呪い神 序
呪い神。呪い神が現れる
「おい、地下界王。火の呪い神って何だよ」
フェニックスが聞いた。
「火の呪い神様は、地下界で生まれた神だ」
地下界王は、そう答えた。
「五神は、天上界と地上界を取り締まった。だが、我が地下界は放置していた」
地下界王が続ける。
「だから、見知らぬ内に生まれたのだ。呪い神様が」
「ソイツはずっと地下界にいたのか?」
サンガーが言う。
「いや、一度封印されていた。呪い神様の暴走を危惧し、何者かが封印した。だが、それが誰か、いつしたかは解っていない」
「じゃあ…何で今そこにいるんだ…?」
地下界王は微笑を浮かべると、
「私が封印を解いたのだ」
と答えた。
「…何故だ」
「地下界を三世界で最強にするためだ。千二百年前、地下界は極界戦争に負けた。天上界よりも強くなるために、復活させたのだ」
すると、地下界王はため息をついた。
「とはいえ、私一人では五人全員の封印を解く事は出来なかった。しかも、火の呪い神様も完全に復活したとは言えない」
「一人だけ、不完全と言うのが不幸中の幸いだな」
ペガサスが言う。
まさに、その通りだ。
目の前にいるのは神だ。
どれほどの力かは計り知れない。
この状況でも危ういのだ。
不完全体とはいえ、神相手にこの六人だけで勝てるのだろうか。
だが、その微小の安心感はすぐに打ち壊された。
火の呪い神が、話し始めた。
「残りの四人を復活させ、私を完全にする準備は出来ている」
その言葉が本当なら、天上界と地上界は終わった。