過去の回想 二界道編(四)
塗り薬は効き目が出るのに少し時間がかかるそうなので、気絶していない四人は残りの四人が起きるのを待つことにした。
「フェニックスさん」
「何だ」
「額に傷がついているようですが、塗り薬貸しましょうか?」
「アイツに殴られたときのやつか…。いや、この傷は残しておく。俺が奴にハメられた教訓だ」
「なら構いませんが…。その傷にちゃんと仲間を傷付けたことも刻み付けておいてください」
「…………。」
女性の言うとおりだった。
「そう言えば、お前の力は何なんだ?波動とか色々してたみたいだけど」
フェニックスはあの後バトルの説明を受けていた。
「あれは、誰でも出来ます。私の力は『記憶操作』です」
「記憶操作?」
「はい、例を挙げると『猛』と呼んでいたのを『パパ』と呼ばせたり」
「え゛」
「申し訳ございません。リーナ様を退屈させないために、あなたのお姉様の記憶を操作させていただきました。」
「本盗むためなら記憶操作しなくても良かったんじゃないの」
「お姉様はあなたを大変大事に思っておりました。それ故、あなたの本を盗んでくれませんでした」
「ちょい待ち。俺は何も理解してません」
「…………。あまり詳しいことは口止めされているのです。この説明で我慢してください」
「…………。」
「お詫びに…と言えるのかは解りませんが、あなたのお姉様の記憶は戻させていただきます。」
「ならいいよ。戻るんなら過去は諦める」
「ありがとうございます。他に質問は?」
「波動を出すのは誰でも出来るって言ってたよな?その事を教えてくれ」
「解りました」
人間にはAIH(Ability Inhibiting Hormone。能力抑制ホルモン)と言うものが体にある。天上界、地上界、地下界の人間誰でも変わらない。AIH値は0〜100で、低ければ低いほど能力が高い。天上界、地下界の人間は通常27であり、地上界の人間は通常39である。
「因みに、私は19です。さっきの番人は23位ですね」
「俺達は?」
「31とキング・ジャイアントから聞きましたが」
「100ってどんな人?」
「植物人間です。自分の力では何も出来ない」
「0は?」
「私の知る限りでは存在しません」
「アンタが知ってる最低値は?」
「2.1」
「どんな人?」
「リーナ様です」
「…!」
「力は『燃やし声』。一瞬で人を殺し、さらに自分で制御することができない。」
「…その分代償も多い」
フェニックスが続けた。
「その通りです」
「う…あ…。」
四人が起きた。
二界道を出ると、どんぶりうなぎとキング・ジャイアントがいた。
「どんぶりうなぎ!」
「よくぞ帰ってきた」
どんぶりうなぎが褒める。対して、フェニックスは
「最後はこの人の力を借りたけどな」
と返した。すると、女性が、
「では、私は用事がありますので」
フェニックスに目配せした。フェニックスも、
「ああ」
と返す。女性はどこかに向かって歩いていった。
フェニックス達は地上界に下りた。
「いやー、一日も空けてないのに懐かしいのォ!」
「ジャ、ボクハカエルネ!」
「ワタシモモドルヨ」
「ありがとな、二人とも!」
五人は家に帰った。そこには一人の女性がいて、
「猛…?」
「姉貴!」
一人の男を喜ばせた。




