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第7話~友愛編~ 「驚きと安らぎ」

王宮に帰ると待っていたのは、大臣と、驚きだった。

大臣の案内で、まずは食堂へ。大きな食堂の長いテーブルに、

王宮の人間が全員並んで座る。大臣、メイド、掃除人、警備・・・。

大臣曰く、前国王が「食事は王宮の人間全員でするべきだ」と

話し、その時からの習慣らしい。

ふと、一つだけ空いている椅子に目が留まる。

「アンテルムさん、どうしてあそこの椅子は一つ空いているの?」

私が問うと、アンテルムはあ、そういえば。と思いだしたように

言った。

「あそこには、明日から王宮に入り、女王様の教育係兼秘書になる者が

座ります。申し遅れていましたが、女王様には明日から一週間に五日、

一日四時間のペースで国家運営の為に講義を受けて頂きます。」

え!?じゃあその人が女王やればいいんじゃ・・・?

戸惑いながらも、エルミールは質問する。

「あの、その教育係って人が国を運営するんじゃだめなんですか?」

「いえ、次期女王はエルミール様と決まっていたのです。経緯は

答えかねますが。」

何それ・・・。でも、何かしらの経緯があって私に女王の重役を

任せてきたのであれば、責任は重大だ。

ともあれ、話を聞く限り頼り甲斐のありそうな人なので、

その教育係人のいう事をしっかり聞こう。


 食事が終わると、次は入浴。大きな浴場を一人で占領。おまけに

露天風呂まであった。こんなぜいたくな暮らし、本当に

私がしていいのだろうか・・・?

などと考えていると、立ち昇る大量の湯気の奥。

浴場の端に金色に、光るものを見つけた。

漫画やアニメで見る、ライオンの口からお湯が出てるあれだった。

あ、これって本当にあるんだ・・・。というか、この世界自体

本当にあるかどうかわからないけど・・・。

周りをひょいと見回し、誰もいないか確認すると、独り言を

吐く。

「それにしても、食事は本当に美味しかったなぁ・・・。これから

毎日あの食事ができるのだなって思うと、胸が弾む・・・あれ?」

ふと今日の食事を思い返す。そういえば今日の食事・・・。

皿に盛られていたのは野菜、魚、果物。肉類は全く見かけなかった。

よく考えれば、ここは人間を嫌い、人間を憎み、むしろいっそ人間に

なってしまえばどんなに楽なことかと、その思いが

余程強かったものが来るところ。豚や牛を食べる犬や兎なんて見た

ことがない。

そう考えれば当然の事であろう。


 入浴を終え、メイドさんから渡された綺麗な純白のパジャマに

身を包み、扉を開けるとそこは大きなベッドルーム・・・

ではなく、例の「自宅の自室」だ。

天井も高く、綺麗な装飾品や美術品が並ぶ城内とは別世界のような、

何の変哲もない"私の部屋"。

いきなりの王宮生活にストレスを感じすぎないようにという、

大臣の気遣いなのであろう。


いや、じゃあなんて突然呼んだし・・・。

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