草の覇者、草馬ペガサス
ペガサスは森にいた。
草木が生い茂る森。
夜だったせいもあって、ペガサスは起きた時どこにいるか解らなかった。
「ここはどこだ…?俺に…何があったんだ?」
立ち上がる。
闇に眼を慣らすと、様子が解った。
「森か…別に変な仕掛けとかは無さそうだが…」
歩いて探索する。
とは言うものの、すぐに曲がらざるを得なくなった。
「ん…?何かあるぞ…?壁がある…」
触って確かめる。
「でも向こうにも森は続いてるよな…この壁に寸分狂わない絵でも描いてあるのか?」
それ以上前には進めないので、右に曲がった。
木々があるのでずっと壁を辿ることは出来ない。
「俺はここに来るまで何をしていたんだ…?」
他の覇者と同じく、ペガサスが覚えているのは自分から黒い煙が出てきた事までだった。
「何でこんな所にいるんだ…他の皆はどこにいる…?」
突如、誰かが答えた。
「ここは私の中。私の種だったお前を監禁している。残りの覇者は残りの呪い神に乗っ取られている」
「誰だ!?どこにいる!?」
「私はお前に知りたい事を教えてやったのだぞ?礼の一つもないのか」
「…感謝する」
「それで良い。さて、私の事だが。私の名前は草の呪い神。そして、私はお前の真後ろにいる」
「なに…?」
ペガサスが後ろを向こうとするが、それよりも早く相手が言った。
「絶人禁草之生!」
「ずぅはっ!」
ペガサスは前に吹っ飛び、木にぶつかった。
「五人の覇者の中で、お前だけが必殺技を使える。それと同じように絶人禁草之生も必殺技だ」
ペガサスが木と激突した頭を抱え言った。
「じゃあ、俺様は…死ぬのか?」
「安心しろ。お前のギガポイズンも飲み込まなければ死ななかった。それと同じように、私の絶人禁草之生も傷口に混入しない限り死にはせん。つまり、今怪我をしたお前の頭に五禁が触れた瞬間お前は死ぬ」
「…!」
「死にたくなければせいぜい後ろを向いておくことだな。だが、そうすればいつか背中にも傷が出来るだろう。お前に生きる方法は無い」
「くそ…!」
ペガサスが草の呪い神の方を向く。
「それは、殺してくれという合図か?」
ペガサスは咄嗟に後ろを向いた。
「だったら、いたぶってくれという合図だな。絶人禁草之生!」
ペガサスが前に飛ばされる。
木が無かったため、五、六メートルは飛んだ。
「あと二、三回撃てば終わりそうだな。絶人禁草之生!」
「マンティスシーザー!」
被害は免れた。
「ほぅ…刃で五禁を受け止めるとは…さすがは覇者だな」
「なぁ、質問がまだあった。フェニックスはどうなってる?」
「あのガキか…お前達のために我々を殺さずに封印しようと頑張っているぞ」
「封印…?」
「ああ、地下界王と我々を封印しようとしたが、力が足りない様だな」
「地下界王?何で地下界王とフェニックスが…?」
「ああ…。地下界王の奴、我々を裏切ったのだよ。いや、我々が裏切ったのか?総力五禁を使うとか言ってな」
「んな事すれば地下界まで…。だから地下界王がフェニックスについたのか…」
「そう、あのバカ王。自分の地下界のためなら何でもするようだな」
ペガサスが遮った。
「話はここまでだ。さっき五禁を二回かまされた分、反撃するぜ。ギガポイズン!」
「おっと。何が反撃だ、調子に乗るな。コントロール出来ない技が当たる訳が…」
草の呪い神が倒れた。
「ん?当たる訳が無いって?テメエこそ調子に乗るな」
「何をした…?」
「ヒラメキって奴さ。ギガポイズンを操れないなら波動で無理矢理操るってね。ギガポイズンを間接的に操れるようになった俺に敵はいねぇ。お次は口ン中にぶっ込んでやらァ」
「絶人禁草之生!」
それは、血の出ているペガサスの頭を狙った。
だが、
「おっと」
避けられた。
いや、緑の線が自発的に避けたのだ。
「何だと…?」
「おいおい、テメエのオツムは飾りか?さっきギガポイズンを波動で操る、って言ったばっかなのによォ」
「まさか…五禁を波動で動かしたと言うのか?」
「正解!飾りから玩具に格上げだな。動く事は動く様だから」
「調子こいた事言いやがって…」
「ギガポイズン!」
ペガサスが波動で操ろうとするが、それよりも強い波動がギガポイズンを消した。
「飾りだ玩具だなどとバカにするな。同じ方法は二度と利かんぞ」
「…………。」