームのような剣と魔法のファンタジー世界の生活になれた。

 しかし、一つだけ彼は不満があった。

 和食が食べたいのだ。

 それも寿司が強烈に今食べたいのだ。

 しかし、この世界は中世ヨーロッパ時代の食事が親しまれており、無駄に時代感がしっかりしていたのだ。

 ならばいっそ自分で寿司を握るかと思ったが、寿司の作り方を知らない。

 彼はくそっ、日本にいたときに良く調べておくべきだと後悔した。

 余談だが、マイクはこの世界で魚を両面焼きをした異世界人がいたが、裏で異世界人ってオークより頭よかったんだなと皆口々に言っていたのをマイクは知っていた。

 そう、この世界は無駄に文明レベルだけは高いのだ。

 奴隷は人権を主張し、聖職者の一人は宇宙の神々について語ったり、人を蘇生させる錬金術への挑戦等々現代人には考えられない考えを示していた。

 そんな世界にも関わらず、和食だけがない。

 そういうわけで、彼は屋敷の戻って夕食であるパンやスープといった、洋物の料理を食べるのが嫌で、ここら周辺をぐるぐる歩きながら、無駄にステータス画面を見ていた。

 彼のステータスはこうだ。

【名前】マイク・ロソフト【年齢】18【Lv】23

【種族】ヒューマン【職業】魔法戦士【称号】アヴァンドラ貴族

HP:78

MP:46

ATK:53

DEF:52

SPD:42

INT:40

MEN:30

【スキル】鑑定、罠破り、剣術Lv3、炎魔法Lv3、水魔法Lv3、風魔法Lv3、土魔法Lv3

 彼はそのあまりに平凡すぎる能力に溜息が出た。

 すると、ちょうど4周ぐらいした頃だろ。

 マイクは和風なお店を見つけた。

 彼は一瞬異世界人が開いたお店に違いないと感じ、すぐに中に入った。

 すると、彼の予想通りそこは和食屋だった。

 しかも、何と彼が食べたかった寿司屋でもあった。

「へい、いらっしゃい!」

 日本で暮らしていた時と同じような活きのいい声だ。

 彼は上機嫌にイスに座った。

 店内には驚くべきことに自分以外いなかった。

 自分が最初に見つけたのか、あるいはもう他の客は帰ったのか。

 そこまではマイクはわかなかったが、ともかく寿司を彼は食べたかった。

 彼が日本語で書かれたメニューを見た。

 メニューも日本大トロ、中トロ、赤身、かつお、真鯛、カレイの縁側、サーモン、うに、海老えび、イクラ、卵焼き、かっぱ巻き、漢マグロ、シーサーペントと様々なネタがあった。

「すいませーん」

 彼は大声で寿司を握っている人に言った。

「あいよ!」

 気のいい返事がマイクに返ってきた。

「大トロ、赤身、うに、海老、イクラ、卵焼き、サーモン、かっぱ巻き。それぞれ一つずつお願いします」

「へい、かしこまりました!」

 彼がそう注文し終わると、彼は昔のように熱いお茶飲みながら、寿司を待つことにした。

「へいお待ちどうさん!」

 しばらくすると、まず最初にかっぱ巻きと卵焼きが出された。

 彼は久しぶりの寿司につばを飲んだ。

 彼は近くの箸を取り、手始めにかっぱ巻きを食べた。

 口の中に入れると酢飯のほのか酸っぱさときゅうりのすっきりとした味わいが見事に混ざり合い、シャキとした歯ごたえが味わえた。

 そのどこか懐かしい味わいにマイクも

「おっ、これはいいきゅうりだ」

と思わず口から漏れた。

 次に彼は卵焼きを食べた。

 普通の甘い卵焼きだった。

 だが、その素朴で淡白な味は日本の一般的な家庭料理ような懐かしさをどこか彼の思い出を刺激した。

 しかし、どこか体に違和感があった。

 なんと言うか、体中からエネルギーが溢れてくる感じだ。というか溢れている

 彼はあまりの寿司のおいしさにそういう幻覚を見ているのに違いないと思い、次のネタを待った。

「あいよ、うにと海老、それからイクラと赤身。ごゆっくりどうぞ!」

 彼は待ちに待った海鮮のネタが乗った寿司に獣のように海老を掴み取り食べた。

 海老本来が持つ濃厚な甘みとプリプリとしててとろけるような歯ざわりは酢飯のほのかな酸っぱさと融和をして、とてもおいしかった。

 彼は味わうようにそれを食べ、飲み込んだ瞬間。

 彼の足が強烈的な筋肉痛が起こった。

「はっ?これ・・・俺か?」

 彼はあまりの出来事にとっさに自分の足を見ると短距離走のマラソン選手のようなしなやかでがっちりした足になっていた。

 この出来事にマイクは少し困惑したが、

(・・・これも幻覚だよな?)

と思い、気にせずいくらを食べた。

 やや甘口醤油で味付けされたイクラのつぶつぶの食感は子供の時に感じたおいしさそのものであり、先程の摩訶不思議な現象も忘れてしまうほどであった。

 しかし、それを飲み込んだ瞬間頭の中にものすごい量のチートスキルが流れ込んできた。

 それは彼が知っているもの、知らないもの全てだ。

 彼はあまりの情報量に混乱したが、寿司を食べたいという食欲だけの本能に従い赤身を食べてしまった。

 日本人といえばマグロだ。この赤身は血生臭さがまったくなく、噛めば噛むほどマグロのうまみが口全体に広がってきた。

 今度の彼の体の異変は北斗の拳の主人公ケンシロウのように上半身の筋肉が一気に膨れ上がり、着ていた衣服もはじけるように破け去ってしまった

 彼はあまりの出来事に混乱して、とっさにステータス画面を見た。

【名前】マイク・ロソフト【年齢】18【Lv】∞

【種族】ヒューマン【職業】魔法戦士【称号】アヴァンドラ貴族

HP99999999999999999999999999999999

MP:9999999999999999999999999999999

ATK:999999999999999999999999999999

DEF:999999999999999999999999999999

SPD:999999999999999999999999999999

INT:40

MEN:30

【スキル】神鑑定、神罠破り、全武術LvMAX、全魔法LvMAX、召喚魔法LvMAX、全属性耐性、全敵能力無効化、敵耐性無効化、全装備可、威圧感、テレパシー、後面倒だから省略

「えっ、何これは」

 彼はあまりの出来事に脳が追いつかなかったがそんなことをしているうちに店主が最後にサーモンと大トロを持ってきた。

「あいよ、サーモンと大トロね。何かお客さん随分マッチョになったね。まぁ、いいや。ごゆっくりどうぞ!」

 店主はマイクの変わり果てた姿を見ても動じず、ささっと彼の目の前に寿司を置いて中に引っ込んでしまった。

「『まぁいいや』じゃないよ、これ。次一体何が起こるんだよ、おい」

 彼は恐怖で次の寿司を食べたくなかったが、目の前にある大トロ、うに、サーモンは彼の大好物であった。

 彼は【MEN】の能力値が低かったため、その誘惑に抗うことができず、箸を使おうとしたが覇気で折れてしまった。

 仕方がなく、彼は巨人のように筋肉でムキムキになった手で潰さないようにうにを取り食べた。

 まったりとして甘くて濃厚なうにの味は異変をもたらした彼の体でも非常においしかった。

 彼は一口、二口と噛み締めるようにうにを食べた。

 彼は天国にいるような気持ちだったが、次にきたのは地獄だった。

 彼の頭はありとあらゆる次元、宇宙の真理、この世全てに関することを理解してしまった。

 すなわち【INT】が限界突破してしまったのだ。

「う、うおおおおおおおおおお!そんな、こんな!お、俺たちはなんて矮小な存在なんだ!」

 彼はほとんど発狂した状態になってしまったが、それでも食欲だけなぜかあり、気が狂いそうになりながらサーモンを食べた。

 彼が気が狂っているので味はわからなかった。

 たぶんシャケの濃厚な味が口いっぱいに広がっているだろう。

 彼がそれを食うと急に落ち着いた。

 【MEN】が限界突破したのだ。

「そうか、なるほど。我はまだ真理に辿りつけぬ若輩ものであったか。ならば、我とその真理を一体化させようではないか!」

 彼は丁寧に大トロを食した。

 こってりとして、脂が乗った大トロは彼に残った人間の心を感激させた。

「この食事が我が人として最後の証となろう。さらばだ!」

 こうして、彼は真理、空間、時間と一体化してどこかへ消えた。

 最後の彼のステータスはこうなっていた。  

【名前】マイク・ロソフト【年齢】18【Lv】∞

【種族】神【職業】真理追究者【称号】真理へ旅立つ者

HP:9999999999999999999999999999999

MP:9999999999999999999999999999999

ATK:999999999999999999999999999999

DEF:999999999999999999999999999999

SPD:999999999999999999999999999999

INT:999999999999999999999999999999

MEN:999999999999999999999999999999

【スキル】全て。この者に不可能はない。全て彼の思い通り

 ここは神も喜ぶ異世界寿司屋である。

 異世界に来た人は是非一度来てみるといい。

感想・レビューよろしくお願いいたします

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