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五人の覇者  作者: コウモリ
エピローグ
146/147

五人の覇者、分散

「残念だけど火の呪い神…驚くのはそれだけじゃないぜ…」

「何!?」

サラマンダーの右手の人差し指。

そこに小さな炎が宿った。

その指を地面に向け、何かを描く。

「何を描いている…?」

「丸に…火と描いているんだ…」

「丸に火…?」

「丸に星が守りの結界なら…これは…」

奥義の結界。

「奥義の結界…!サラマンダー、貴様今更こんなものを描いて何する気だ…?」

「奥義をするに決まってんだろ…?」

だが、

「奥義は二人以上いないと出来ないはずだ…」

「だから、五人で、全員でやるんだよ…」

「は…はァ?ここにはお前一人しか…」

サラマンダーは鼻でフンと笑った。

「僕には解るよ…今の四人が何をしているかを…」

海。

クラーケンの真下には丸に水の結界が描かれていた。

森。

ペガサスの足元にも、同じように丸に草と。

崖。

サンガーの雷の爪牙はしっかりと丸に雷と描いている。

砂漠。

バジリスクが砂で、丸に土と描いていた。

それぞれが全く違う場所にいるのに、五人とも皆が何をしているか解っている。

「離れていたって…体を乗っ取られていたって…僕達は繋がってる…」

「他の四人がやっている保証なんて…」

「僕はあの四人を信じてる…!それが保証だ…!」

サラマンダーが火の文字を見つめて言う。

「行くぞ…」

「ま…待て…!」

「待たねぇよ…」

サラマンダーは力を振り絞り、顔を上げた。

「総力奥義!」

小さな火の文字が光る。

その一筋の光は岩壁を突き破り、どこかへ向かった。

そして、どこからか来た光が岩壁を突き破り、サラマンダーの描いた火に繋がる。

五人が、一筋の光で繋がった。

「そろそろ…あの声が聞こえる…」

『主は五人の覇者』

これが、「あの声」の出した結論だ。

五人全員が主だ、と。

「頼む…やめてくれ…!」

火の呪い神が懇願する。

後ずさりながら。

サラマンダーは、笑った。

「出でよ覇光!」

暗い洞窟が一瞬で光に包まれる。

闇の時が止まった。






フェニックスはひたすらその時を待ち続けた。

五人の覇者が呪い神に打ち勝ち、封印する準備を整えてくれる時を。

呪い神を見つめる。

ヴン…。

「え…?」

「どうした、フェニックス」

「地下界王…今、呪い神達が光らなかったか?」

「本当か!?」

突如、声が聞こえた。

 フェニックス君…。

「…この声は…」

 フェニックス君…今だ…やるなら今しかない…。

「サラマンダーの声だ…!」

呪い神達がまた光った。

その光は、五人の覇者が作り出した光に違いなかった。

それこそが、合図だった。

「聞けぇ…全員聞けぇ!今だァ!!」

フェニックスが喉を潰す勢いで叫ぶ。

それと共に、百億人の持つ力が光となり、五神、天上界王、地下界王、サイゴに向かった。

覇光にも負けない程の光だった。

そして、八人は唱えた。

「封印!」

全員の光が光線となり、五人の呪い神に向かう。

それは、呪い神に当たると弾け、世界は真っ白になった。






数秒後、光は消えた。

人々の眼が徐々に回復する。

最初に周りが見えるようになったのは、光線が弾ける前に眼を閉じていた少女だった。

「呪い神も…いなくなっている…!」

フェニックスの眼も回復する。

「本当だ…!俺達やったんだ…!」

封印に協力した全ての人が歓声を上げた。

「やったぞおおおおおおおおおお!」

男が声の限り叫ぶ。

ワーッ!っと他の人達も続いた。






騒がしい中、フェニックスは一人静かな気持ちで五人のいた場所に座った。

「どこ行っちまったんだろぅな…。サラマンダー…クラーケン…ペガサス…サンガー…バジリスク…」

涙がこぼれる。

「この三世界のどこにいるんだろう…」

五人は違う場所にいる。

一人見つけても残りの四人を見つける手がかりは無いのだ。

「絶対に…見つけ出してやるからな…」

すると、パックンチが来た。

「大丈夫かンチ…?」

「え…ああ、涙が出ちまってな…」

「仕方無いンチ…。逆に五人がいなくなっても泣かないフェニックスなんて見たくなかったンチ」

「そう言ってくれるとありがたいが…」

「フェニックス、フェニックスはこれからどうするンチ?」

フェニックスは涙を拭いた。

「すぐにアイツらを探しに行くさ。強くなりながら。誰よりも強くなって、誰よりも速く五人の覇者を見つけてみせる」

フェニックスはパックンチを見て言った。

「パックンチ、ついて来てくれるか?」

「勿論だンチ!」






地下界王が天上界王のいる所に向かった。

「おお、地下界王」

「すまない…天上界王…。私はただ…」

「もう済んだ事だ。それに、お前は自分が愛する地下界を良くするためだけにやったのだろう?お前に悪心は無い」

「天上界王…」

「ハッハッハ、呪い神がいなくなれば三世界も安泰だな!ようやく勉学の政策が実行できそうだ」

「天上界王、お前は私に悪心が無いと言ったが、私のせいで多くの犠牲者が出たのは紛れもない事実だ。罪償いとして、この戦争で死んだ人を生き返らせよう」

天上界王が驚く。

「出来るのか?」

「地下界の総力を持ってすれば出来ぬ事ではない」

「それは嬉しい!兵の家族が泣いて喜ぶだろう!」

すると、五神が二人の元に来た。

「五神…!」

地下界王が驚く。

すると、火神が頭を下げて詫びた。

「我々が地下界もしっかり見ておれば良かったのだ…。すまない、呪い神などというものに気づかず放置していて…」

すると、天上界王が言った。

「お顔を上げてください、火神様!五人の覇者のおかげで呪い神は封印されました。もう心配する事は…」

バサッバサッ…。

「何の音だ?」

全員がその音の出所を探す。

そして、どんぶりどじょうが見つけた。

「あー、フェニックス!あんな上空におる!こら、フェニックス、何する気だ!?」

 あばよ皆!俺はパックンチと早速五人の覇者を探してくるぜ!

「待てー!」

「天上界王」

「何ですか、火神様」

「まだ三世界が安泰とは、言えなさそうだな」

「そうかも…しれませんね」

(完)


エピローグ、終了。

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