御披露目会 クラーケン編
「あるのか?」
「ええ、ただ二百年経ってまだ残ってるかどうか解りませんが」
「…まさか、お前ん家とか言わねーだろうな…?」
「言いません」
キッパリ。
「覚えてませんか?森ですよ。皆が最初に会った森」
「ああ、あの森か!でも…残ってるかな…。あの町でもあれだけ開発されてたし、森なんて…」
あった。
「さすがは神秘の森、人間に負けませんな…。」
五人が降りるとペガサスが言った。
すると、クラーケンが、
「帰ってきましたよ、今度は五人で」
『お帰りなさい』
「喋ってる!?」
フェニックスが仰天した。
そう、フェニックスはこの森が喋っているのを見たことがない。
『クラーケンさん、天上界で随分沢山私の事を知ったようですね。』
「はい、あなたの事が少し解りました」
『あの沼においでなさい。いいモノが見られますよ』
「おお、この沼は」
フェニックスが思い出す。
「俺がクラーケンにアイスレーザーをくらって体操座りをした場所じゃないか」
「ええ、その通りです。あれ、沼の上に誰かいますね。向こうを向いてますけど」
ニュートンより先にリンゴが落ちるのを見て疑問を持ったけどそれを活かせなかったあなた方ならもうお分かりだろう。
そう、沼の上に人がいるという状況は明らかにおかしい。
だが、
「女性ですね」
「金髪のロングだな」
「身長は高い」
二百年も超人の世界(天上界)にいるとそんな事どうでもよくなるのである。
「おーい、アンタどうしたんだ?」
フェニックスが大声を出す。
振り向いた。
「かっ、可愛い!」
「おいおい、フェニックス。こういう時は美しいと言うんだぞ。大人の女性に可愛いは禁句だ」
「そりゃオメーの妄想だろ、サンガー…」
女性がヒタヒタと沼の上を歩いてくる。
裸足だった。
いや、服は着てるけど。
裸だったら全員今頃出血多量で死んでいるだろう。
「こんにちは」
女性が話しかけてきた。
ラーケン代表、
「森の正体ですか」
「はい。あなたた…」
「残念ですが今は二百年大修行の御披露目会中なのでお話は後で聞きます」
「クラーケン!女性にそんな冷たくしちゃダメだろう!」
バジリスクが女性を庇う。
「いえいえ、五人でゆっくりお話しください。」
そう言うと、女性は少し離れた所に座った。
「アンタも女とは思えんぐらいタフだよ…」
「なぁ、クラーケン」
「どうしました、サンガーさん」
「お前、あの女性が森の正体って何で解ったんだ?」
「天上界でね…調べたんですよ」
そう言うとペットボトルを取り出した。
中身は半分程度だ。
「それは…!」
「この沼の水です。調べたところ、これは技によって出る水だそうです」
「どういう事だ…?」
「この沼の水は自然には発生しない。あの女性が技で出していたんですよ」
「…………。」
「多分、森の声は響いていたからよく解りませんでしたけど、きっとあの女性と同じ声のはずです」
今度は、フェニックスが言った。
「クラーケン、そろそろ御披露目の時間だ。あの女性のために早く始めよう」
「そうですね。まずはアートウォーターという技を。」
そう言うとクラーケンの前に水で出来たタコが現れた。
「次に、ウォーターフォール」
クラーケンの手がサンガーの頭を掴むと、
「え゛
ぎにゃああああああああああああ!」
「クラーケンって性格変わったよね…。」
「そうですか?」
「ぐぶぶぶ…。」
サンガーが泡を吹いている。
「では、最後に。パワーモアという技を披露します」
女性がこっちを向いた。
その技を知っているのだろう。
「パワーモア」
クラーケンの両手に水が溢れんばかりに出てきた。
「これはあの沼の水と同じ物です」
「え、マジで?」
「はい」
そう言うとクラーケンはサンガーの口の中に流し込んだ。
「ぐぶ…お?」
「すげ、一発回復かよ…。」
「以上です」
すると、女性が寄ってきた。
「お待たせしました」
クラーケンが言った。
「いえ、お構い無く。それより、皆さん私の事が少しは解っていただけましたか?」
「何となく」
フェニックスが答える。
「多分…フェニックスさんの御披露目にも私は関係あると思いますよ」
「え?」
「だって、私の名前は…」
一時の沈黙。
そして、フェニックス…ではなくサンガーが、
「あっ、言い忘れた!」
「何だよサンガー!俺も驚いたのにお前のせいで声に出せなかったじゃねーか!」
「いやさ、雷神からの伝言があるんだよ。君のお陰で思い出した。ありがとう」
サンガーが何故このタイミングで思い出したか、そこには作者の脳味噌の記憶力と関係があるのだがあまり深く掘り下げはしない。
「雷神って誰ですか?」
「雷神は雷神だ。神様だよ。その雷神からお友達になってくださいって言われてたんだ」
「それお前の私事じゃねーの?」
「違ーう、五神から五人にだ。」
「ふーん…。」
「とにかく、サンガーさんの事は置いといてですね、フェニックスさん、あなたにも心当たりがありますよね?」
「フッ、お嬢ちゃん、サンガーは傷付いたよ…。」
「だまらっしゃい、サンガー。今は俺と話してるんだ。それで、答えとしては覚えているよ。」
フェニックスが女性を見つめた。




