全世界戦争(六)
「いつでも…どうぞ」
「お言葉に甘えさせてもらうぜ」
「ギガフレア!」
「ギガウェーブ!」
「ギガサンダー!」
「ギガポイズン!」
「ギガクラック!」
ノアは、シールドを張った。
「最初に覚えた技で…二百年前と、同じ様にやる訳ですか。二百年前にはいなかった人にも手伝ってもらい、結構な事ですね」
「黙れ」
「おやおや、叱られてしまいましたね。では、本気を出しますか」
シールドを消し、ノアが息を吸う。
吐いた瞬間に、サラマンダーが吹っ飛んだ。
「サラマンダー!」
「やはり、新入りは弱いようですね」
「貴様ァ…」
「どうしましたか?私は知っていますよ、あなた方も波動を使えるという事を」
「くそッ、やるぞ!」
各自が自分の方法で波動を出す。
だが。
「やはり、師匠に教わっていましたか。師匠の波動は私には無効です」
ノアがくるりと一回転しただけで、五人分の波動が相殺された。
「なっ…!」
「あなた方のオリジナルの波動を受けてみたいものですね」
「チックショォ、誰か何か案はあるか!?」
(僕の言う通りにして下さい)
「クラーケン…?」
(やれるかどうかは解りませんが、波動をカーブさせる事は出来ないでしょうか…?)
(波動の…コントロール!?)
サンガーが驚く。
(前代未聞だ…)
(やらないよりか、マシだろ)
バジリスクが賛成した。
(…解った)
決行。
「何か相談されておりましたね…決まりましたか?」
「決まった」
「では、どうぞ」
「せやッ!」
五人の手から波動がノアへ向かった。
ノアが相殺しようとする。
だが。
「波動が…曲がった?」
二つは上へ。
一つは下へ。
一つは右へ。
一つは左へ。
全てが前とは違う方向からノアを襲った。
「く…!」
守るより先に、ぶつかった。
「命中!どんなもんだ!」
ノアが立ち上がる。
「あんだけくらったのに…化物かよ…」
サンガーが落胆した。
「なかなか良い方法でした。ですが、曲げると威力が落ちるようですね」
「…!」
「しかも、同じ技は二度と聞きませんよ」
「くそ…」
すると、バジリスクが言った。
「怯むな。続けるぞ」
「…おう」
五人から波動が発せられる。
ノアが身構えた。
ノアも波動を発するが、避けられる。
そして、ノアにぶつかろうとした時。
シールドを張った。
「チッ…」
サンガーが舌打ちした。
バジリスクも、
「畜生、シールドを張られたら太刀打ち出来な…」
「フォレスト!」
「ぐはっ!」
ノアが吹っ飛んだ。
五人は急いで空に避難する。
「っぶねーな、ペガサス、あれを使う時は先に言えよ」
「先に言ったら不意打ちになんねーだろ」
煙の中から現れたノアは、まだ立っていた。
「ちぃッ、根性あるなあの女…」
ノアが五人のいる空中を睨み付けた。
「なかなか…やりますね」
「たりめーだ」
すると、ノアは微笑を浮かべた。
「あなた達は強くなった…。ですが、あなた達は私には勝てません」
「…死んでも口癖は口癖だな」
「ええ、ジンギの三人は一度あなた方に負けたようですが」
「カガミ以外とは二回戦ったぜ」
すると、ノアは何か考える顔をした。
「カガミさんも確か向かったはずでは…」
「え、カガミなんか来てないぜ?」
「いえ、カガミさんはフェニックスさんを倒しに行ったはずです」
「え゛」
「あの性別仕分けの所か…」
「あれ、フェニックス君だけを狙ったものだったんですね…」
仕切り直して。
「では、攻撃どうぞ」
「ノア…お前上から目線だな…」
「思い付いた!」
突如サラマンダーが叫んだ。
「どうした、サラマンダー?」
(僕達のチームワークを活かした戦い方をしよう)
パーティーで解ったと思うが、彼らにチームワークなどあって無いようなものだ。
(解った)
「また何か話し合っていましたが。早くしないとこちらから攻撃しますよ」
「フォレスト!」
ペガサスが地面から波動を出す。
「同じ技には引っ掛かりません」
ノアがジャンプする。
だが、上にはサラマンダーがいた。
「なっ…!」
「大龍火炎!」
ノアに炎が絡み付く。
「ぐっ…!」
下にはフォレストがあるので、下りる事は出来ない。上で戦うしかない。
「はっ!」
ノアがサラマンダーを波動で飛ばした。
そのまま宙に浮いているつもりだったが、
雷が落ちてきた。
ズドガガガガガガガガガガガガ!
ノアにも落ちる。
「がっ…!」
しかも、横から岩の矢と氷の弾が飛んできた。
下はペガサス、上はサンガー。横はサラマンダー、クラーケン、バジリスク。
完全包囲。
逃げる隙の無いその攻撃は、ノアを休みなく襲った。
五人の力が消耗しはじめ、五人とも手を休めた。
「頼む…やられててくれ…!」
ドサッ。
鈍い音が、砂埃の中から聞こえた。
視界が透けてくる。
ノアは、倒れていた。
「やった…!」
死んでいた。
すると、地下界王が唸った。
「お前らの力、さすがだな…。こちらも、本気を出して行こう」
「マジか…」
現れたのは、最も厄介な敵。
「三人一度に出てきやがった…」
現れたのは、どんぶりうなぎ、ツルギ、サイゴ。