水の覇者、水蛸クラーケン
「皆さん、危なかったですね!僕は水の覇者、水蛸クラーケン!」
「スイショウ?」
サンガーが疑問を唱える。
「あ、水にタコと書きます」
「タコなの?」
「はい」
「クラーケンなのにイカじゃないの?」
「タコでもいいじゃないですか」
「…………。」
「クラーケン、海の怪物だよな…。不吉な名前の覇者だ…。」
「おい、アンタにそれが言えるのかバジリスク」
「ところで、覇者が五人揃うと言っていましたが、あと一人はどこですか?」
「ああ…あそこでのびてるのがフェニックス君です」
「それまたどうして」
「奥義くらいました」
「どうして味方の技に?」
「まあ…かくかくしかじか」
「…………。」
すると、バジリスクが
「まだ死んでないッ!」
怪物が起き上がる。
「くっそー、こいつにゃ俺達の技は効かねえんだよ…。」
「じゃあ、僕が凍らせておくのでフェニックス君が起きるまで待ちましょう。アイスレーザー!」
「いやー、アイスレーザー強かったねぇ。」
「そうだな、あの怪物を一瞬で凍らせるんだもんなー」
「クラーケン、フェニックスが起きたら一発ぶちかましてやってよ」
「それでは本末転倒ですが…。あ、モンスター溶けそうですね、アイスレーザー」
「う…あ」
「起きたかフェニックス」
「ああ…こいつは?」
「僕は水の覇者、水蛸クラーケン!」
「スイショウ?」
「水にタコと書きます」
「タコなんだ…。」
「おいおい、サンガーと同じこと言ってないでさっさとあいつ殺ってくれよ」
ペガサスが凍っているモンスターを指差す。
「あれ、さっきのと一緒じゃん。」
そう言うとフェニックスはモンスターと自分「だけを」囲んだ結界を描いた。
「テラフレア!」
「さすが火の覇者。威力は半端ではありませんね。」
「だろ?俺の力ナメんなってんだ!」
すると、三人の覇者が黒いオーラをまとって、
「ではフェニックス君」
「恒例の『アレ』いきましょうか」
「クラーケン君の四つ目の技、アイスレーザーを身をもって感じてください」
「皆さん…酷いですね…。」
「あーもう、いいよやってしまいなさいよ、どうせ僕はモルモットよ!」
実は三人が既にアイスレーザーを見ているなど露知らず、フェニックスが投げやりになる。
「やはりあいつはわしの見立て通りMに覚醒したのでは?」
「フフフ…クラーケン君どうぞ」
「では…お言葉に甘えて、アイスレーザー!」
「アンタもそこでやっちゃうのって、きゃあああああああああああああああああ」
「えーと、フェニックス君はどこかな?俺様が小便行ってる間に消えたんだが」
「そこで体操座りをしてますが」
クラーケンが森で一番ジメジメしてるであろう沼を指差す。そして、
「いくらなんでもやり過ぎなのでは?」
「いや、君がトドメ指したんだヨ、クラーケン君」
「…身勝手な言動お許しください」
「フフフ、君が謝ることはないさ、わし達は正しいことをしただけだからな…。」
「皆さん見事に黒いオーラを身にまとってますね」
ズゥーン…。
「敵だ!」
「いやアンタ、千里の眼持ってんだから足音鳴る前に気づきなさいよ」
「そーだぞ、今のところオマエ千里の眼と空手チョップぐらいしか取り柄無いぞ」
「言ってくれるな、おんどれら食ったろか」
「まあまあ、取り敢えず奥義の準備をしましょう」
敵が見えてきた。さっきのモンスターの十倍は大きい。
「水草雷土奥義!」
『主は水の覇者』
「出でよ水蛸!」
タコが現れてモンスターに向かって巨大アイスレーザーを吐きまくる。が、
「ナニィーッ!また奥義が効かねえ?」
「違う…。」
「どうした、クラーケン?」
「違います、奥義は効いています、だけどこいつは攻撃をくらっても一瞬で回復するんです!」
「一発で片付けろってかよ…。」
「でも、俺様達にできる攻撃はこれまでだぞ!」
「フェニックス君を呼んで総力奥義をしましょう!」
「でもあいつは…」
「呼ばれて出てきてポポポポーン」
「フェニックス!」
「上手く混ぜましたね…。」
「ああ、混ぜたな…。」
「漫才をしてる場合じゃねーぞ、てめーら!お前らさっきの奥義で体力消費してるんだろ?一発で決めるぜ!」
「総力奥義!」
『主は火の覇者』
「出でよ火鳥!」
火鳥が現れ、モンスターに向かって膨大な量の炎をぶちまいた。
「やったか?」
「ああ、やったぞ!」
「フェニックス君のお陰で助かりました」
「我々は頭が上がりません」
「おい、頭が高いぞサンガー」
「俺は体が固いんだ」
「やってしまいなさいバジリスク君」
「ははっ!」
「ぎぃやあああああああああああああ」