恋が始まった(?)話
恋が始まる話(http://ncode.syosetu.com/n4446bw/)の続編です。
アイツの部屋に飾られた体育祭の写真が撤去されて、代わりに修学旅行で海をバックに俺と満面の笑みでダブルピースをキメてる一枚が飾られ始めた。だよなぁ、それが一番俺がかわいく写ってる。分かる分かる。俺も部屋に同じ写真飾ってるし。
蛇足になるが、アイツが一番『らしく』写っているのもその一枚である。ちょっとバカっぽくて、でも無邪気で、一番アイツらしい、見てるこっちの気が抜けてくような、間抜けな笑顔。俺の方がよっぽどかわいいけど。
ちなみに、撤去された体育祭の写真は俺が親父のライターで供養しておいた。
俺とアイツが写ってる写真なんて腐るほどあるんだから、この1枚くらい無くなったってどうってことない。
「あ、先輩。」
写真部の後輩がにこにこ笑いながらこっちにやって来た。この笑い方、この間の文化祭で良い写真が撮れたに違いない。
「はい、先輩。いつもの。相変わらずどの写真も幼馴染先輩と一緒に写ってて仲良いですね。」
「ありがとう!」
カメラ狂いのこの後輩はいつも「いつ撮っても絵になって、良い被写体なんです!」なんて瞳をきらきらさせながら俺を追いかけて写真を撮ってくれる。モデル代として現像した写真を請求し始めたのは最近だが、これは中々便利かもしれない。アイツと自分のツーショットなんて家族くらいしか撮ってくれないし。
早速封筒を開けて中身を見る。
「・・・・・・。」
思わず二度見した。
「・・・・・・。」
二度見して、三度見して、後輩の顔を見る。きょとん、と不思議そうな顔しているので、気付いていないのかもしれない。
「・・・・ねぇ。」
「何ですか?変なものでも写ってました?」
「写ってた。」
「えー!先輩が怖い顔しちゃうくらいなんですか!どうしたんですか!!!」
カメラ狂いの後輩は私のカメラワークに不備なんて無かったはずなのに!と鼻息荒くして手元を覗きこんできた。
1枚1枚めくって見せれば、後輩は顔をさっと青ざめさせた。
「・・・・・!先輩、もしかして『9股王子』にアプローチされてるんですか・・・?」
そう、あの9股ヤローもとい『センパイ』がどの写真にも写っているのである。
「いやいやいやいや。」
信じがたいことだが、何とこの9股ヤロー、どの写真でもアイツをガン見している。
「いやいやいやいやいやいやいやいや。」
どういうことなんだってばよ。
「ねぇ。」
うるせぇ。
「ねぇってば、君。どうして無視するのさ。」
こっち来んな。
「聞こえてる?」
無視してんのが分かんねーの?
「君にお願いが有るんだってば。」
うるせぇ黙れよ9股ヤロー。
「うるせぇ黙れよ9股野郎。」
今のは俺の声では無い。ぐいっと肩を抱かれて、庇われた。見上げればそこには俺の幼なじみの従兄が居た。アイツ以外に俺が男だと知る唯一の人で、俺はほっと息を吐いた。このアイツと違って男気溢れ勇気と決断力に溢れる無謀なコイツなら9股ヤローにも正々堂々文句を言ってくれるだろう。
「お前って奴は、相変わらず女にちょっかいかけて、懲りねぇ奴だな。」
初っ端っからストレートを容赦なく打ち込んでいくスタイルの持ち主にそうだそうだ、と言ってやりたくなるのを我慢する。
「何だよ、伊草。僕はこの子に頼みたい用事が有るんだってば。」
「オレが居たら言えねぇ用事か。」
「う~ん、別に良いけど。」
良いけどじゃねぇよ。そこは大人しく立ち去れよ。俺の願いも虚しく、9股ヤローはあまいとろけるような声で言った。
「ねぇ、おねがいがあるんだ。」
うっげええええええ。そう思ったのは俺だけではないようで、見上げれば従兄の奴もげんなりした顔をしていた。この恋愛脳ヤローくらいには言ったって許されるだろう。マジこいつ頭湧いてる。
「僕、君の幼馴染の白雪姫ちゃんのことがね、」
その続きを聞いた俺と従兄の奴の表情はやっぱりシンクロしていた。
うっげええええええええ。
いつも通り彼が勝手に家に上がってわたしの部屋のベッドでごろごろしていたので、わたしはわくわくしながらサッとまだ開けていない箱を彼に見せびらかした。
「ねぇねぇ、アイロンの練習したいの。髪触らせて?」
わたしの幼なじみは、男のくせにわたしよりも髪がさらさらでつやつやしている。きれいな長い黒髪は密かにわたしの憧れだ。
「はぁ?自分の髪でやればいいだろ。」
「だって、こわいんだもん。」
わたしの髪は前下がりのボブで、ほっぺの横で100度を超えた熱を発する物体を動かすにはきっとわたしは不器用過ぎる。顔に火傷なんて、とんでもない!
「・・・・・・じゃあ俺がやってやるから。」
「それじゃあ練習にならないじゃない。」
「いいだろ、髪の毛くるくるしたい時は俺がやってやるよ。」
「またそんな安請け合いして。気分屋さんの癖に~。」
彼はわたしの手からアイロンを無駄に無駄のない動きでひったくると、わたしをベッドの下に座らせて、知った顔でベッド脇のコンセントにプラグを差し込んだ。
「・・・・・・何で急にアイロンなんか買ったんだよ。」
何でか不機嫌そうな声に、わたしは何怒ってんだこいつと思いながらのんびり答える。
「この間の文化祭で、くーちゃん、髪の毛くるくるにしてかわいかったから。やってあげたかったの。」
「くーちゃんて呼ぶな。久遠って呼べ。」
「はいはい、くーちゃん。」
「・・・・・・かなえ。」
「なぁに、くーちゃん。」
わざとくーちゃん、くーちゃん、とからかって呼ぶわたしに彼は怒るでもなく、静かにわたしの名前を呼んだ。
「お前、これ、俺のために買ったの。」
「ん?だって、くーちゃんあのくるくる結構気に入ってたでしょ?」
「まぁ。俺に似合ってたからな。」
「でしょお。」
彼というのはぱっちり二重で、不思議の国のアリスの格好がバッチリ似合ってしまう男の子なのである。水色のドレスに白いエプロンを着た黒髪のアリスは大層かわいく、わたしは彼と写真を撮ってもらいまくった。
ちなみにわたしには白雪姫しか選択肢がなかった。どちらかと言えば彼の方が「肌は雪のように白く、唇は血のように赤く、髪は黒檀のように黒い」ので彼に白雪姫をやって欲しかったのだが、彼が「かなえちゃんが白雪姫やらないなら私仮装やらない!」なんて駄々をこねたのでわたしは自分で衣装を選ぶことが出来なかったのだ。まぁ結果けっこうかわいく仕上がってたので、満足。スマホの待ち受けを彼とのツーショットにしちゃうくらいには気に入っている。
だからという訳ではないけれど、その時クラスで一番張り切っていたオシャレ番長にやってもらった髪の毛くるくるがどうしても忘れられなくて、アイロンを買ってしまった。何でかちょっとごきげんになった彼には、アイロンを買うために従兄のおにいちゃんがちょっとお小遣いをくれたのはナイショである。
「ところでさぁ。」
「なぁに、くーちゃん。」
「・・・お前、いま、好きな奴、居るの。」
ぼそぼそと言いづらそうにそう聞く彼はついこの間わたしが失恋したことを知っている筈である。
「・・・居ないけど。なに。」
「それならいい。」
明らかにほっとしたような声に、わたしは今日の彼は変だぞと確信する。
「そういえば今日廊下で貴一の奴に会ってさぁ。」
「貴一おにいちゃん来てたよねぇ!わたしのスマホ持って来てくれてびっくりした!」
「用事が無いと来ないのかよ、アイツ。出席日数足りてんの?」
「くーちゃん毒舌すぎ。貴一おにいちゃんはどうしようもなく不良だけど、馬鹿じゃないから大丈夫だよ。」
「そこがお前との一番大きな違いだよなぁ。」
「何ですって!!!」
万年偏差値50~、とわたしをからかう彼はわたしの従兄が不良で学校に全然行ってないのに常に学年主席を貫いていることを引き合いに出してはわたしをからかう。
わ、わたしだって、馬鹿じゃないし。超平均的なだけだし。可も不可ないだけだし。
「貴一の野郎、『センパイ』と何か話してたぜ。」
「『センパイ』と?」
そんな馬鹿な。わたしの不良な従兄は従妹コンなあまりわたしがセンパイを好きになった日から蛇蝎の如くセンパイを嫌っていた筈だ。
「何話してたんだろう。」
「・・・・・・しーらね。」
あ、これ駄目なやつだ。教えてくれないやつ。
「ふぅん。」
わたしは彼のよく分からない話を理解するよりも先に、だんだんあったかくなってきて眠くなってきてしまった。あ、だめ、瞼、落ちる。
「寝るなよ。」
「むりー。あったかくてねむたいよー。」
「おい、かなえ。」
「むりむり~・・・。」
「・・・・・・こいつって奴は。」
マジで寝やがった。信じらんねぇ。俺が100度を超える熱源持って頭いじくってんのに。寝やがった。危機感無さ過ぎおとぼけ過ぎ。マジ社会に出て生きて行けんの?と教育方針を間違えた感を覚えながら俺はアイロンの電源をコードを引っ張ってぶちっと引っこ抜いた。
寝こけたアイツの正面に回り込めば、白雪姫の時には負けるがそこそこかわいい仕上がり。無言でポッケからスマホを取り出して、一枚。まぁ、悪くない。
アイツのお気に入りの、頭にピンクのリボンつけた白猫のひざ掛けをかけてやって、スマホの電話帳をすらーっと指先でめくった。
『貴一』
普段なら進んで連絡する相手ではないが、緊急事態だ。致し方無い。メッセージ画面を開けば向こうから一件メッセージが来ていた。
『今日の件だけど、お前、どう思う』
ざっくりした連絡に投げやりに返す。
『どうもこうもねぇよ。』
『いざとなったら俺あいつ殺そうと思ってるんだけど』
即レスである。俺はチラリと横目にアイツの寝顔を再確認して、似ても似つかない従兄が今怒りに震えながらスマホを握りしめているであろうシーンを想像した。おっかねぇ~。
アイツの従兄は、昔から従妹コンでご近所で有名だった。幼馴染の俺がまだ男の格好してた頃から従兄はアイツが大好きでかわいくて仕方がないようで、いつだって甘やかしていた。アイツがいじめられたと聞けばすっとんで行っていじめっこを殴り倒して停学、アイツが変質者に会ったと言えば警察よりもそいつを先に見つけ出しボコって危うく逮捕されそうになっていた。
かわいい従妹が9股王子なんてあだ名の付いた浮気野郎に見初められたのだ。冷静じゃ居られないだろう。
今日、9股ヤローは俺と従兄の前でこう言った。
「僕、君の幼馴染の白雪姫ちゃんのことがね、好きになっちゃったんだ。」
「・・・・・・・はぁ?」
「アァン?」
にこにこしている9股ヤローは凄む従兄にちょっとも怯んでない。9股した上にまだ女にちょっかいかけるだけの肝の太さは確からしい。
「実は僕、白雪ちゃんが僕のこと好きなの知ってたんだ。いつ告白してくれるのかな~って思ってたけど、最近僕のこと好きじゃなくなっちゃったでしょう。そうしたらね、気になって気になってしょうがなくなっちゃって。こんなの初めてなんだよ。きっとこれが恋ってやつなんだね。」
「はぁああぁああああ?」
「他の子にはこんな風に思わないし。きっとこれが初恋なんだ。ね、協力してくれないかな。」
「おい久遠、こいつ殺そう。」
「ま、待って待って。落ち着いて。」
「伊草、僕、本気なんだ。邪魔しないでくれないかな。」
「おい久遠、こいつ今死にたいって。」
「落ち着いてってば。」
結局従兄は大人しくしていられなくて、「あっ、そういえばかなえが家にスマホ忘れて困ってたよ!」なんて誘導するまで、視線に物理が備わっていたなら9股ヤローは何回か死んでたんじゃねーのってくらい睨みつけてからかなえの為に去って行った。
「ねぇ、白雪ちゃんの幼馴染ちゃん。」
『幼馴染』と称されるのは中々新鮮な気分である。学内ではアイツよりも俺の方が有名で、俺が「久遠ちゃん」、アイツが「久遠ちゃんの幼馴染ちゃん」と呼ばれることが多かったから。
「あの子、僕を避けてるでしょう。でも一度は僕のことが好きだったんだ。また僕のことを好きになってくれると思わない?」
「・・・・・・最高にポジティブですね。」
「そうかなぁ。」
「えぇ、まったく。」
まったく、頭が湧いてやがる。
「君、あの子のことが好きでしょう。」
「は?」
唐突にそう言い放った9股ヤローは爽やかに微笑んであっさり言い放った。
「僕たち、同じ人を好きになったんだ。仲良くやろうよ。」
「・・・・・・・。」
できるわけねーだろうが、という言葉を飲み込んで、無視をしたのは、俺がアイツを好きなのだと気付いたコイツはもしかして本当にアイツのことが好きなのかもしれないと思ったからだ。
何てこった。
「・・・私、あなたみたいな軽薄な男をあの子に近づける気無いから。」
「そう。君に協力してもらえたら直ぐ仲良くなれるかなと思ったんだけど。それならそれで良いや。僕も僕で頑張るから、君も頑張ってね。」
にこにこ笑って去る『センパイ』の後ろ姿を見送っt『Prrrrrrrrrrr!!!!!!!』何だ記憶を振り返ってる時にうるせぇな。そう思って電話を見れば、知らない番号だった。
「はい、もしもし。」
電話を取れば気に食わない声。
『こんばんは、幼馴染ちゃん。』
「はぁ?」
何で俺の番号知ってんだこいつ。
『ちょっと人に聞いたら教えてくれたんだ。ごめん、びっくりしたよね。』
戦犯は誰だ。ただじゃおかねぇぞとブチ切れながら思い浮かべていると、『本題なんだけど』と気に食わない声が語り始めた。
『僕あの子のことやっぱり好きみたいでもうずっとあの子のこと考えてるんだけどあの子って君とばっかり居てあんまりあの子のこと知ってる子がいなかったんだよね。伊草はもう問題外だしやっぱり君に聞くのが一番早いかなって思うんだけどあの子のスリーサイズと指輪のサイズ教えてくれないかな。あとあの子が最高にかわいく写ってるっていう修学旅行の時の写真とか文化祭の時の写真が有れば僕にくれない?実は文化祭の時あの子にこっそりついて回ってたから一枚くらい僕と一緒に写ってるやつが有ると思うんだよね。どうにかして手に入れたいんだけど協力してくれないかな。君ってばずっとあの子を独占してるわけだからそれくらい良いと思わない?』
待て待て待て待て。
『僕ってばずっと僕のことが好きな女の子みんなと付き合ってたわけなんだけど、人を好きになるってこういうことなんだね。もう一日中あの子のことしか考えられなくて、ずっと傍に居たいんだ。君も同じ気持ちだろう?』
さてはこいつ、ストーカーだな。
9股王子なんて不名誉なあだ名は付いてはいるが、一部の男子からはすげぇ甲斐性持ちだなとの評価も得ているのは伊達ではないらしい。というか、もしかして9股やってた方が良かったんじゃねぇの。一途な片思いといえば聞こえが良いが、こいつの場合、愛が重い。その一言に尽きる。
『ねぇ、さっきお願いさせてもらった件だけd「今忙しいので失礼します!!!!」
切ってやった。絶対またかかってくるだろうから着信拒否までしてやった。めんどくせぇ奴に好かれたもんだとこの騒ぎでも起きないアイツを振り返れば、しあわせそうにむにゃむにゃ言いながら何やら良い夢を見ているようだった。う~ん、くーちゃん。じゃねぇ。
俺をくーちゃんと呼んでいいのは小学生までだと言っただろうが。
何にせよ、アイツの恋が一度終わったっていうのに、俺の恋が始まりそうにないのは間違いないらしい。それどころか面倒くせぇ奴が参戦して来てよっぽどややこしい。
甘やかし過ぎたツケがここで回って来たのかあんな面倒臭いやつの浮気なんて放っておけば良かったのかもうそれを考えるのすら面倒臭いから、ベッドにアイツを放り投げて、その横に潜り込んだ。ついでにその腕をぎゅっと抱きしめて、うりうりと頭を擦りつけてみる。
ざまぁ見ろ9股ヤロー。
『ずっと傍に居たいんだ。君も同じ気持ちだろう?』
あの一言にだけは共感出来なくもないけど、俺は『傍』ってやつを譲る気が無いので、9股ヤローが望む共同戦線なんて張ってやる気はちっとも無い。それどころか重篤な従妹コンプレックスを患っている当校イチの狂犬をけしかけてやる気満々だ。
明日は土曜で学校も休みだし、今日はこのまま隣で朝まで寝てやろう。
きっと明日の朝には「なんでここで寝ちゃったの!」なんてぷんすか怒る姿が見られるんだろうが、俺は今、三千世界の鴉を殺し、主と朝寝がしてみたい気分なので、今日起きた面倒は全部丸投げだ。明日の朝はただ、まだまだお子ちゃまなアイツが朝起きた時に高杉晋作ばりにイケメンな俺が居て驚く顔を見ながら二度寝したい、なんて思いながら、瞼を閉じた。
「ちょっとー!なんでここで寝ちゃったの!!!」
「うるせー・・・。」
「低血圧!!!」
「うるせーってば・・・。寝ろ・・・。」
「あ~さ~で~す~!!」
「うるさいよ、かなえちゃん・・・。」
寝ぼけた彼に腕を引っ張られて、バランスを崩した。気がついたら彼の柔らかくない胸に抱き込まれていて、何でか顔がぽっと熱くなってしまった。
「く、くーちゃん・・・。」
「ん~、三千世界の鴉を殺し、主と朝寝がしてみたい、ってね~。」
「お、起きてるでしょう。」
「お~き~て~な~い~~~。」
むにゃむにゃと何やらしあわせそうに夢を見ているらしい彼の腕はがっちりホールドされて、わたしはほんの少しも身動きが取れなくなった。なんだこれ。なんだこれ、なんだこれ、なんだこれ。心臓がどくどく言って、なんか、自分の物ではないみたい。
見上げれば、いつもかわいい筈の彼の寝顔は、何だか高杉晋作ちっくにイケメンに見えた。いや、今ドキってした心臓、どうした。何だ何だ、何が起きてるんだ。わたしはぎゅっとパジャマの胸の辺りを握りしめて、彼が起きた時にはいつもの倍くらい大きな声でくーちゃんのばか、と叫んでやろうと決意した。
だけど、今は、何でかトクベツに二度寝しちゃってもいいかもしれない、なんて思っちゃって、わたしはくーちゃんのせいなんだからね、と小さな声で呟いてから、今日はお休みだし、と自分に言い訳をして、もう一度瞼を閉じたのだ。
問:二度寝して起きたら好きな女の子が腕の中でぐっすり寝ていた時に取るべき行動を答えよ。
答:全ての予定を投げ出して起きるまで寝顔を眺め続ける。