十三人参上(五)
ドンチャカドンチャカドンチャカドン。
昔から宴のリズムとして親しまれているものだ。他にも、
ズンドコドコズンドコドコズン。
などもあるが、宴と言えばやはり、
ドンチャカドンチャカドンチャカドン。
である。
まあ、今この話題を持ち出すということはこれから彼らの宴の様子を紹介するというのがお解りだろう。
「酒出せ酒出せ」
「ツマミは何がある」
「ばか野郎、こんなむさ苦しいトコで熱燗なんか飲めるか」
こういう具合なのだが、無論フェニックスとサラマンダー(前名:リュウ)は未成年な訳で(何百年生きようと未成年は未成年である)、遠くから成年達の無様を眺めているのである。
「よくまァ、あんなに飲めるよな…。」
「そうだね…。」
遠くから眺めてはいるものの、無論この宴の発端はサラマンダーの改名なのであって、大人達が放っておくはずがない。
「リュ…サラマンダーくーん」
「なに、総司」
「ちょっとだけでも飲まないかい」
酔い気味の沖田がサラマンダーを誘った。
「僕は未成年だからちょっとだけでもダメだよ」
「舌で味わって飲み込まずに吐けば良いんだよ。僕もサラマンダーくん位の時に近藤さんに飲まされたんだよ」
「それでもダメ」
「ちぇ」
沖田はスキップとサイドステップを混ぜながら酒の源へと帰っていった。
「フェニックス君」
沖田が帰るとサラマンダーはフェニックスに話しかけた。
「これから君はどうするんだい?天上界王の言う更にクラスの高い軍人になるの?」
「まァ、それについてはまだ詳しく聞いてねぇからまだ決まってない。でも、後継ぎが出来たから覇者は下りるぜ」
フェニックスがぽんとサラマンダーの背中を叩いた。
「じゃぁ…」
サラマンダーが少し苦い顔をする。
「じゃぁ、フェニックス君、君はこの小説のタイトルから思いっきり外れたことになるね…。」
「確かに」
フェニックスが驚いた顔をする。
「どうするんだい?」
「どうしようか」
フェニックスが腕を組んで考える。
「こんなのはどうだ?」
何かを思いついたフェニックスは人差し指を立ててサラマンダーに向かって笑った。
「新しい俺が主人公の小説を創ってもらって、これとシリーズ化する」
「なるほど、『五人の覇者』からの流れ込みを狙うわけだね」
「それに、新小説から『こっち』への流れ込みも有り得る。ウィンウィンてわけさ」
大人の事情を不自然無く相談する子供二人である。
「でも、そうなると二作の掛け持ちという事になる。作者は持つかな?」
「そうか…。確かに、掛け持ちをして両作が中途半端に終わったという例はいくらでもある」
「二兎追う者一兎と得ず、だね」
地上界の諺とは多少なり違うらしい。
「ならば、こんなのはどうだ?」
フェニックスはまた何か思いついたらしい。
「番外編として小説の中に組み込む」
「なるほど、今は長編、短編の二構成で成り立っている。
長編は必ず五人の覇者が主人公。
短編は基本的に脇役の過去を紹介する。
そのどちらにも当てはまらないから新たに番外編を作ろうという訳か」
なお、サラマンダーが短編で「基本的に」と言ったのは『クラーケンの恋人』があるからだ。
ならば、フェニックスのも短編で良いんじゃないかって?
「サラマンダー、やっぱり俺のも短編で良いんじゃないか?」
「ダメダメ。一話じゃ終わらないでしょ」
そう、短編は何があろうと必ず一話で終わらせるのだ。だが、フェニックスの場合はそうはいかないだろう。
(略)
「じゃあ、フェニックス君のは番外編でスタートするという事で決定だね。後は衆参両方を通過させるだけ」
政治のシステムを比喩に使う悪徳サラマンダーである。
実際のところ作者に相談すれば良いだけの話なのだが。
とにかく、全く関係の無い事をダラダラと話した彼らには読者に謝ってもらう必要がある。
「さ、心配事も解決したし、休もうか」
「そうだな」
…謝る気はないらしい。
彼らに代わって作者から謝罪を申し上げます。
おっと、宴の様子を紹介する予定が広告だけで終わりそうだ。
成人達にアングルを戻そう。
「酒が切れたぞー」
ペガサスが鼻を真っ赤にして頭上に盃を差し出す。
「はいはい」
ツルギがそれに焼酎を入れた。
「ツルギさん、こっちにも」
斎藤が呼んだ。
すると、一瞬の内に妄想を繰り広げたペガサスは、
「斎藤テメー人の女に手ェ出してんじゃねーぞ!」
「ばっ、出してねーよ!」
「嘘つけ!明らかに出してっだろ!」
「やるか!?」
「メガポイズン!」
「轟斬!」
「二人ともやめてー!!」
ツルギ、悲痛の叫びである。
そこにいるのはかなり酔って顔中真っ赤にしたペガサスと、そこまで酔ってないのに潰れている斎藤だった。
もう、勝敗はお解りだろう。
「ケッ、殺さないように気絶技にしといてやったぜ」
ペガサスにとっては決め台詞だったのだが、後ろから一人の男が忍び寄った。
「でも、わしに使ったよね」
「うぉうっ、天上界王!」
「わしにギガポイズン使ったよね」
「そっ、それはさ、飲み込まなきゃ死なないから…」
「じゃあ、斎藤にもして良かったんじゃないの」
天上界王の顔が真っ赤だが、それは酔ったからなのか、怒っているからなのかは作者にも解らない。
「…………。」
しかも、酔ったクラーケンまでペガサスに攻撃してきた。
「そうですよねー。皆にギガポイズン使ってますもんねー。説得力0ですねー。」
「ちょっ、クラーケン!」
「クラーケン君、お仕置きしてあげなさい」
「天上界王!」
「そうですね、ウォーターフォール!」
「いやああああああああああああ」
そこにいるのは酔い、ケラケラと笑うクラーケン、天上界王と酔った上に脳震盪を起こし、チンチロリンになったペガサスだった。
「ペガサスさん大丈夫ですか!?」
ツルギが発狂しながら来る。
それに対してペガサスは、
「おお、ルルリ、おれららいろうるららら、ろりあえるられら、られー(おお、ツルギ、俺は大丈夫だから、とりあえず酒だ、酒ー)」
「ペガサスさーん!」
「酔いと脳震盪のハーモニーですね、天上界王」
「美しい響きを醸し出しているな、クラーケン」




