表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
五人の覇者  作者: コウモリ
全世界戦争
130/147

全世界戦争(五)

「総力奥義!」

『主は…』

「あれ?」

サラマンダーが異変に気づいた。

「いつもの声が途切れた…」

何かあったのかと周りを見渡す。

「こんな時にブランデーの酔いが…!」

「全く、こんな時に…」

サラマンダーがクラーケンに注意する。

「芋焼酎が喉まで戻ってきている…!」

「おいおい…」

「ウォッカとワインを数ボトル分戻しそう…」

「あんなにはしゃぐから…」

「ぐぶうぇええごぶぉおおぎゅるる」

「既に吐いてるし」

サラマンダー以外、死亡。

ドスーン…。

キング・ジャイアントの拳がサラマンダーの前に落ちる。

「こっちはノンストップかよ…僕一人でやるのか…」

ドスーン…。

「大龍火炎!」

キング・ジャイアントに炎がぶち当たる。

だが、びくともしていないようだ。

「ぐっ、やっぱり僕一人じゃ限度があるか…あ、そうだ」

サラマンダーが何かを思い付いたらしい。

「確かウコンが…あった」

サラマンダー流、ウコン茶完成。

クラーケン、ペガサス、バジリスク復活。

「まだ足りねぇ…酔い醒めねぇ…」

「サンガー…」

「仕方無いだろ、あの人ウォッカ七杯とワイン三瓶はやったんだから」

「吐いたわしよりも酔っているとは…」

「アンタ吐いたから酔い醒めたんでしょうが」

「とにかく、クラーケン君、やってしまいなさい」

「はいはい、パワーモア!」

サンガー、復活。

「仕切り直して、行くぞ!」

「総力奥義!」

『主は…ぐぶぅうごぶぇえ…』

「どこの誰が酔ってるんだよ」

『げぼ…主は、火の覇者』

「出でよ火竜!」

キング・ジャイアントに匹敵する大きさの竜が現れた。

ここから先は、血と快音のお祭りである。

グジャッ!ボキボキ…ブジュ。ザンッ!ベチャ。

「いやぁ…凄い事になってるね…」

R15にかかっていない事を祈るばかりだ。

多分かかっていないが。

「…………。」

クラーケンが、迷いを感じさせる顔でキング・ジャイアントと火竜の戦いを見ていた。

すると、ペガサスがクラーケンに言った。

「考えてる事、当ててやろうか」

「え…?」

「自分に知り合いを殺す覚悟はあるのか…って、考えてるんだろ?」

「…………。」

「男だ…キチッとするとこはキチッとしろよ」

クラーケンの背中を叩いた。

「…………。」

火竜が、キング・ジャイアントの両足を噛みちぎって、床に倒した。

地下界王が少し驚く。

その様子からは、まだ敵がいる事が伺える。

五人が、動けないキング・ジャイアントに近づいた。

「覚悟はついたか…クラーケン…?」

ペガサスが聞いた。

クラーケンが答える。

「あっても無くても…殺らなきゃ自分が死んでしまう。僕はやりますよ」

フン、と鼻で笑ったペガサスの顔は、悲しみで埋められていた。

「すみません…キング・ジャイアントさん…」

「大龍火炎!」

「アイスキャノン!」

「フォレスト!」

「ギガサンダー!」

「岩石弓矢!」

始終一言も喋らなかったキング・ジャイアントだが、最後に見せた顔には、後悔と懐古が浮かんでいた。

「昔の事を…思い出してたんだろうな…」

その亡骸を見て、ペガサスは言った。

クラーケンは、巨体の前に突っ伏した。

だが、悲しさも懐かしさも長くは続かなかった。

「お前ら、まだ終わってはおらんぞ」

「地下界王…!」

次に現れたのは、サラマンダー除く四人が良く知る女だった。

「アンタは…ノア…!」

「お久しぶりです、四人とも。フェニックスさんがいないようですが。同年代の少年はいるようですね」

ノアがサラマンダーを見た。

「ノア…」

サンガーが呟く。

それを聞いて、ノアが言った。

「そういえば、二百年前…フェニックスさんに私に戦って勝ってやると宣言されましたね。あなた達が代わりに達成してはいかがですか?」

「勿論、そのつもりだ」

サンガーがノアを睨み付けた。

「かかってきなさい」

「サンガーさん、奥義やるよ」

「いや…サラマンダー、コイツは素早いから奥義は使うべきじゃない。技で攻めるぜ」

「…解った」

微笑を浮かべるノアを、五人が囲んだ。

「いつでも…どうぞ」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ